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113介護福祉士の試験は簡単?合格率が高い理由や注意点、取得のメリットも解説

近年、介護福祉士試験の合格率が比較的高いことから、「難易度が低いのでは」といった声が聞かれることもあります。

しかし、毎年一定数の不合格者もおり、十分な対策を行わなければ合格が難しい試験であることに変わりはありません。

合格率が上昇している背景には、問題の難易度だけでなく、試験制度の改正など複数の要因が関係しているとされています。

介護福祉士資格は業務の幅を広げるうえで有用とされるため、取得を目指す方も多い資格の一つです。

本記事では、介護福祉士試験の難易度や高い合格率の理由、資格を取得するメリット、合格のコツまで分かりやすく解説します。

Contents
  1. 介護福祉士の試験は簡単?
    • 第38回(2026年1月実施)の合格率は70.1%
    • 過去10年の合格率の推移からみる難易度の相場
    • 合格基準は過去最も低い64点
    • ほかの介護系資格との比較
  2. なぜ介護福祉士の試験は合格率が高い?
    • 五肢択一式の解答形式
    • 合格基準が60%という低さ
    • 介護福祉士実務者研修の受講が必須
    • 実技試験も廃止
    • 実務経験から答えられる問題も多い
  3. 試験に落ちた人も一定数いる
    • 全体の3割近くは落ちている
    • 実務経験だけでは解けない問題も多い
    • 11科目の一つでも0点だと不合格
    • 落ちた人の特徴
  4. 介護福祉士の資格を取得する必要はある?
    • 合格率は高くても名称独占の国家資格
    • 難易度が低くてもリターンは大きい
  5. 第38回から始まったパート合格制度とは?
    • 不合格でも来年の試験が簡単に
    • 3つのパートの振り分け
    • 再受験と有効期限
  6. 介護福祉士の受験資格を得るには?
    • 実務経験ルート
    • 養成施設ルート
    • 福祉系高校ルート
    • EPAルート
  7. 介護福祉士試験に合格するには
    • 学習は計画的に進める
    • すきま時間を活用する
    • 現場での経験と知識を結びつけている
    • 過去問をしっかり分析する
    • 模擬試験を受けて解答の練習をする
    • アプリやYouTubeを活用する
  8. 介護福祉士の申し込み手続き
    • 介護福祉士国家試験の受験日
    • 「受験の手引き」の請求
    • 初めての受験者は郵送のみ
    • 合格発表
    • 合格後の手続き
    • 受験資格見込みで応募した人
  9. まとめ

介護福祉士の試験は簡単?

介護福祉士試験は、ほかの国家試験と比較すると、高い合格率で推移している傾向があります。

ただし、合格率は年度によって変動が見られるため、事前の対策が重要であることに変わりはありません。

まずは、近年の介護福祉士試験の合格率について解説します。

第38回(2026年1月実施)の合格率は70.1%

2026年1月25日に実施された第38回介護福祉士試験は、受験者数7万8,469人に対し、合格者数は5万4,987人で、合格率は70.1%でした。

第35回と第36回は80%を超える高い合格率だったため、比較的取り組みやすいと感じた方もいたかもしれません。

一方で、第37回は78.3%、第38回は70.1%とやや低下しており、年度によって合格率に変動が見られます。

このような推移から、近年は試験の難易度や受験状況に一定の変化が見られる可能性も考えられます。

過去10年の合格率の推移からみる難易度の相場

過去10年の合格率を見ると、介護福祉士試験はおおむね70%前後で推移してきました。

特に第29回(2017年)以降は、以前の50%台中心の時期と比べて高い水準が続いています。

開催年合格率合格基準点
第38回(2026年)70.1%64点
第37回(2025年)78.3%70点
第36回(2024年)82.8%67点
第35回(2023年)84.3%75点
第34回(2022年)72.3%78点
第33回(2021年)71.0%75点
第32回(2020年)69.9%77点
第31回(2019年)73.7%72点
第30回(2018年)70.8%77点
第29回(2017年)72.1%75点

この10年で最も高い合格率となったのは、第35回の84.3%です。

その後はやや低下傾向が見られ、近年は70%前後で推移しています。

過去と比較すると、合格率は安定してきており、年度によってばらつきがあるといえるでしょう。

出典:厚生労働省「第38回介護福祉士国家試験合格発表について

合格基準は過去最も低い64点

第38回の合格基準点は125点満点中64点で、正答率にすると51.2%で合格とされました。

これは過去と比較しても低い基準点となっています。

介護福祉士国家試験の合格基準は毎年固定ではなく、原則として総得点の60%程度を目安に、その年の問題の難易度などを踏まえて調整されます。

そのため、64点という数値だけを見ると低く感じられるかもしれませんが、試験全体の難易度を考慮したうえで設定された基準といえます。

年度によっては、試験の印象が異なると感じる方もいるでしょう。

ほかの介護系資格との比較

ほかの介護・福祉系資格と比べると、介護福祉士試験の合格率は高く感じられます。

例えば、2026年実施の第38回社会福祉士国家試験の合格率は60.7%、2025年実施の第27回精神保健福祉士国家試験は70.7%、2025年実施の第28回ケアマネジャー試験は25.6%でした。

介護福祉士の70.1%は、社会福祉士やケアマネジャーより高く、精神保健福祉士と同程度かやや高めの水準です。

この比較からも、介護福祉士は国家資格の中では比較的取得しやすい資格といえます。

出典:厚生労働省「 第38回社会福祉士国家試験の合格発表について

出典:厚生労働省「第28回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について

なぜ介護福祉士の試験は合格率が高い?

介護福祉士試験の合格率が高いのは、ただ問題が簡単なだけではありません。

試験形式や合格基準、受験資格の制度変更が大きく影響しています。

特に、実務経験ルートで受験する人に実務者研修が必須になったことが、合格率上昇の大きな要因と考えられます。

五肢択一式の解答形式

介護福祉士の試験は選択式のマークシート方式です。

記述式のように自分で文章を組み立てる必要がなく、選択肢から正答を選ぶ形のため、試験としては取り組みやすい部類になります。

答えに迷っても、消去法で選択肢を絞ることが可能です。

難関とされているケアマネジャーの試験は五肢複択式です。

5つの選択肢から2つ以上の正答を引き当てないと、得点になりません。

そのため、正確な知識が求められます。

それに比べると、介護福祉士試験の五肢択一式は合格率が高くなりやすい傾向があるでしょう。

合格基準が60%という低さ

介護福祉士試験の合格基準は、基本的に総得点の60%程度が目安とされています。

難関とされる国家資格の中には7割以上の得点が求められる試験もあるため、基準だけを見ると比較的取り組みやすいと感じられる場合もあります。

こうした点も、合格率が高くなる要因の一つです。

ただし、介護福祉士試験は総得点だけでは決まりません。

11科目群すべてで1点以上を取る必要があるため、特定の分野が極端に苦手な場合は注意が必要です。

この仕組みから、全体的にバランスよく学習を進めることが大切といえるでしょう。

介護福祉士実務者研修の受講が必須

受験資格を得るための実務経験ルートでは、第29回(2017年)から3年以上の従事期間かつ540日以上の実務経験に加え、介護福祉士実務者研修の修了が必須となっています。

実務者研修は450時間にも及ぶカリキュラムの受講が必要で、介護過程、医療的ケア、コミュニケーション技術など、国家試験に直結する内容を学びます。

つまり、いまの受験者は受験前にかなりの学習を終えている人が中心です。

第29回以降に合格率が50%台から70%台へ上昇した背景には、この制度改正の影響が大きいと考えられます。

試験問題が簡単になったというよりは、実務者研修の必須化により、受験者全体の基礎知識が底上げされたことが要因の一つです。

実技試験も廃止

以前の介護福祉士試験は、筆記試験に加えて実技試験の合格が必須でした。

合格率が50%台だった頃はこの実技試験が鬼門とされ、筆記だけなら多くの人が合格できたものの実技で落ちる人が多く、合格率を引き下げる最大の要因でした。

実技試験は、実務者研修の受講により免除されることとなったため、実務者研修が必須となった第29回から実技試験は段階的に縮小し、第36回(2024年)には完全に廃止されています。

以前より受験対策の負担が軽くなった分、合格率が上がったと考えられます。

実務経験から答えられる問題も多い

介護福祉士試験では、利用者への対応や介護過程、コミュニケーション、生活支援など、現場経験がある人ほどイメージしやすい内容が多く出題される傾向があります。

実務経験で受験資格を得た場合、テキストで学ぶ知識に加えて、日々の業務を通じて利用者の尊厳への配慮や認知症ケア、事故予防などの基本的な考え方に触れていることが多いといえます。

一方で、ケアマネジャー試験では、日常業務では直接意識する機会が少ない法制度や制度理解が中心となるため、別途体系的な学習が必要になる場合があります。

介護福祉士試験は現場経験と結びつけて学習しやすい内容も多く含まれており、その点が取り組みやすさにつながっていると感じる方もいるでしょう。

試験に落ちた人も一定数いる

多数の合格者が出る一方で、惜しくも合格基準に届かなかった方も少なくありません。

問題文には国家試験独特の言い回しなどがあり、何を問われているか正確に理解していないと失点を重ねてしまいます。

高い合格率に油断せず、事前準備をしっかり行うことが大切です。

全体の3割近くは落ちている

第38回試験の合格率は70.1%でしたが、言い換えると3割ほどが不合格になっています。

高めの合格率とはいっても、およそ3人に1人近くが不合格になっていることを考えると、合格には十分な対策が必要です。

特に、働きながら受験する人も多い資格であるため、勉強時間を確保できずに本番を迎えてしまうケースも少なくないでしょう。

実務経験だけでは解けない問題も多い

現場経験があることで理解しやすい分野は多いものの、それだけでは対応が難しい内容も一定数含まれています。

例えば、介護保険制度や関連法規などは、日常業務の中で触れる機会はあっても、体系的に理解するには別途学習が必要になる場合があります。

実務経験は得点につながる土台にはなりますが、合格を目指すためには、試験対策として知識を整理しながら学習を進めることが重要といえるでしょう。

11科目の一つでも0点だと不合格

介護福祉士試験の範囲は広く、11科目群に及ぶため、早めの受験対策が必要になります。

先ほども述べたように、介護福祉士試験では試験科目のすべてで1点以上得点していることが合格の条件です。

1科目でも0点があると不合格になります。

特に「社会の理解」「発達と老化」など、現場だけでは学びにくい分野を放置すると危険です。

すべての科目でバランスよく得点できるように勉強することが大切になります。

落ちた人の特徴

不合格になる人には、いくつかの共通点があります。

知識不足だけではなく、勉強の進め方や試験対策の仕方で差がついているケースが多くみられます。

十分に対策できるように、不合格になる人の特徴について学んでおきましょう。

勉強時間が足りない

介護福祉士試験の学習時間は、一般に250時間程度が一つの目安とされています。

ただし、必要な学習量には個人差があり、短期間の詰め込み学習だけで合格を目指すのは難しい場合もあります。

万全を期すには、少なくとも数ヶ月程度の学習期間が必要です。

働きながら受験する場合は、仕事に加えて家事や育児などの影響もあり、まとまった勉強時間を確保することが課題になることもあります。

こうした点から、計画的に学習時間を確保していくことが、合格に向けた重要なポイントといえるでしょう。

苦手科目でつまずく

法制度や障害者福祉などの分野は、現場経験だけでは理解しにくい場合もあり、試験対策としては重点的な学習が必要になることがあります。

これらの分野は、仕組みを正しく理解していないと、曖昧な知識のままでは正答につながりにくい傾向があります。

また、介護業界では法改正が行われることもあるため、最新の動向が試験に反映されるケースも見られます。必要に応じて、ニュースや公的情報などから情報を補うことも有効です。

すべての条文を細かく覚える必要はありませんが、介護保険制度や障害福祉サービスの基本的な枠組みについては、試験対策として整理しておくことが大切です。

試験問題の形式に慣れていない

知識があっても、問題文の言い回しに慣れていないと思わぬところで失点します。

介護福祉士試験では、「適切なもの」「最も適切なもの」「適切でないもの」など、設問の聞き方で正解が変わります。

過去問や模擬試験の経験なしに本番を迎えてしまうと、何を問われているのかを読み違えることが少なくありません。

例えば、「必ず◯◯しなければならない」と断定している選択肢については、問題文にはなくてもほかの方法も考えられる場合は誤りになるケースがあります。

こうした試験独特の言い回しは、テキストを読むだけでは身につきにくいため、実際に問題を解くことで慣れる必要があります。

介護福祉士の資格を取得する必要はある?

介護福祉士の資格に対して「簡単すぎるから取得する価値がないのでは?」との疑念を持たれることがあります。

受験者の7割が合格できるのであれば、周囲との差別化につながりにくいと感じられるかもしれません。

しかし、介護福祉士の取得はその後の給与やキャリア、信頼性につながる大きな要因です。

むしろ、合格しやすいのであれば確実に取得しておくことが大切です。

合格率は高くても名称独占の国家資格

介護福祉士は、「社会福祉士及び介護福祉士法」に基づく国家資格であり、名称独占の資格に位置づけられています。

名称独占とは、その資格を持つ人だけが定められた名称を使用できる仕組みを指します。

「介護福祉士」という名称を名乗れるのは、有資格者に限られるため、利用者や家族、職場における一定の信頼性にもつながる要素の一つといえます。

なお、介護業務自体は無資格でも従事することが可能ですが、介護福祉士の資格を取得することで、一定水準の知識や技術を有していることの一つの証明となります。

難易度が低くてもリターンは大きい

介護福祉士の資格はさまざまな場面で活かされます。

単に知識や技術を身につけるだけではありません。

資格の取得における主なメリットを紹介します。

保有資格と平均月給の関係

厚生労働省の「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」を見ると、常勤の平均月給は保有資格によって違いがあることが分かります。

介護福祉士は35万0050円で、実務者研修受講者の32万7260円、初任者研修受講者の32万4830円、無資格の29万0620円を上回っています。

保有資格平均月給介護福祉士との差
介護福祉士35万0050円
介護職員実務者研修32万7260円2万2790円
介護職員初任者研修32万4830円2万5220円
無資格29万0620円5万9430円

無資格と介護福祉士では、月給が約6万円もの差になります。

無資格の方は現場経験が少ない人が多く、そもそもの基本給が少ないと考えられるため、単純な比較にはならないかもしれません。

しかし、勤務先や施設によっても違いはありますが、平均値でこれだけの差が生じるのは、経験年数の長い人のほとんどが介護福祉士を取得していることを裏付けています。

出典:厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」P17

多くの職場で資格手当がある

職場によっては、介護福祉士を保有していることで資格手当がつく場合があります。

社会福祉振興・試験センターの介護福祉士就労状況調査(2020年)の資料では、介護福祉士の資格手当の平均月額は9,055円とされています。

年額にすると108,660円、10年で100万円以上の差になることもあるため、介護職を続けるなら必ず取得しておきたい資格です。

すべての職場で資格手当が支給されるわけではありませんが、給与規程に定めている事業所も多いため、資格の取得がそのまま収入アップにつながる可能性は高いといえます。

出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「介護福祉士就労状況調査結果(2020年)」P52

キャリアアップの条件にもなる

介護福祉士は、現場での中核的な役割やリーダー職を目指すうえで、有利に働く場合があります。

例えば訪問介護のサービス提供責任者には、介護福祉士や実務者研修修了など一定の要件が求められるため、初任者研修や無資格のままでは就けません。

また、職場によっては昇進や役職登用の条件として介護福祉士資格を要件としているケースもあり、キャリア形成の観点から取得を目指す人も多く見られます。

資格取得の要件にもなる

介護福祉士は、ほかの資格取得を目指す際の基礎となる場合もあります。

例えばケアマネジャー試験の受験資格には、介護福祉士などの国家資格を取得したうえで、資格に基づく業務または相談援助業務の実務経験が通算5年以上かつ900日以上必要とされています。

対象となる資格には、介護福祉士のほか社会福祉士や看護師、理学療法士なども含まれますが、実務経験を積みながら取得を目指せる点は介護福祉士の特徴の一つです。

また、介護福祉士の上位資格として認定介護福祉士という制度もあり、専門性の高い知識や技術を有していることの一つの指標とされています。

このように、将来的にリーダー職やケアマネジャーなどを目指す場合には、介護福祉士資格がキャリアの土台になることが多いといえるでしょう。

就職や転職にも有効

転職や再就職においても、介護福祉士を取得していることで大きなアドバンテージが得られます。

有資格者は採用選考において評価されることがあり、条件の異なる求人にも応募しやすくなるケースがあります。

また、一度介護職を離れた場合でも資格そのものが失効するわけではないため、出産や育児、家族の介護、転居などで離職した後でも、再び介護職に戻る際の一つの強みとなります。

第38回から始まったパート合格制度とは?

第38回試験から、介護福祉士試験には「パート合格制度」が導入されました。

これは、試験全体として不合格だった場合でも、パートごとに一定の基準を満たしていれば、パート合格が認められ、次回以降の試験において合格済みのパートについては試験が免除される制度です。

試験問題が科目別にA・B・Cの3つのパートに分けられ、各パートで60%以上の正答率があれば、パート合格とされます。

再受験者にとってはかなり大きな救済策となり、今後の合格率にも影響すると考えられます。

不合格でも来年の試験が簡単に

パート合格の大きなメリットの一つは、翌年以降の学習範囲を絞れることです。

例えば、AとBのパートに合格し、Cのみ不合格だった場合は、次年度にCの分野を中心に学習することが可能になります。

すべての科目を再度学び直す場合と比べると、再受験時の負担を軽減できる仕組みといえるでしょう。

3つのパートの振り分け

試験はA・B・Cの3パートに分かれています。

Aパート(60問)

「人間の尊厳と自立と介護の基本」

「社会の理解」

「コミュニケーション技術」

「生活支援技術」

Bパート(45問)

「こころとからだのしくみ」

「発達と老化の理解」

「認知症の理解」

「障害の理解」

「医療的ケア」

Cパート(20問)

「介護過程」

「総合問題」

この分け方を理解しておくと、勉強の優先順位が立てやすくなります。

例えば、制度や生活支援技術が苦手ならAパート、医療や認知症が弱いならBパート、事例問題が苦手ならCパートと、弱点を意識して学習を進められます。

出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「介護福祉士国家試験

再受験と有効期限

合格したパートは、翌年と翌々年の2年間免除が続きます。

例えば、第38回試験で合格したパートは、第40回(2028年)の試験まで免除の対象となります。

なお、第38回は制度が導入されて最初の試験だったため、全受験者が全パートを受験しましたが、第39回以降の再受験者は、全パートを受験するか、不合格だったパートだけを受験するか選べる仕組みです。

介護福祉士の受験資格を得るには?

介護福祉士の受験資格には、主に4つのルートがあります。

・実務経験ルート

・養成施設ルート

・福祉系高校ルート

・EPAルート

この中で、働きながら受験資格を得る実務経験ルートの受験者が最も多く、第36回(2024年)では受験者の87.9%が実務経験ルートでした。

出典:厚生労働省「介護福祉士国家試験に関する参考資料」P8

実務経験ルート

実務経験ルートで受験資格を得るには、介護などの業務に3年(1095日)以上従事し、かつ従事日数が540日以上あり、さらに実務者研修を修了していることが条件です。

働きながら資格の取得を目指す人の多くがこのルートになります。

相談援助業務を行う生活相談員や施設管理者であっても、介護等の業務に従事している実態があれば実務経験として認められます。

逆に、直接的な介護業務に従事していない場合は実務経験に含まれません。

養成施設ルート

介護福祉士養成施設を卒業して受験資格を得るルートです。

学校で体系的に学べるため、基礎からしっかり身につけやすいのが特徴です。

養成施設には、4年制大学、短大、専門学校(2〜3年)、ほかの養成施設(社会福祉士など)を卒業した人向けの1年課程の専攻科があります。

高校卒業後、早い段階から介護福祉士を目指す人に選ばれることが多い進路の一つです。

以前は国家試験が免除され卒業と同時に資格取得できる制度もありましたが、2027年度以降の卒業生については、筆記試験の合格が必要とされています。

福祉系高校ルート

福祉系高校や福祉系特例高校などで、所定の課程を修了することで受験資格を得るルートです。

このルートでは、最短で18歳から受験資格を得ることが可能とされています。

特例高校の場合は、卒業後に一定期間(原則として9ヶ月)の実務経験を積むことで、受験資格を満たす仕組みになっています。

EPAルート

EPA(経済連携協定)に基づき、インドネシアやフィリピンなどから来日した介護福祉士候補者のための受験資格ルートです。

就労しながら介護福祉士資格の取得を目指して研修を受けます。

実務経験年数や研修など、一般ルートとは異なる条件が定められています。

介護福祉士試験に合格するには

確実に合格するには、現場経験に加えて関連知識の勉強が必要です。

本章では、実際に合格した人の勉強方法や注意点も含めてまとめました。

これから受験を目指す方は参考にしてください。

学習は計画的に進める

まずは長期的な学習計画を立てることが重要です。

一般的な学習時間とされる250時間に到達するには、1日1時間の学習では、おおよそ8ヶ月以上の期間が必要になります。

そのため、自身の状況に応じて勉強時間を設定し、試験日から逆算して計画を立てることがポイントです。

苦手な科目にはやや多めに時間を配分し、特定の分野に偏りが出ないようにバランスよく学習を進めることが大切です。

すきま時間を活用する

働きながらの合格を目指すなら、まとまった時間だけに頼るのは難しい場合が多いため、すきま時間を有効に活用して勉強を進めることが大切です。

通勤途中の電車の中や休憩時間、出勤前や寝る前の15分など、細かい時間を積み重ねることで勉強時間を確保しましょう。

介護福祉士試験は暗記だけでなく専門用語や仕組みの理解も必要になります。

すきま時間で行う勉強には、制度や用語の確認など短時間で取り組める学習が向いています。

現場での経験と知識を結びつけている

試験勉強を効率よく進めるためには、普段の現場経験を試験のための知識と結びつけることが重要です。

例えば、移乗介助や認知症ケアなどを実践する中で、なぜその対応が必要なのかを理論的に説明できるようになると、一層理解が深まることでしょう。

テキストで学ぶ知識と比べると、実務の中で身につけた内容は具体的な体験と結びつくため、記憶に残りやすい傾向があります。

過去問をしっかり分析する

過去問をただ解くだけではなく、解説を通して、正解・不正解の理由を学ぶことが大切です。

知らなかった知識を得るとともに、出題者がどのような意図を持って問題を作成したかを理解することにもつながります。

介護福祉士の試験では、選択肢の違いが細かく設定されている問題もあり、設問の意図を正しく読み取ることが重要になります。

そのためにも、過去問は一度解くだけで終わらせず、繰り返し取り組むことで理解を深めていくことが効果的とされています。

模擬試験を受けて解答の練習をする

本番で力を発揮するためには、知識の習得に加えて時間配分に慣れておくことも大切です。

模擬試験を受けると、自分の弱点やペース配分が見えやすくなり、本番での緊張の軽減や苦手科目の強化につながります。

また、設問の読み間違いを防ぐためにも、事前に問題形式に慣れておきましょう。

あらかじめ問題文に慣れておくことで、問題の意図を落ち着いて把握・回答しやすくなります。

アプリやYouTubeを活用する

近年では、スマートフォンのアプリや動画を活用して学習を進める人も増えています。

テキストだけでは理解しづらい内容でも、音声や動画を取り入れることで、イメージしやすくなります。

また、過去問に特化したアプリやWebサイトは、通勤中の電車内など、すきま時間を活用して学習しやすい点が利点の一つといえるでしょう。

介護福祉士の申し込み手続き

介護福祉士の試験を受けるためには、決められた期間内に願書を提出しなければなりません。

また、受験に必要な実務経験証明は、勤務先に申請して発行してもらう必要があります。

発行には時間がかかる場合もあるため、早めに手続きを進めておくことが大切です。

さらに、試験に合格した後には登録手続きが必要です。

この登録を行わなければ、正式に介護福祉士を名乗ることはできないため、合格後も忘れずに手続きを行うようにしましょう。

介護福祉士国家試験の受験日

公益財団法人社会福祉振興・試験センターによると、第39回介護福祉士国家試験は2027年1月下旬に実施予定です。

例年、筆記試験は1月下旬に行われているため、受験を予定している方は夏ごろから試験対策を始めておくと安心です。

出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「介護福祉士国家試験概要

「受験の手引き」の請求

第39回試験の詳細は、2026年7月〜8月頃に公表される傾向があります。

受験の手引きや申し込み方法の案内もこの時期に更新されるため、時期が来たら試験センターの情報を確認しておきましょう。

介護福祉士試験は、定期的に制度改正が行われ、受験資格や制度が変わる可能性もあるため、毎年最新の情報を確認するようにしてください。

公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「介護福祉士国家試験受験申し込み手続き

初めての受験者は郵送のみ

初回受験者は提出書類が多くなるため注意が必要です。

特に締切直前になると必要書類の不足や記入ミスが発生しやすいため、早い段階で受験案内を確認し、余裕を持って準備を進めることが重要です。

再受験者はインターネットによる申込を利用できます。

これにより、郵送の手間や証明写真の準備などが不要になり、手続きを効率的に進められます。

第39回試験以降は、不合格となったパートのみを再受験することも可能になっています。

申し込み方法も若干変更されている可能性があります。

必ず公式の受験案内で確認しましょう。

合格発表

合格の可否は、合格者番号のネット掲載と、郵送される結果通知で確認できます。

第38回試験の合格発表は2026年3月16日に行われ、結果通知は3月19日に発送されました。

今後も大きな変更がない限り、合格発表は毎年おおむね3月中旬ごろに実施されるのが基本的なスケジュールです。

合格後の手続き

国家試験に合格しただけでは、まだ正式に介護福祉士を名乗れません。

試験センターへ介護福祉士の登録申請を行い、登録簿に登録されて初めて介護福祉士になります。

登録には、登録免許税9,000円と登録手数料3,320円の合計12,320円の費用が発生するため、事前に準備しておくことが大切です。

書類に不備がなく申請が滞りなく進んだとしても、登録証が届くまで概ね1ヶ月半程度かかります。

合格してすぐ転職活動や昇給の申請を考えている人は、このタイムラグも見込んでおきましょう。

受験資格見込みで応募した人

受験票の受験資格欄が「見込」になっている人は、合格後に必要書類をあらためて提出しなければなりません。

提出期限までに証明書を出さないと試験が無効になることもあります。

見込受験の人は、合格発表後の案内まで必ず確認し、必要な書類を速やかに提出するようにしましょう。

まとめ

介護福祉士試験は、国家資格の中では合格率が高く、比較的取りやすい資格といえます。

しかし、その理由は問題が簡単だからではなく、五肢択一の形式、合格基準の低さ、実務者研修の必須化、実技試験廃止など、制度面の影響が大きいといえます。

実際には毎年3割近くが不合格になり、苦手科目の放置や準備不足で落ちる人も決して少なくはありません。

そのため、試験対策は短期間で詰め込むのではなく、計画的に進めることが重要です。

過去問題の活用やすきま時間の学習、アプリの利用などを取り入れながら、継続的に学習を進めていくことが合格への近道となるでしょう。