介護職における夜勤は、重要な業務の一つですが、その負担の大きさに悩む人も少なくありません。
生活リズムの乱れや身体的な疲労、少人数体制によるプレッシャーなど、日勤とは異なる大変さがあります。
「夜勤が辛い」「このまま続けていけるのか不安」と感じたことのある方も多いのではないでしょうか。
本記事では、2026年4月に当社が介護職経験者100名を対象に実施したアンケート調査をもとに、介護職の夜勤における問題点や背景を整理しながら、夜勤のネックとなる眠気への対策についても紹介します。
介護職として働く中で夜勤はある?
アンケート結果は以下のとおりです。
- 「ある」・・49.1%
- 「ない」・・50.9%
介護職といえば、夜勤のイメージが大きいのではないでしょうか。
実際、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、有料老人ホームなどでは、24時間体制で利用者のケアを行うため、夜間業務が必須になります。
しかし、すべての方が夜勤に携わっているわけではありません。
訪問介護事業所やデイサービスにおいては夜勤がなく、日中の勤務だけで働き続けることも可能です。
アンケート結果でも、介護職の約半数が夜勤のない職場で働いています。
夜勤がつらい、大変と感じる方には、このような働き方もおすすめです。
例外として、夜間対応型の訪問介護事業所や、小規模多機能型のデイサービスでは、夜間業務を任されることもあるため、注意が必要です。
介護職での1ヶ月の夜勤の回数はどれくらい?
アンケート結果は以下になります。

アンケート結果によると、夜勤の一般的な回数は月に4~6回が最も多く、週に1〜2回程度であることが分かります。
法的には、介護職の夜勤回数についての上限は設けられていません。
夜勤専従という働き方もあり、月に10回前後、夜勤に携わっているケースもあります。
2交替制の夜勤では、1回で2日分の就業とみなされることが多いですが、3交替制の場合は1日分の勤務としてカウントされます。
そのため、二夜続けて夜勤に入ることも可能です。
介護職での夜勤は何人体制?
アンケート結果は以下のとおりです。

アンケート結果では、半数の介護職が1人または2人で夜勤に対応していると答えました。
夜勤の人員基準については、施設の種類や入所者の人数ごとに、厚生労働省が定めています。
| 入所者の人数や範囲 | 夜勤の職員数 | |
| 特別養護老人ホーム(従来型) | 25名以下 | 1人以上 |
| 26名以上60名以下 | 2人以上 | |
| 61名以上80名以下 | 3人以上 | |
| 介護老人保健施設(従来型) | 20名以下 | 1人以上 |
| 21名以上40名以下 | 2人以上 | |
| 41名以上60名以下 | 3人以上 | |
| グループホーム | 1ユニット(5〜9名) | 1人以上 |
| 介護付き 有料老人ホーム | 30人以下 | 1人以上 |
| 31人以上60名以下 | 2人以上 | |
| 住宅型 有料老人ホーム | ー | 夜間介護に対応できる人数 (自治体の指針による) |
| サービス付き高齢者向け住宅(一般型) | ー | 1人以上の常駐 または緊急通報への駆けつけ体制 |
小規模な施設は人員が少なく、入所者が多い大規模施設は人員も多いのが一般的です。
ただ、ユニット型かどうかや緊急時の連絡体制の有無、ICTの活用などによっても基準が変化します。
そのため、具体的な人員基準については、厚生労働省の資料をご確認ください。
夜勤の人数が多いほうが楽に思うかもしれませんが、その分、入所者が多かったり、介護度が重かったりするため、負担が大きい場合もあります。
実際の人員配置については、施設の判断にもよるため、負担が大きいかどうかは職場によって異なることを理解しておきましょう。
出典:厚生労働省「厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準」
厚生労働省「認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)について」
厚生労働省「特定施設入所者生活介護」P24
厚生労働省「有料老人ホームの現状と課題について(追加資料)」P3
厚生労働省「サービス付き高齢者向け住宅の概要」P25
介護職の夜勤で仮眠は取れる?
アンケート結果は以下のとおりです。
- 取れる 63%
- 取れない 37%
夜勤中に仮眠がとれるかどうかは、身体的・精神的な疲労に直結します。
労働基準法第34条では、6時間を超える労働には45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を挟むことが義務付けられています。
2交替制の場合は16〜17時から翌9〜10時までの実働約16時間、3交替制でも22時から翌6〜7時までの実働約7〜8時間に及ぶため、1時間以上の休憩が必要です。
しかしワンオペ夜勤では、休憩時間中のナースコールや緊急対応が必要になることもあり、休憩を取れない場合もあるようです。
休憩中でも、ナースコールが鳴れば対応する状態は、手待ち時間とされ、休憩時間とはみなされません。
しかし、業務の特性上、休憩の確保が難しいことも多く見られています。
介護職の夜勤に手当はある?

本来、22時〜翌5時の労働に対しては、基礎賃金の25%以上にあたる深夜割増手当(深夜手当)の支給が、労働基準法第37条によって義務付けられています。
しかし、職場の規定によって割増分以上の夜勤手当が支給されていれば問題ありません。
従業員の基礎賃金の額は一人ひとり異なるため、事務処理の効率化から、一律の夜勤手当を支給している職場が多く見られます。
アンケート結果では、0円という職場もわずかにあったようです。
このような職場は、深夜割増手当を支給しているのかもしれませんが、もし割増もされていなければ違法となります。
夜勤は大変?それぞれの理由も解説
夜勤は「きつい」「生活リズムが崩れる」といったイメージを持たれやすい働き方です。
しかし実際には、仕事内容や職場環境によって感じ方は大きく異なります。
では、なぜ夜勤は大変だと言われるのでしょうか。
本章では、アンケート結果をもとに夜勤ならではの負担やその理由を分かりやすく解説していきます。
1位 少人数・ワンオペによる精神的プレッシャーと責任の重さ
先ほどのアンケートの結果でも、50.0%の介護職が1〜2人で夜勤を行っています。
たとえ2人夜勤でも、もう1人が休憩に入っている時間帯は実質1人で対応しなければなりません。
また、ワンオペ夜勤の場合は、分からないことや判断に迷うことがあっても、1人で対応しなければならないため、精神的なプレッシャーや責任を感じることもあるでしょう。
急変時などには応援を依頼することもありますが、朝を迎えるまでワンオペの緊張感が続くことになります。
2位 ナースコール・急変・突発対応による中断ストレス
巡回や排泄介助を行っている途中にナースコールや突発的な急変、認知症の方の対応などが発生すると、業務を中断せざるを得ない場合もあります。
特に夜間は少人数のため、ナースコールが重なることで対応に追われ、通常業務が進まないといったことも少なくありません。
急変時は、利用者への応急対応をしながら医療機関・家族・救急隊への連絡なども必要になるため、休憩中の職員が呼び出されることもあります。
どれも予測が困難なため、業務の中断や突発的な対応により疲労が増大します。
3位 人員不足による業務過多・多重業務
少人数での対応や睡眠不足による疲労は、日中以上に身体的・精神的な負担を感じやすいといえます。
特別養護老人ホームなど多くの介護施設では、通常2時間おきに巡回を行います。
入所者が多いと、1室1室巡回するだけでもかなりの時間が必要です。
さらに、排泄介助や2時間おきの体位変換に加え、日中にできない共用部分の掃除や洗濯、記録などの業務を行う場合もあります。
体調不良や発熱などがあれば、定期的なバイタル測定、アイスノンの交換などの対応も必要です。
ときには、業務が長引いて休憩時間に割り込んでしまうこともあり、仮眠が十分に取れないことにもつながります。
夜勤の主な仕事内容は?
①巡回・見守り
夜間は定期的な巡回によって、安否や異状の有無を確認する必要があります。
寝息を立てずに静かに眠っている方の場合、なかなか呼吸の確認ができず、足を止めることも多いでしょう。
また、真っ暗な廊下を1人で歩くのも、人によっては恐怖や孤独を感じるかもしれません。
②食事・服薬など
16〜17時からの夜勤では、夕食から翌日の朝食までの業務を行います。
夜勤明けに座って食事介助をしていると、一気に睡魔が襲ってくることもあります。
食堂にはたくさんの入所者が集い、誤嚥や服薬ミスといった重大なリスクもあるため、一層注意が必要です。
しかし、夜勤の疲労によって、集中力の低下を感じる方も少なくないでしょう。
③排泄介助
夜間の排泄介助は、照明が暗い中で行うことも多く、日中以上に皮膚状態の観察に注意が必要です。
また、認知症の入所者の中には、おむつを外したり、パッドを抜き取ったりしてしまう方もいます。
それによって寝衣やシーツが汚れ、着替えなどが必要になるとさらに負担が増すことになります。
夜勤が原因で起きる不調は?
1位 睡眠障害・睡眠リズムの乱れ
夜勤業務を行う方にとって、睡眠障害は深刻な問題です。
夜勤明けの疲れた身体でも寝つきが悪かったり、眠りが浅くなったりすることがあります。
これは、自律神経の不調によるものです。
昼間に働き、夜は眠るという通常の生活リズムに反することで、体内時計が狂い、自律神経の不調につながります。
普段の睡眠の質にも影響し、不眠や寝不足、中途覚醒などを引き起こす場合もあります。
2位 慢性疲労・倦怠感・体力低下
自律神経の不調が続くと、睡眠の質が低下し、休んでいても疲れが取り切れない状態になることがあります。
身体のだるさや重さが慢性化し、休みの日を一日中寝て過ごしてしまうという方も少なくないでしょう。
慢性的な疲労の蓄積は、集中力や記憶力の低下、意欲の減退を招く場合があり、日中の勤務にも影響します。
注意不足や作業ミスの原因にもなるため、夜勤従事者にとって大きな問題の一つといえるでしょう。
3位 精神的ストレス・気分の落ち込み
夜眠れなかったり、疲れが残っていたり、緊張が抜けないことで、精神的なイライラや気分の落ち込みがみられることもあります。
自律神経の不調は肉体的な疲労だけでなく、精神面にも影響します。
睡眠不足や過度の緊張が、不安感の増大やうつ症状の原因になることもあり、注意が必要です。
出勤前になると気分が重い、最近怒りっぽくなったと感じたら、迷わず医療機関を受診し、意識的にストレスを発散することが大切です。
夜勤時によく起こるトラブルは?
夜勤は日中とは異なる環境で業務を行うため、思わぬトラブルが発生しやすい時間帯でもあります。
人手の少なさや判断力の低下など、さまざまな要因が重なることで問題が起こることも少なくありません。
では、夜勤中には具体的にどのようなトラブルが起こりやすいのでしょうか。
アンケート結果をもとに代表的なケースを解説していきます。
1位 転倒・転落
夜勤中のトラブルとして最も多く挙げられたのは、転倒やベッドからの転落でした。
夜中や早朝はまだ眠気の残る時間帯であることから、立ち上がりや歩行が不安定になりやすく、転倒が多くなります。
日中はデイルームなどの見守りがしやすい場所で過ごしていても、自室内では目配りが届きません。
歩けない利用者が歩いてしまい、転倒する例は、多くの夜勤従事者が経験していることでしょう。
打ちどころが悪いと、骨折や流血、頭部打撲などにより救急搬送が必要になる場合もあります。
突発性、緊急性、そして予測困難であることから、転倒・転落は夜勤者にとっての大きなトラブルとされています。
2位 認知症の不穏・徘徊
日中は穏やかに過ごされていても、夜間の不眠や一人になることへの不安から、不穏状態になることがあります。
その結果、徘徊や帰宅願望の訴えが見られるケースも少なくありません。
大声で叫ぶ、落ち着きなく歩き回る、あるいは歩行が困難でも無理に移動しようとするなどの行動が、人員の少ない夜勤中に起こると、他業務を中断して対応せざるを得ない状況になります。
特に認知症対応は経験のある職員でも難しい場合があり、不穏状態の継続や再燃への不安が精神的な負担を大きくします。
認知症による不穏や問題行動は、夜勤者にとって代表的なストレス要因の一つといえるでしょう。
3位 ナースコール多発・同時対応困難
ナースコールが複数同時に鳴ると、夜勤者はどこから対応するか判断に迷うことも少なくありません。
また、職員が来るまで押し続ける利用者もおり、対応が長引くケースも見られます。
排泄介助や便汚染など時間を要する業務の最中に、コールが鳴り止まない状況や認知症の方の不穏対応、さらには歩行困難な利用者の離床などが重なると、現場は一気に混乱しやすくなります。
その結果、焦りや不安が強まり、精神的なストレスも大きくなります。
限られた人員の中では、状況を瞬時に判断し優先順位をつける力が求められるため、対応の難しさを感じる場面も多くなります。
夜勤中の眠気対策
夜勤で最も多くの人が悩むのが強い眠気です。
深夜から早朝にかけては体のリズム的にも眠気がピークになり、集中力や判断力が低下しやすくなります。
そのため、仕事のパフォーマンスを保つには適切な対策が欠かせません。
本章では、夜勤中の眠気を上手に乗り切るための方法を紹介します。
目薬(クール系)をさす
クール系の目薬には、メントールやカンフルなどを主成分とする清涼化剤が含まれており、さしたときの爽快感や気持ち良さを感じられるように作られています。
また近年では、介護記録や資料の閲覧などにPCやスマートフォンなどの電子端末の利用が多いため、夜勤中の疲れ目やドライアイにも効果的です。
ただし、根本的な疲労回復ではないこと、過剰な使用はドライアイを助長してしまうことに注意し、説明書に記載の用法・用量を守るようにしましょう。
カフェインが含まれる飲み物を飲む
眠気覚ましにブラックコーヒーやエナジードリンクを愛飲している方も多いことでしょう。
カフェインには、脳の覚醒や疲労感を感じにくくする作用があり、集中力の維持にも有効です。
しかし、カフェインの過剰摂取は体調不良を引き起こす可能性があり、動悸や不安、震え、不眠、下痢、吐き気などの症状につながる恐れがあります。
成人の場合、コーヒーは1日あたり3杯ほど、エナジードリンクなら250ml缶を2本程度にすることが大切です。
また、製品によってはエナジードリンク1缶に角砂糖約10個分もの糖分が含まれるため、糖尿病や肥満などの生活習慣病にも注意が必要です。
効率の良い仮眠を取る
夜勤の介護業務では、限られた時間の中でいかに質の高い仮眠を取るかが、その後の業務パフォーマンスに大きく影響します。
仮眠を取る際は、まず短時間でもしっかり休息できるよう、照明や音などの環境をできるだけ整えることが大切です。
アイマスクや耳栓を活用するだけでも外部刺激を減らし、入眠しやすくなるでしょう。
また、仮眠時間は20〜30分程度を目安にすると、深い睡眠に入りすぎず、起床後のだるさを軽減することが可能です。
さらに、横になる前に軽くストレッチを行うことで身体の緊張がほぐれ、スムーズに休息へ入りやすくなります。
このように、質を意識した仮眠を取ることで、夜間の巡視や緊急対応にも集中力を保ちやすくなるでしょう。
まとめ
介護職における夜勤は、少人数体制による業務の重複やプレッシャー、睡眠不足などが影響し、身体的にも精神的にも負荷のかかる働き方です。
職場によって夜勤の回数や仮眠の取りやすさ、手当の額などが異なり、状況によってはつらさを感じることもあるでしょう。
眠気対策や休息の工夫を取り入れることで継続して働けるように、生活リズムを見直すことも大切です。
心身の不調を感じたら、早めに医療機関を受診しましょう。
夜勤のない職場への転職など、負担の少ない働き方の検討も選択肢の一つです。
