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112臥床とは?離床との違いやベッドで過ごす高齢者のリスクとケアのコツ

「臥床(がしょう)」という言葉は、介護や医療の現場でよく使用されますが、正しい意味や目的の理解ができていないと、より良いケアにつながりません。

疾患の影響からベッド上で過ごす時間の長い高齢者にとって、臥床時のケアは褥瘡をはじめとしたリスクの軽減を可能にします。

単に「寝ている状態」と捉えるだけでは、重要な変化を見逃してしまうことにもなるでしょう。

本記事では、臥床の意味や離床との違い、長期臥床のリスク、そして現場で役立つケアのコツを分かりやすく解説します。

Contents
  1. 臥床とは
    • 離床との違い
    • 寝たきりとの違い
    • 臥位との違い
  2. 臥位の主な種類
    • 仰臥位
    • 背殿位
    • 腹臥位
    • 側臥位
    • 屈曲側臥位
  3. 安静臥床が必要な場面
    • ケガや病気の療養中
    • 体調の変化や不調がみられたとき
  4. 長期臥床によるリスク
    • 筋力の低下や関節の拘縮
    • 心肺機能や内臓機能の低下
    • 褥瘡の発生
  5. 介護職が押さえたい臥床時の注意点
    • 臥床介助は急がず声かけをしながら行う
    • 体位変換で褥瘡を予防する
    • ポジショニングで楽な姿勢を保つ
    • 臥床中の観察ポイント
  6. まとめ

臥床とは

臥床とは「床に臥す(ふす)」という意味で、ベッドなどに横たわっている状態のことです。

眠っていても、目が覚めていても、身体を寝かせていれば臥床とされます。

介護現場に限らず、睡眠や休息をとる際に、人はベッドや布団、あるいはソファーなどに横たわることで体力の回復を図ります。

体力の低下がみられる高齢者においては、若年層よりも臥床時間は長くなりやすいことでしょう。

離床との違い

離床は「床から離れる」ことを意味し、寝ている状態から起き上がり、ベッドから離れることを指します。

そのため、臥床と離床は対になる言葉です。

介護現場では、ベッドからの離床を手伝うことを「離床介助」または「起き上がり介助」と呼びます。

また、朝起きてからの離床や、洗面・更衣といった身支度を含めた一連の介助は、「起床介助」として区別されます。

寝たきりとの違い

寝たきりとは、疾患などの影響によって、ベッド上での生活が主体となっている状態を指します。

臥床は、一時的か日常的かに関わらず横になることを指すため、寝たきりとは異なります。

寝たきりの状態が長く続くと、筋肉や関節の活動量が減少し、廃用症候群につながるため注意が必要です。

臥位との違い

臥位とは、横になっているときの姿勢や体位を表す言葉です。

一般的には、仰向けやうつ伏せ、横向きなどが臥位に含まれます。

臥位の姿勢によって、身体に負担がかかる部位や程度が異なるため、状況に応じて適切な臥位を選択することが大切です。

臥位の主な種類

臥位は、仰臥位・側臥位を基本とし、介護や看護の現場ではさらに10種類以上に分類されます。

本章では主な5種類について解説します。

仰臥位

仰向けの姿勢で、背臥位とも呼ばれる、最も一般的な臥位です。

褥瘡のリスクや強い円背などがなければ、基本は仰臥位になることが多いでしょう。

仰臥位でベッドの角度を45度ほど上げ、上半身を起こした状態はファウラー位と呼びます。

呼吸困難の改善や、経管栄養を行う際の逆流防止などに有効です。

仰臥位やファウラー位は、仙骨部や肩甲骨部に体重がかかるため、それらの部位に褥瘡がある場合は、後述の側臥位などが推奨されます。

背殿位

仰臥位の状態から、両膝を立てた状態が背殿位です。

腹部の緊張を緩める効果があるため、腰痛がある利用者には仰臥位よりも背殿位が適しています。

膝を立てて小さくまとめることで体位変換を行いやすくなるため、寝ているときだけでなく、離床介助やおむつ交換の際にも一時的に用いられます。

背殿位のままで休む場合は、膝裏にクッションなどを挟み、マットレスとのすき間を埋めるとともに足の重さを支えるように整えることが大切です。

腹臥位

うつ伏せで顔を横に向けた姿勢は、腹臥位と呼ばれます。

この体位は、関節への負担や呼吸面でのリスクに配慮が必要であるため、介護の現場では一般的に用いられる場面は多くありません。

一方で、背部への圧迫軽減や、呼吸状態の改善を目的として検討される場合もあります。

実施する際には、医師や理学療法士など専門職の指示のもとで行い、本人やご家族への説明と同意を得たうえで慎重に進めることが大切です。

側臥位

側臥位は横臥位とも呼ばれ、横向きの姿勢を指します。

おむつ交換の最中にも側臥位になりますが、主な目的は体位変換による褥瘡対策です。

30度ほど横に向けた「半側臥位」は仙骨にかかる圧力を減らし、厚みのある臀部で身体を支えるため、褥瘡のリスクを減らせます。

体位変換時は背中や腰にクッションを入れ、体位が崩れないようにします。

向いている方向によって「右側臥位」「左側臥位」と呼び、褥瘡予防の体位変換は左右を交互に行うようにしましょう。

屈曲側臥位

屈曲側臥位は、側臥位の状態で身体を丸め、膝を曲げて胸に引き寄せた姿勢です。

側臥位よりも身体を支える面が広いため、安定しやすくなります。

腰への負担を軽減する目的のほか、強い円背や膝の拘縮がみられる場合にも有効です。

90度真横を向いてしまうと、マットレスにあたっている太ももの大転子部や、膝の外側、くるぶし、膝の内側同士などに褥瘡ができやすくなります。

クッションなどをマットレスとの間、膝と膝の間に挟み込むことで予防が可能です。

安静臥床が必要な場面

臥床と離床は、利用者が日常生活を送るうえでどちらも必要です。

介護現場では、利用者の状態や状況に応じて適切に使い分けていくことが求められます。

本章では、臥床によって安静が必要とされる主な状態について解説します。

ケガや病気の療養中

臥床は体力の消費を減らし、回復を助けます。

手術直後や重篤な状態にある場合は、安全の確保と治療の効果を高めるために、安静臥床が必要です。

骨折や脱臼、捻挫などでも、患部を不用意に動かさないために医師から安静の指示が出る場合もあります。

ただし、長期臥床は廃用症候群の原因となるため、回復期に入ったらなるべく早く離床し、リハビリによって筋力の低下を予防することが大切です。

体調の変化や不調がみられたとき

何となく活気がない、発熱がある、座位姿勢が崩れている、疲労がみられるといったときも臥床が必要です。

普段と異なる様子がみられた際は、臥床介助を行い、安静を保ち、バイタルサインを確認したうえで必要に応じて医療職へ報告することが大切です。

座っている状態で意識がない、呼吸していないなど、急変が疑われる場合には、周囲に応援を求めつつ速やかに対応を行う必要があります。

状況によっては救急対応が求められることもあるため、施設のマニュアルに沿って適切に行動しましょう。

長期臥床によるリスク

過度な臥床は利用者の状態を悪化させ、以下のようなリスクを引き起こします。

・筋力の低下や関節の拘縮

・心肺機能や内臓機能の低下

・褥瘡の発生

これらについて一つずつ詳しく解説します。

筋力の低下や関節の拘縮

臥床状態が長期間続くことで、筋肉や関節を動かすことが少なくなり、筋力低下や拘縮の原因になります。

これらは廃用症候群の代表的な症状であり、一度衰えた機能を取り戻すにはリハビリが必要です。

高齢者は若年層に比べ、機能の回復に時間がかかるため、廃用症候群による筋力低下を未然に防ぐことが重要になります。

心肺機能や内臓機能の低下

寝たきりの長期化は、筋肉だけでなく血液循環や内臓機能の低下を引き起こすことがあります。

本来、人の身体は重力が常にかかることを前提として機能しており、長期間の寝たきりは、内臓の働きにも悪影響を及ぼします。

例えば、血液循環が悪化すると、血栓や起立性低血圧などのリスクが高まります。

排尿や排便にも影響し、便秘や尿路感染症のリスクにつながります。

利用者の状態を考慮しながら、日中に離床する時間を設けることも内臓機能の活性化に有効です。

褥瘡の発生

褥瘡は、身体の一部分にのみ圧力がかかり続けることで皮膚や組織の血流が滞り、組織が損傷した状態です。

同じ姿勢で寝ていると、特定の箇所のみに圧力がかかるため、褥瘡になりやすくなります。

褥瘡のリスクが高いのは以下の部位です。

・仰臥位:仙骨部、臀部、踵骨部、肩甲骨部、肘部、後頭部

・側臥位:大腿骨大転子部、腸骨部、膝関節部、外踝部、肩峰突起部、耳介部

褥瘡を予防するには、エアマットの導入や定期的な体位変換によって、圧力が1か所にだけ集中しないようにすることが大切です。

介護職が押さえたい臥床時の注意点

本章では、臥床介助や臥床後のケアのポイントについて解説します。

体位を整えたり、皮膚状態や臥床中の様子をしっかり確認したりすることで、褥瘡や窒息のリスクを回避し、状態の悪化防止につながります。

臥床介助は急がず声かけをしながら行う

臥床に介助が必要な高齢者は、身体に疾患のある方が多い傾向にあります。

無理に身体を引っ張ったり、急に持ち上げたりすると、痛みや不安につながる可能性があるため注意が必要です。

介助を行う前には、必ず声かけを行い、これからの動作を説明したうえで、安心してもらえるよう配慮しましょう。

特に腕や手首を引っ張るような動作は、負担がかかりやすいため、肩や背中などの広い面を手のひらや腕全体で支えるようにすると、安定した介助につながります。

可能な範囲で利用者自身の能力を引き出すことも大切です。

残存機能をしっかり使うことで、廃用症候群の予防につながります。

介助は力任せに行うのではなく、ボディメカニクスを意識しながら、双方にとって無理のない方法を心がけましょう。

体位変換で褥瘡を予防する

体位変換は褥瘡の予防・対策の基本です。

ただし、方法によっては十分な効果が得られない場合や、かえって別の部位に負担がかかることもあるため、適切に行うことが大切です。

体位変換の間隔は、一般的には2〜4時間ごとが目安とされています。

特に筋肉量が少なく骨が突出している方や、エアマットなどの体圧分散用具を使用していない場合は、より短い間隔での対応が検討されることもあります。

基本は「左→右→左」や「右→仰臥位→左→仰臥位→右」などの順番に臥位を変えます。

体位変換ごとに、圧力がかかる位置をずらすことが大切です。

側臥位のときは、上半身と下半身がねじれた形にならないように、背骨から足先までがまっすぐになっていることを確認しましょう。

ポジショニングで楽な姿勢を保つ

側臥位では、クッションなどを挟み、姿勢が崩れにくいように調整しますが、麻痺や拘縮がある場合には、仰臥位でもクッションを用いたポジショニングが行われることがあります。

拘縮は進行する可能性があるため、クッションや折りたたんだバスタオルなどを活用し、無理のない範囲で姿勢を整えることが大切です。

例えば、膝に拘縮がある場合は、仰臥位でも膝が浮きやすくなるため、膝裏にクッションを入れて足の重みを支えると、負担の軽減につながります。

あわせて踵が床面に強く当たらないように調整することで、踵部の褥瘡予防にも配慮できます。

全身のすき間を適度に埋めるようにポジショニングを行うことで、体圧の分散や筋緊張の緩和につながり、より安楽な姿勢を保ちやすくなるでしょう。

臥床中の観察ポイント

寝たきりの利用者は、痰が喉に詰まることで窒息するリスクがあります。

就寝中も、呼吸が苦しそうでないか、痰が絡んだ音(ゴロゴロ音)がないか、唇や足先にチアノーゼが出ていないかの確認が必要です。

おむつ交換が必要な方の場合、排尿や排便が皮膚のただれを引き起こし、褥瘡の要因になります。

皮膚に赤みがある場合は、褥瘡の初期段階であることが多いため、排泄介助時には臀部の皮膚状態を確認し、必要に応じて医療職の指示を仰ぐようにしましょう。

これらのケアをしっかり行い、変化に早く気づくことで、状態の悪化を予防できます。

まとめ

臥床とは、ベッドなどで横になって過ごす状態を指し、離床とは反対の意味を持ちます。

高齢者にとって臥床は、休息や療養のためにも必要ですが、長期化すると筋力低下や拘縮、内臓機能の低下、褥瘡などのリスクが高まります。

そのため、介護現場では利用者の状態に合わせた体位変換やポジショニング、適切な声かけ、皮膚や呼吸状態の観察が必要です。