介護職は、人の生活を支える重要な仕事である一方で、シフト勤務や夜勤の有無、休日の取り方など、働き方の面で悩みを抱える人も少なくありません。
ワークライフバランスが実現できるかどうかは、離職や転職を考える大きなポイントになっています。
本記事では、2026年5月に当社が介護職経験者100名を対象に実施したアンケート調査(有効回答数100)をもとに、介護職の休日取得の実態や働き方の傾向、ワークライフバランスに対する満足度を詳しく解説します。
現場のリアルな声から見えてきた「続けやすい職場の条件」や「働き方に対する本音」を整理し、これから介護職としてのキャリアを考える方にとって役立つ情報をお届けします。
介護職の1日の平均勤務時間は?

介護現場は忙しいというイメージを持たれることが多いと思います。
実際の介護職経験者の1日の労働時間はどれくらいなのか、アンケートの結果は以下のとおりです。
今回アンケートにご協力いただいた方の約3分の2が8〜9時間と回答しました。
8時間未満と答えた方は、パート勤務や短時間勤務の方が含まれている可能性があります。
多くの介護事業所が、8〜9時間の労働を基本としており、一般的な働き方と大きく変わりません。
ただ、介護職は身体的にも精神的にも疲労の大きい仕事です。
身体介護や認知症の対応、救急対応、ナースコール対応など、同じ8時間の労働でも負担の大きさは無視できません。
介護現場の大変さは労働時間の長さだけではなく、業務内容にもあると考えられます。
介護職の月の平均残業時間(実働)は?

基本の労働時間がそれほど長くなくても、残業時間が長いとその分負担が大きくなります。
1ヶ月の平均残業時間についてのアンケート結果は以下のとおりです。
最も多かった回答は1〜10時間で、46%を占めていました。
しかし、10〜20時間と答えた方が25%、20〜30時間と答えた方も14%と一定数みられます。
突発的な対応やシフトの引き継ぎ、記録の作成などを勤務時間外に行っているケースが多いようです。
残業の有無や時間数は、職場の業務体制によるため、ワークライフバランスを重視するのであれば、職場選びが重要です。
介護職の月の休日数は?
● 8日未満 :10%
● 8~9日 :72%
● 10~11日 :13%
● 12日以上 :5%
7割以上の方が、月の休日数は8〜9日と回答していました。
休日が月に9日とすると、年間の休日数は108日になります。
8日の場合は96日です。
厚生労働省の「令和7年就労条件総合調査」によると、令和6年(2024年)の労働者1人あたりの年間休日数の平均は116.6日でした。
今回の調査では常勤・非常勤などの雇用形態は考慮していませんが、平均と比べると介護職の年間休日数は少ない傾向にあります。
介護職が大変とされるのは、休日の少なさが関係している可能性も少なくありません。
出典:厚生労働省「令和7年就労条件総合調査」 P7
介護職の有休の取得状況は?
介護職の年間休日数は平均よりも少ない傾向にあることが分かりました。
では、有給休暇はどれくらい取得できているのでしょう。
アンケート結果は以下のとおりです。
● ほぼ取れる :23%
● 半分くらい取れる :52%
● ほとんど取れない :23%
● 取れない :2%
「ほぼ取れる」「半分くらい取れる」と答えた方の合計が75%となっており、全体の7割以上の方が、半分以上は有給休暇を取得できていることが分かります。
有給休暇は、一定の条件を満たして6ヶ月以上勤務した場合、年10〜20日付与されます。
しかし、公益財団法人介護労働安定センターの調査によると、令和5年(2023年)における介護職員の有休取得日数について、年間10日以上有休を取得している人は全体の4割以下でした。
一方、同団体の「令和6年度介護労働実態調査結果の概要について」では、採用や離職防止の方策として、有休の取得や勤務変更をしやすい職場づくりを実践していると答えた事業所は74.7%にものぼりました。
アンケート結果も踏まえると、以前に比べて有休を取得しやすい事業所が増えてきていると考えられます。
出典:公益財団法人介護労働安定センター「令和5年度介護労働実態調査」 P52
出典:公益財団法人介護労働安定センター「令和6年度介護労働実態調査結果の概要について」 P13
介護職の連休の取りやすさは?
介護現場は心身の負担が大きく、夜勤を含む長時間勤務では疲労が蓄積しやすい傾向があります。
そのため、単発の休日だけでは十分に回復しきれないという声も少なくありません。
介護職における連休の取りやすさについてのアンケート結果は以下のとおりです。
● 取りやすい :19%
● 普通 :41%
● 取りにくい :31%
● 取れない :9%
意外にも「取りにくい」「取れない」と答えた方は4割にとどまりました。
一方で、連休を取得できた場合でも年間の休日数が増えるわけではないため、その分連続勤務が発生することもあります。
介護現場の負担を軽減するには、年間休日の確保や有給休暇の取得促進、業務負担の軽減といった取り組みが重要といえるでしょう。
プライベートの時間は確保できていますか?
休日が少ないと、プライベートにかけられる時間も少なくなります。
介護職がプライベートの時間を確保することができているかのアンケート結果は、以下のとおりです。
● できている :28%
● ややできている :47%
● あまりできていない :22%
● できていない :3%
7割以上の方が「できている」「ややできている」と回答していますが、一方で4人に1人程度はプライベートの時間を確保できていないと答えています。
不規則な勤務や夜勤などで、休日が体力回復だけで終わってしまい、充実した休日を過ごせない状態もみられます。
また、「現在の働き方に満足していますか」という質問には、約半数が「満足」「やや満足」と回答していましたが、「不満」「やや不満」と答えた方も約25%いました。
プライベートの時間を確保するためには休日数も大切ですが、業務負担の程度も関係するといえるでしょう。
仕事のために私生活を犠牲にしていると感じますか?
休日に寝て過ごすだけになったり、家族との時間が十分に取れなかったりすると、私生活が充実していないと感じられることもあります。
介護職が私生活を犠牲にしていると感じているかどうかについて回答を集めました。
アンケート結果は以下のとおりです。

約6割の方が「よく感じる」「時々感じる」と答えていました。
忙しい業務の中で、私生活への影響を感じている人が多いことがうかがえます。
シフト制の職場では休日が平日に設定されることも多く、家族や友人と予定を合わせにくい点も一因と考えられます。
また、早番・遅番といった不規則な勤務形態は、子どもの送り迎えや食事の準備など、日常生活にも影響を及ぼす場合があります。
ワークライフバランスを維持するためには、柔軟な働き方を選択できる環境が重要といえるでしょう。
シフトの融通は利きますか?
土日の出勤が多いと、私生活への影響が出やすくなります。
シフト制の場合、勤務の融通が利くかどうかはプライベートの充実に大きく影響します。
休日や勤務日の希望が通りやすいかどうかについてのアンケート結果は以下のとおりです。
● 非常に利く :13%
● ある程度利く :58%
● あまり利かない :26%
● 全く利かない :3%
概ね7割の方が、「非常に利く」「ある程度利く」と答えています。
前述のとおり、採用の推進や離職防止の取り組みとして、有給休暇の取得や勤務変更に柔軟に対応する事業所は増えつつあります。
ただし、すべての事業所が同様に対応できているわけではなく、人員体制や職員間の協力状況によって実現度には差があります。
特に年末年始や介護福祉士などの資格試験日には休日希望が集中しやすく、シフト作成担当者の調整負担が大きくなる傾向があります。
どうしても土日休みを希望する場合は、土日を定休日とするデイサービスや訪問介護など、勤務形態が比較的固定されている職場を検討するのも一つの選択肢です。
介護職では副業は可能ですか?
物価上昇などによる生活面への影響から、近年では副業を始める方が増えてきています。
現在の収入に上乗せされるため、転職に頼らずとも手取りを上げることが可能です。
しかし、一部の職場では副業が禁止されている所もあります。
介護現場での副業は可能かどうか、アンケートを実施しました。
結果は以下のとおりです。
● 可能(していない) :39%
● 可能(実際にしている) :22%
● 禁止 :19%
● 不明 :20%
副業が禁止されているかどうか分からないとの回答も多くみられましたが、約3分の2の事業所では、副業が認められているようです。
現在は在宅ワークやスキマバイトが豊富にあり、収入面の底上げに利用している方も多くみられます。
介護職の方におすすめの副業3選!
介護職が副業を考える際は、スキルを活かせるもの、体力的な負担が少ないもの、自分に合った働き方を選択できるものを選ぶことが大切です。
収入面だけを重視して、体力的な負担や時間管理が厳しい仕事を選ぶと、プライベートの時間だけでなく、本業にも影響を及ぼすことになります。
本章では、介護職におすすめの副業を3つ紹介します。
①在宅ワーク(Webライターやアンケートモニター)
体力を消耗せず、自宅でも行える副業としては、Webライターやアンケートモニターがおすすめです。
介護職の経験者は日常的に記録業務に携わっているため、文章作成にも比較的取り組みやすい傾向があります。
また、趣味や介護現場での経験を活かした体験談などは需要があり、継続的な収入につながる可能性もあります。
アンケートモニターなどはスマートフォンだけで手軽に参加できるため、スキマ時間を活用した副業として取り入れやすい点が特徴です。
②コンビニなどの夜勤アルバイト
夜勤に慣れている介護職にとって、夜間の仕事は選択肢の一つになります。
日中に同じ時間働くよりも、深夜割増手当がつくため、効率よく稼ぐことが可能です。
ただし、夜勤のアルバイトは体力的な負担が大きく、本業や健康への影響が懸念されます。
睡眠時間の確保など、実際に働く場合は慎重に検討することが大切です。
③家事代行サービス
掃除や洗濯、調理など、介護経験や家事のスキルが活かせる仕事です。
勤務時間を選びやすいため、休日や空き時間を有効に利用できます。
介護職の方は人と接することに慣れていることから、家事代行でも経験を活かしやすいでしょう。
ただ、身体を動かす仕事であるため、本業に差し支えない程度に調整することが大切です。
介護職のワークライフバランスを実現する上で一番しんどいことは?
ワークライフバランスが崩れると、心身への負担が大きくなるだけでなく、私生活の満足度も低下します。
プライベートの充実度が下がることで仕事への意欲にも影響し、結果として離職や体調不良につながるケースも少なくありません。
実際の介護職経験者に、ワークライフバランスの維持を妨げる要因についてアンケートを実施しました。
以下では、その回答の中から上位3つを紹介します。
1位:時間の制約・休みの取りにくさ・シフトが不規則
ワークライフバランスを妨げる要因の1位は、時間やシフト、休日の調整が難しいことでした。
今回のアンケート結果では、事業所によっては残業が発生しやすく、有給休暇や希望休が取りにくいケースがあることを紹介しました。
また、急な欠勤対応やシフト変更により、予定が変更になるという声も見られます。
こうした休日数の少なさや不規則な勤務体系が心身の負担につながり、ワークライフバランスを崩す大きな要因になっていると考えられます。
2位:プライベート・家族時間の不足
時間の制約に次いで多かった意見は、プライベートや家族と過ごす時間の不足でした。
土日に仕事があったり、早出の日は子どもが起きる前に出勤したりして、家族や友人と時間が合わず、プライベートの充実が難しくなります。
社会的なつながりの減少は、孤立感やストレスの増大につながることもあります。
シフト制勤務によって家族や友人と予定をあわせにくくなることも、ワークライフバランスの実現が難しくなる一因といえるでしょう。
3位:心身の疲労・生活リズムの乱れ
「疲れが取れない」「夜勤で生活リズムが崩れる」「休日が疲労回復だけで終わる」など、心身の疲労や生活リズムの乱れを理由に挙げる方も多くみられました。
生活リズムが乱れると自律神経に負担がかかり、疲れやすくなったり、疲労回復までに時間がかかったりします。
そのため、休日を丸々回復に費やさなければならず、趣味や家族との時間に使えなくなります。
あまりにも疲労が続く場合は、夜勤を減らせないか上司に相談する、夜勤のない職場への転職を考えることも必要です。
ワークライフバランスを実現しやすくする方法を3つ紹介!
夜勤による生活リズムの乱れや、不規則な勤務によって時間のコントロールが難しく、プライベートの時間を確保しにくい点は、介護職における大きな課題の一つといえます。
これまで解説してきた内容を踏まえ、最後にワークライフバランスを保つための具体的な方法について解説します。
①シフト構成や年間休日数、有休、休み希望について確認してから職場を選ぶ
年間の休日数や有休、休み希望の取り扱いについては、職場のルールとして定められているため、簡単には変えられません。
職場探しの段階で、これらについて確認してから入社を決めましょう。
転職エージェントを利用する際も、譲れない条件は面談時にしっかり伝えることが大切です。
②土日なし・日勤のみや短時間勤務など働き方を見直す
家族や友人とのプライベートな時間を大切にしたい場合は、デイサービスや訪問介護で働くのがおすすめです。
職場によっては土日が休みのところも多く、平日の日勤のみで働くことも可能です。
パート勤務であれば、就業時間についても柔軟に対応してくれるところが多く、特に訪問介護では1日に1〜2時間だけ働くことなども選択できます。
③疲労が溜まらないように休日の過ごし方を工夫する
夜勤明けや休日は疲労から長時間寝てしまいやすいですが、回復のための睡眠には、量よりも睡眠の質が重要です。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」では、睡眠時間よりも「睡眠休養感」の充実が重要と位置づけています。
具体的には、寝室の環境を整える、就寝前はスマホなどのブルーライトを浴びない、寝る1〜2時間前に入浴する、日中に身体を動かす、朝食はしっかり摂り、夕食や夜勤明けの食事は軽めにするなどを推奨しています。
夜勤明けの長時間の仮眠や休日の寝だめを避け、睡眠の質を高めることを第一に考えることが大切です。
出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」
まとめ
働き過ぎといわれる日本人はワークライフバランスを崩しやすく、プライベートへの影響が懸念されるケースも少なくありません。
介護職のような身体的・精神的負担が大きい業務や不規則な勤務形態は、疲労が蓄積しやすく、休日を有意義に過ごせない場合もあります。
近年は、有給休暇の取得促進や勤務調整の柔軟化など、働きやすい環境づくりを進める事業所も増えていますが、人員体制などの事情により、すべての職場で十分に改善が進んでいるとは限りません 。
ワークライフバランスを維持するためには、働き方の見直しや条件に合った職場選びに加え、休日の過ごし方を工夫し、しっかりと疲労を回復させることが重要です。

