介護職は、施設形態や運営法人によって働き方や待遇、職場の雰囲気が大きく異なるため、「どの職場を選ぶか」がキャリアの満足度を大きく左右します。
給与や休日といった条件面だけでなく、人間関係や教育体制、将来のキャリア形成のしやすさなど、重視するポイントは多岐にわたります。
本記事では、2026年5月に当社が介護職経験者100名を対象に実施したアンケート調査(有効回答数100)をもとに、介護職が職場選びで実際に重視している条件や、企業選びの際に見落としやすいポイントを詳しく解説します。
現場経験者のリアルな声を紹介するとともに、「入職後のギャップを防ぐために見るべき基準」や「長く働ける職場の共通点」を整理し、これから転職や就職を検討する方に役立つ情報をお届けします。
現在の職場はどのようにして決まりましたか?
介護職経験者100名を対象に調査した結果、現在の職場へ入職した経緯として最も多かったのは「転職」で、全体の68%を占めました。
次いで「新卒入社」が15%、「パート・アルバイトからの正社員登用」が7%という結果となっています。
職場が決まった経緯ランキング
1位:転職(68%)
2位:新卒入社(15%)
3位:パート・アルバイトからの正社員登用(7%)
4位:知人紹介(5%)
5位:その他(3%)
6位:派遣から直接雇用(2%)
介護業界は施設形態や運営方針によって働き方や待遇が大きく異なるため、より良い職場環境や条件を求めて転職する方が多いことがうかがえます。
また、知人紹介による入職も一定数あり、求人情報だけでは分からない職場の雰囲気や人間関係などを重視している方も少なくありません。
現在の職場に入職してからの年数は?
アンケート調査では、介護職として働いている方が現在の職場でどのくらいの期間勤務しているのかについても調査しました。
その結果、「1〜3年」が41%で最も多く、次いで「3〜5年」が27%、「5年以上」が23%となっています。
一方、「1年未満」は9%にとどまり、多くの方が1年以上は同じ職場で働き続けていることが分かりました。
現在の職場での勤務年数ランキング
1位:1~3年(41%)
2位:3~5年(27%)
3位:5年以上(23%)
4位:1年未満(9%)
介護業界では職場との相性や働きやすさが定着率に大きく影響します。
給与や休日だけでなく、人間関係や業務内容などを含めて自分に合った職場を選ぶことが、長く働き続けるための重要なポイントといえるでしょう。
現在の職場を選ぶ際に重視した条件は?
介護職の職場選びでは、給与や休日などの条件面だけでなく、人間関係や働きやすさも重要な判断基準となります。
重視するポイントは人それぞれですが、実際に働いている方がどのような条件を優先して職場を選んだのかを知ることで、自分に合った職場探しの参考になります。
本章では、現在の職場を選ぶ際に重視した条件についてアンケート結果をもとに紹介します。
1位 給与
職場選びで最も重視されていたのは「給与」でした。
介護職は資格や経験によって収入に差が出やすく、施設によっても給与体系や手当の内容が異なります。
そのため、基本給だけでなく資格手当や夜勤手当、賞与の有無などを含めて比較している方が多いようです。
近年は処遇改善加算などにより給与改善の動きもありますが、長く働くことを考えると収入面を重視するのは自然な結果といえるでしょう。
2位 人間関係
2位には「人間関係」がランクインしました。
介護職は利用者だけでなく、職員同士の連携も欠かせない仕事です。
そのため、職場の雰囲気や上司・同僚との関係性は働きやすさを大きく左右します。実際に介護職の離職理由としても人間関係は上位に挙げられています。
給与が良くても人間関係に悩みを抱えてしまうと長く働くことが難しくなるため、職場見学や面接時に雰囲気を確認することが重要です。
3位 休日数
3位は「休日数」という結果でした。
介護業界はシフト制勤務が多く、夜勤や土日勤務が発生することも少なくありません。
そのため、年間休日数や有給休暇の取得しやすさを重視する方が多いようです。
十分な休息が取れる環境は、仕事のモチベーション維持や心身の健康にもつながります。
また、家庭やプライベートとの両立を考えるうえでも休日数は重要なポイントとなるため、転職時には事前に確認しておきましょう。
最終的に現在の職場を選んだ理由は?
職場選びでは複数の条件を比較検討する方が多いですが、最終的な決め手となるポイントは人によって異なります。
本章では、最終的に現在の職場を選んだ理由の上位3つを紹介します。
1位 給与・待遇
最終的な決め手として最も多かったのは「給与・待遇」でした。
介護職は資格や経験によって収入に差が出るため、基本給だけでなく各種手当や賞与、昇給制度などを重視する方が多いようです。
また、処遇改善手当や資格取得支援制度の有無も職場選びの重要な判断材料となります。
長く働き続けることを考えると、安定した収入や将来的な昇給の見込みがある職場を選びたいと考える方が多い結果となりました。
2位 職場の雰囲気
2位は「職場の雰囲気」でした。
介護職は職員同士で連携しながら利用者を支える仕事であるため、人間関係の良し悪しは働きやすさに直結します。
職場の雰囲気が良いと相談や情報共有がしやすく、困ったときにも助け合いやすい環境が整っています。
そのため、施設見学や面接時に職員の表情やコミュニケーションの様子を確認し、安心して働けそうかを重視して入職を決めた方が多いようです。
3位 通勤時間・距離
3位には「通勤時間・距離」が入りました。
介護職は早番や遅番、夜勤など勤務時間が不規則になることも多いため、無理なく通勤できる職場を選ぶことが重要です。
通勤時間が長いと体力的な負担が増えるだけでなく、仕事とプライベートの両立もしにくくなります。
そのため、待遇面だけでなく通いやすさを重視して職場を選んだ方も多い結果となりました。
入社前とギャップはありましたか?
入社前のイメージと実際に働き始めてからのギャップについても調査しました。

その結果、「ほぼイメージ通りだった」と回答した方が73%と最も多く、約7割の方が大きなミスマッチはなく働けていることが分かりました。
一方で、「悪い意味で少しギャップがあった」が15%、「悪い意味で大きくギャップがあった」が4%となっており、約5人に1人は何らかの不満や戸惑いを感じているようです。
また、「良い意味で期待以上だった」と回答した方も8%いました。
職後のギャップを防ぐためには、求人情報だけで判断せず、施設見学や面接を通じて実際の職場環境や業務内容を確認することが大切といえるでしょう。
入社前とギャップを感じたことは?
入社前に職場の情報を確認していても、実際に働き始めると自分の想像との違いを感じるケースは少なくありません。
本章では、入社後にギャップを感じたこととして特に多かった上位3項目を紹介します。
1位 人手不足・業務量の多さ
最も多かったのは「人手不足・業務量の多さ」に関するギャップでした。
入職前は十分な人員配置がされていると思っていたものの、実際には少ない人数で業務を回しているケースもあるようです。
また、利用者対応だけでなく、送迎や記録業務、夜勤業務などを兼任することもあり、想像以上に忙しいと感じた方も少なくありません。
慢性的な人材不足は介護業界全体の課題でもあるため、面接時には職員数や業務分担について確認しておくことが大切でしょう。
2位 仕事内容・業務内容の違い
2位は「仕事内容・業務内容の違い」でした。
求人票や面接で説明された内容と、実際の業務内容に差があったと感じる方もいるようです。
担当する業務範囲が想定より広かったり、入職後に業務内容が変更されたりするケースもあります。
また、勤務時間外に記録作業や資料作成を行うなど、想定していなかった業務が発生する場合もあるようです。
入職後のミスマッチを防ぐためには、具体的な業務内容や1日の流れを事前に確認しておくことが重要です。
3位 残業・労働時間のギャップ
3位には「残業・労働時間のギャップ」が入りました。
求人情報では残業が少ないと説明されていても、実際には記録業務や会議、申し送りなどによって残業が発生している職場もあるようです。
また、人員不足の影響で予定通りに業務が終わらず、勤務時間が長くなるケースもあります。
介護職は利用者対応を優先するため、状況によっては定時退社が難しいこともあるでしょう。
入職前には平均残業時間や残業代の支給状況について確認しておくことが大切です。
職場選びで見るべきポイント!
介護職は施設によって働き方や業務内容、職場環境が大きく異なります。
そのため、求人票の給与だけで判断してしまうと、入職後に「思っていた職場と違った」と後悔する可能性もあります。
長く安心して働くためには、自分が重視する条件を整理したうえで職場を比較することが大切です。
本章では、介護職が職場選びをする際に見るべきポイントを紹介します。
勤務形態
介護業界には、正社員をはじめ、契約社員、派遣社員、パート・アルバイトなどさまざまな働き方があります。
そのため、自分のライフスタイルに合った勤務形態を選ぶことが重要です。
特に、子育てや家庭との両立を考えている場合は、夜勤の有無やシフトの柔軟性を確認しておきましょう。
また、日勤のみで働ける施設もありますが、その分夜勤手当がないため給与が低くなるケースもあります。
勤務時間や休日数だけでなく、希望休の取りやすさやシフト変更への対応なども事前に確認しておくことをおすすめします。
給与・福利厚生
給与や福利厚生は、職場選びにおいて最も重視されるポイントの一つです。
基本給だけでなく、資格手当や夜勤手当、賞与、昇給制度などを含めて総合的に確認することが大切です。
また、介護施設によって福利厚生の内容は大きく異なります。
住宅手当や退職金制度、資格取得支援制度のほか、有給休暇の取得しやすさや産休・育休制度の実績なども確認しておきましょう。
長く働き続けるためには、目先の給与だけでなく将来的な働きやすさも考慮して職場を選ぶことが重要です。
業務の内容
介護施設の種類によって、担当する業務内容は大きく異なります。
例えば、デイサービスではレクリエーションや送迎業務が中心になる一方で、特別養護老人ホームでは身体介護が中心になるケースが多いようです。
また、同じ介護職でも施設ごとに業務範囲が異なるため注意が必要です。
求人票だけでは詳しい仕事内容が分からないこともあるため、面接時に1日の流れや担当業務について確認しておくと良いでしょう。
入職後のギャップを防ぐためにも、自分が希望する仕事内容と一致しているかをしっかり見極めることが大切です。
教育体制の有無
未経験者やスキルアップを目指している方は、教育体制の充実度も確認しておきたいポイントです。
介護施設によっては新人研修やOJT制度が整備されており、未経験でも安心して業務を覚えられる環境が整っています。
また、介護福祉士やケアマネジャーなどの資格取得を支援する制度を設けている施設もあります。
受験料補助や研修参加支援などの制度があれば、働きながらキャリアアップを目指しやすくなるでしょう。
将来的な成長を考えるなら、教育や研修に力を入れている職場を選ぶことがおすすめです。
職場全体の雰囲気
給与や休日と同じくらい重要なのが、職場全体の雰囲気です。
介護職は職員同士の連携が欠かせないため、人間関係が良好な職場ほど働きやすく、定着率も高い傾向にあります。
また、施設ごとに介護方針や企業理念が異なるため、自分の考え方や理想と合っているかも確認したいポイントです。
職場見学が可能な場合は、利用者の様子だけでなく職員同士のコミュニケーションや表情にも注目してみましょう。
実際の現場を確認することで、求人票だけでは分からない職場の雰囲気を把握しやすくなります。
今の職場に満足していますか?
実際に働いている介護職の方は、現在の職場にどの程度満足しているのでしょうか。
現在の職場に対する満足度を調査した結果、「やや満足」が50%と最も多く、次いで「普通」が24%、「やや不満」が12%となりました。
現在の職場に対する満足度
1位: やや満足 (50%)
2位: 普通 (24%)
3位:やや不満(12%)
4位:とても満足 (9%)
5位:とても不満 (5%)
半数以上の方は現在の職場におおむね満足していることが分かりました。
一方で、「やや不満」「とても不満」と答えた方も17%存在しており、職場選びの重要性がうかがえる結果となっています。
これだけは避けた方が良い職場の環境や条件は?
介護職は職場環境によって働きやすさや定着率が大きく変わります。
そのため、「どのような職場を避けた方が良いか」を知っておくことも重要です。
本章では、現場で働く介護職の方が「できれば避けたい」と感じている職場環境や条件について、回答数が多かった上位3項目を紹介します。
1位 人間関係の悪さ・ギスギスした職場環境
最も多かったのは、「人間関係の悪さ・ギスギスした職場環境」で、38%%の方が回答しました。
介護職は職員同士の連携が欠かせない仕事であるため、人間関係が悪いと業務にも支障が出やすくなります。
また、相談しづらい環境や職員間の対立がある職場では、精神的なストレスも大きくなります。
職場見学の際には、職員同士のコミュニケーションや雰囲気を確認しておくことが大切でしょう。
2位 人手不足・慢性的な人員不足
2位は「人手不足・慢性的な人員不足」で、23%%の方が挙げています。
人員が不足している職場では、一人ひとりの業務負担が大きくなりやすく、身体的・精神的な負担の増加につながります。
また、休暇が取りづらくなったり、残業が増えたりする原因にもなるでしょう。
求人票だけでは人員状況が分からないことも多いため、面接時に職員数や離職率について確認しておくと安心です。
3位 残業が多い・長時間労働
3位には21%の方が挙げた「残業が多い・長時間労働」が入りました。
介護職は利用者対応を優先する仕事のため、状況によっては残業が発生することもあります。
しかし、慢性的に長時間労働が続く職場では心身への負担が大きく、仕事へのモチベーション低下にもつながりかねません。
特に、人手不足の職場では残業が常態化しやすいため、平均残業時間や有給休暇の取得状況などを事前に確認しておくことが重要です。
まとめ
介護職の職場選びでは、給与や休日数だけでなく、人間関係や職場の雰囲気、教育体制なども重要な判断基準となります。
今回のアンケートでは、職場選びで最も重視されていたのは「給与」でしたが、実際に避けたい職場としては「人間関係の悪さ」が最も多く挙げられました。
また、入職後のギャップとして人手不足や業務量の多さを感じる方も少なくありません。
転職や就職を成功させるためには、求人情報だけで判断せず、施設見学や面接を通じて職場環境を確認することが大切です。
自分が重視する条件を整理し、長く安心して働ける職場を選びましょう。




