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100介護が辛いと感じたときの対処法は?頑張り過ぎずに続けるためのコツ

大切な家族のために、日々献身的な介護を続けていらっしゃる方々には、心から頭が下がる思いです。

しかし、介護疲れによる共倒れなど、在宅介護が抱える負担は非常に大きな社会問題でもあります。

介護する側の心が折れてしまっては、家族にとっても本人にとっても元も子もありません。

本記事では、介護が辛いと感じる原因や負担を軽減する具体的な対処法、疲れ切ってしまう前に考えておきたいことについて解説します。

介護が辛いと感じるのは特別なことではない

かつての日本では、親の介護は家族が担うもの、という風潮がありました。

しかし、核家族化や共働き世帯の増加により、そのような文化は過去のものとなっています。

さらに、医療の進歩や平均寿命の延伸により、介護は長期化する傾向があり、負担も増えているのが現状です。

こうした時代の変化を背景に、家族介護を続ける中で疲弊してしまう方も少なくありません。

そのため、介護疲れのサインに気付き、早めに対処することが大切です。

多くの人が介護を大変だと感じている

厚生労働省による国民生活基礎調査では、同居の主な介護者のうち約7割が、日常生活で悩みやストレスを抱えていることが分かりました。

特に、介護度が高いほどその割合はさらに大きくなる傾向にあります。

つまり、多くの人が家族介護に負担を感じており、心身の疲労がさまざまな問題の要因になることも少なくありません。

出典:厚生労働省「令和4年国民生活基礎調査」表番号64

介護疲れのセルフチェック

公益社団法人全国老人保健施設協会の「介護ストレスチェックシート」を参考に、介護疲れが慢性化していないか確認してみましょう。

1.介護やお世話のために、身体の具合が悪くなったことがありますか

2.介護やお世話は、つらいと思いますか

3.介護やお世話のため、自由に外出できないことがありますか

4.介護やお世話のため、睡眠不足になっていますか

5.介護やお世話のため、家事や仕事に影響が出ていますか

6.介護やお世話のための出費が、経済的な負担となっていますか

7.もう少し自分の時間がほしいと思いますか

8.介護やお世話に対して、もう少しほかの家族が理解をしてくれればいいと思いますか

9.介護やお世話をするようになってから、家族関係が気まずくなったと思いますか

10.介護やお世話のことで、相談できる専門家がいますか

11.介護やお世話を代わってくれる人がいますか

12.介護やお世話に関することで、グチを言い合える人がいますか

13.あなたの介護やお世話に対して、ご本人は感謝していると思いますか

14.これからも今までのような介護やお世話をしていこうと思いますか

1または2の質問に「はい」と答え、14の質問で「いいえ」または「わからない」と回答した場合、ストレスを感じている可能性があります。

また、1から9の「はい」の数と、10から14の「いいえ」、「わからない」の数の合計が3つ以上あれば、誰かに相談して、問題解決を図ることが推奨されます。

出典:公益社団法人全国老人保健施設協会「介護ストレスチェックシート

介護疲れを放置することのリスク

介護によるストレスを我慢し続けることで、さまざまなリスクが考えられます。

最悪の事態に発展してしまうと、介護者と被介護者の両方の人生を壊してしまうことにもなりかねません。

介護疲れを放置することの危険性を解説します。

 

<介護うつ>

いつ終わるとも分からない介護生活の疲労が、うつ病を発症させる可能性があります。

疲労が蓄積すると、慢性的な疲労感や食欲・意欲の低下、不眠などの症状が現れることがあります。

こうした変化が見られた場合は、早めに対処することが大切です。

うつ病の発症に至らなくても、頭痛や睡眠障害などの身体的な影響があれば、医療機関の受診を検討しましょう。

 

<介護離職や生活スタイルの変化>

これまでの仕事や職場でのポジションを手放して家族介護に専念する場合、金銭面での負担が大きくなります。

さらに、社会とのつながりが減ることで孤立しやすくなり、不安が増すことも懸念されます。

介護中心の生活に切り替わることで、悩みやストレスが大きくなる点は、意識しておくとよいでしょう。

 

<共倒れ・介護放棄の危険性>

心身の疲労が限界に達したり、腰への負担からヘルニアなどを発症したりすると、介護を続けること自体が難しくなります。

介護に携わる人がいなくなり、結果として両者が共倒れになってしまうこともあります。

また、介護者が疲れ切ってしまい、介護の継続が難しくなる場合もあり、日頃から無理のない範囲で取り組むことが大切です。

介護は長期にわたることも多いため、短期的な頑張りよりも、長期的に続けられるよう負担を調整することを意識しましょう。

介護が辛くなる原因とは

介護を辛いと感じるのはどのようなときでしょうか。共倒れを防ぐためにも、疲労の原因を理解しておくことは大切です。

介護が辛くなる主な原因について解説します。

身体介護や夜間の対応で体力が持たない

日本では、妻や娘といった女性が家族介護に携わることが多く、肉体的な負担が大きくなります。

車椅子に移乗したり、おむつ交換のために身体を横に向けたりすることで、腰痛や肩こりに悩まされる人は少なくありません。

また、夜間も体位変換や徘徊の対応が続くことで、十分に疲れを癒せず、介護が辛いと感じる一因となっています。

認知症の対応がうまくいかない

認知症の症状も介護者を悩ませる要因の一つです。

物取られ妄想や徘徊、弄便、異食などが発生すると、対応に苦慮する場面も多くなります。

また、暴力などの問題行動があると、事業所の体制や状況によっては受け入れが困難な場合があり、ますます介護者の負担が増すでしょう。

認知症の対応は慣れた介護職員でも難しいことから、家族介護の大きな障害となることも少なくありません。

仕事との両立が困難

総務省が発表している「令和4年 就業構造基本調査」によると、介護をしている人のうち有業者の割合は58.0%で、平成29年の55.2%よりも上昇しています。

経済的な理由から仕事を続ける必要があり、自分の時間を持てなくなることから、ストレスを抱えやすくなります。

介護休暇や介護休業の制度を上手に使い、負担を軽減することが大切です。

出典:総務省「令和4年 就業構造基本調査」P24

金銭面の負担

介護サービスの利用料やおむつなどの消耗品は、家計にとって大きな負担となることがあります。

特に介護度が高くなると、必要なサービスや物品も増え、負担がさらに大きくなる傾向があります。

介護のために離職や転職をしている場合は、収入が減っていることもあり、生活が少し厳しくなることも考えられます。

自治体の負担軽減措置などを上手に活用すると、負担を和らげることができます。

相談できる相手がいない

介護を続けていると外出の機会が減り、友人に話を聞いてもらうなどの時間も取りにくくなります。

また、介護の悩みはプライベートな問題でもあるため、話しづらい部分も多く、相談しにくいといったことも考えられるでしょう。

話し相手がいないことでストレスが蓄積され、心身ともに疲弊してしまうことにつながります。

介護が辛いと感じたら考えてほしいこと

介護が辛いと感じるのは珍しいことではありません。

しかし、そのままの状況を放置しておくと、介護うつや介護放棄といったさらなる悲劇につながります。

ここでは、介護が辛いと感じる原因や対処法について解説します。

一人で抱え込まない

在宅で介護をしていると、苦しいことや悩みを自分一人で抱え込んでしまうことが多くなります。

誰かに相談したり、気晴らしができたりすればストレスを発散できますが、外出の機会も減ることから、全て一人で受け止めてしまう傾向があります。

しかし、ためらわず誰かに頼ることも大切です。

自分一人で何もかも対応しようとせず、周囲の協力を得ながら行っていくことを心掛けましょう。

完璧を目指さない

自分を追い込みすぎないためには、完璧を目指さないことも大切です。

大切な家族のために全力を尽くして介護をすることは、とても尊い行為です。

ただ、「しっかりやらないと」「完璧にしないと」と自分を追い込みすぎると、長い介護生活を乗り切るのが難しくなることもあります。

どんなに頑張っても、うまくいかないことがあって当然です。

それが原因で自分を責め続けると、心身の疲れが大きくなってしまうこともあります。

100点満点ではなく、まずは及第点くらいを目標にするくらいの気持ちで取り組むことも、家族介護には大切でしょう。

我慢することが正しいわけではない

自分さえ我慢していればよいと思っていると、気付かないうちに問題が積み重なってしまうことがあります。

ストレスを過剰に溜め込んだ状態は、いわばパンパンに膨れ上がった風船のようなものです。

このような状態のときに、ささいな出来事が引き金となって抑え込んでいた不満が一気に爆発し、心が燃え尽きることや、虐待や介護放棄につながるといったことも実際に起きています。

我慢は美徳の一つですが、それだけで全てを乗り越えられるわけではありません。

自分の人生も大切にすることを忘れないようにしましょう。

介護の辛さを軽減する具体的な対処法

介護の負担を少しでも緩和できれば、燃え尽きることなく在宅介護を続けられるでしょう。

介護の辛さを軽減できる具体的な方法について解説します。

ボディメカニクスを身に付ける

ボディメカニクスとは、体の構造に沿った移乗や体位変換に用いられる技術です。

同じ介助でも、身体の負担が少なくなれば、疲労の蓄積が減り、余裕を持って介護ができるでしょう。

ボディメカニクスには8つの基本原則があります。

  •  支持基底面を広くとる
  • 重心を低くする
  • 被介護者との距離を近づける
  • 身体を小さくまとめる
  • 大きな筋群を使う
  • 水平移動を用いる
  • 押さずに手前に引く
  • てこの原理

これらの原則を踏まえた介助を行うことで、身体的負担は大きく減少するでしょう。

介護サービスを利用する

心身の限界が来る前に、介護サービスを利用しましょう。

介護サービスには、介護保険によるサービスと、保険外のサービスや行政サービスなどがあります。

それぞれ特徴が異なるため、ケースバイケースで利用を検討すると良いでしょう。

 

<介護保険サービス>

介護保険サービスは、市町村から指定を受けた介護施設・事業所によって提供される介護サービスを指します。

利用料の自己負担割合は所得に応じて1〜3割に抑えられるため、低額で利用可能です。

在宅生活では、主に以下のような介護サービスが該当します。

  • 訪問介護
  • 訪問看護
  • 訪問入浴
  • デイサービス

出典:厚生労働省「介護保険制度の概要」 P4

 

<保険外や行政のサービス>

介護保険が使えなくても、在宅介護の負担を軽減できるサービスもあります。

以下のようなものが一例としてあげられます。

  • 民間事業所による配食サービス
  • 見守り支援サービス
  • 緊急通報システム
  • リネン類の洗濯サービス
  • ボランティアによる傾聴や外出支援

これらのサービスの有無や利用条件は、自治体によって大きく異なるため、気になる方は自治体に問い合わせてみてください。

レスパイトケア目的でサービスを利用する

介護サービスにすべてを任せることに罪悪感を抱く方もいるかもしれません。

家族介護を続けながら、介護サービスを併用することもおすすめです。

レスパイトケアとは、在宅で介護を行う介護者の負担軽減を目的に介護サービスを利用する考え方です。

日常的には家族が介護を行い、週に2〜3回デイサービスを利用したり、ショートステイを利用したりすることで、その間だけ介護者が自分の時間を持てるようになります。

息抜きや就労の時間を設けることで、在宅介護を続けやすくなるでしょう。

金銭的な負担軽減は行政の取り組みを活用する

介護保険サービスの利用料や医療費は、要介護度が重くなるにつれて高額になります。

介護費や医療費の自己負担額が、所得に応じた上限額を超えた場合、上限を超えた金額が払い戻される制度を利用することで、費用負担の軽減が可能です。

また、自治体によっては、おむつ代の一部が支給されたり、おむつ券が配られたりするなど、介護者の金銭的負担を軽減する施策も行われています。

市区町村のホームページや地域包括支援センターに問い合わせてみてください。

出典:厚生労働省「高額介護サービス費の負担限度額が見直されます

相談相手を持つ

心身の負担を抱え込まないためには、相談できる相手を持ちましょう。

年齢の近い身近な友人や兄弟姉妹など、悩みや辛さに共感してくれる人がいるだけでも心が軽くなります。

同じ立場で悩みを共有できる相手がいない場合は、後述するケアマネジャーや地域包括支援センターに相談すれば、話を聞いてもらったうえで問題解決に取り組んでもらえます。

介護が辛いと感じたときの主な相談先

近くに介護のことを相談できる人がいなかったり、専門家がいなかったりする場合は、以下の専門機関などに相談するとよいでしょう。

話を聞いてもらうだけでも、心が軽くなり、介護を続ける精神力を保つことにもつながります。

ケアマネジャー

ケアマネジャーは、ケアプランの作成や定期的な利用者の状況確認(モニタリング)によって、一人ひとりに適した介護サービスの提供を計画する職種です。

介護が辛いと感じたときも親身になって話を聞いてもらえます。

また、介護サービスの利用を通して、負担を軽減する具体的な対策を考えてくれます。

地域包括支援センター

地域包括支援センターでは、地域に住む高齢者の在宅生活をサポートする事業を行っています。

社会福祉士、介護支援専門員(ケアマネジャー)、保健師が在籍し、介護に関するさまざまな相談に対応する公的機関です。

要介護認定の手続き代行や、地域サービス利用の紹介も行っており、現状の問題の整理や具体的な対策について明確なアドバイスが得られます。

市区町村の高齢者福祉課

介護サービスが必要だと感じたら、市区町村で要介護認定を受ける必要があります。

高齢者福祉課では、要介護認定や高齢者向けの助成制度の申請、介護保険外のサービスや行政サービスの紹介を行い、高齢者の生活をサポートする役目を担っています。

市区町村の高齢者福祉課や介護保険課、福祉課など、自治体によっても名称が異なるため、市区町村の窓口で確認してみてください。

認知症の専門医

もし家族に認知症の疑いがあれば、「もの忘れ外来」や「老年科」などを受診すると良いでしょう。

脳神経外科や精神科、心療内科などでも認知症の診察は可能ですが、専門医に診てもらうことでより詳しい説明や具体的な助言をもらえることが多く、日々の介護にも役立つでしょう。

お近くに、もの忘れ外来や老年科があれば、受診を検討してみてください。

「認知症の人と家族の会」

「認知症の人と家族の会」では、認知症本人やその家族同士の交流、認知症の対応に関する研修講座、電話相談などを行っています。

全国47都道府県に支部があり、当事者同士で悩みを共有できるコミュニティとしても利用可能です。

電話相談は自宅からでも可能なため、辛い気持ちを打ち明けることで、具体的な解決策の提案が得られます。

それでも「辛い」ときは施設入所も選択肢の一つ

施設に預けることに抵抗を感じる方もいるかもしれません。

ただ、介護者が疲れ切っている状態では、望むケアを続けるのが難しくなることもあります。

介護のプロがいる施設で暮らすことで、落ち着きを取り戻し、穏やかな日々を過ごせる場合も多く見られます。

施設入所は単に自分が楽になるためではなく、お互いにとってよい選択肢になるでしょう。

施設に任せるのは放棄ではない

施設に入所したからといって、家族の負担が全てなくなるわけではありません。

定期的な面会や必要な物品の持参、通院の付き添いに加え、転倒などのトラブルがあった場合には、電話で報告を受けることもあります。

とはいえ、一日中つきっきりの介護を続ける負担は大きく軽減できます。

施設に入所し、週に1〜2回程度面会に行くようにすると、適度な距離感で家族に接することができ、良好な関係性が保たれる場合も多く見られます。

在宅と施設の併用も考えてみる

施設入所という選択以外にも、小規模多機能型施設を利用する方法もあります。

「通い」を中心として、随時「訪問」や「泊まり」を組み合わせた利用が可能です。

訪問や通いで介護負担を軽減しながら、月に数回宿泊を利用することで、介護者のレスパイトケアとしても有効でしょう。

小規模多機能型施設では、夜勤も普段の訪問や通いを担当する職員が対応するため、認知症の利用者も顔なじみの職員が担当するため、安心しやすくなります。

出典:厚生労働省「小規模多機能型居宅介護」 P1

施設を検討するタイミングは?

在宅での介護が困難になったら、介護施設への入所を検討しましょう。

施設に入所するには、まず施設の見学を行い、気に入った施設があれば施設長やケアマネジャーと面談し、その後契約・入所という流れになります。

施設を検討し始めてから実際の入所に至るまで時間がかかることも多いため、早めに行動を起こすことが大切です。

施設入所を考えるタイミングについて解説します。

 

<気持ちに余裕がなくなってきたとき>

心身の負担が限界に近づいてから施設入所を検討すると、見学や手続きなどでさらに負担が増えてしまい、十分に考えられないまま決めてしまうこともあります。

じっくりと施設を選ぶためにも、気持ちに余裕がなくなってきたと感じたら、早めに検討を始めましょう。

施設によっては体験入所も可能です。複数の施設を実際に体験してから決めてみても良いでしょう。

 

<持病や認知症の進行によって専門的なケアが必要になったとき>

夜間も痰の吸引が必要になったり、認知症の重症化によって目を離せない状態になったりしたら、すぐに施設を検討しましょう。

医療的なケアや認知症への対応などは、施設の専門職に任せることで、より安心して過ごせる場合もあり、お互いにとってメリットが生まれることもあります。

ただし、重症化してからの入所の場合、受け入れ可能な施設が限られてしまう点に留意しておきましょう。

特に、夜間の喀痰吸引に対応している施設は限られているため、事前に情報を集めておくことも大切です。

まとめ

自宅で介護を行う多くの方が悩みやストレスを感じています。

介護疲れを放置すると、介護うつや共倒れといったリスクにつながるため、まずはセルフチェックで自身の状態を確認し、原因を整理することが大切でしょう。

完璧を目指さず、一人で抱え込まずに、ボディメカニクスや介護サービスを上手に利用することが、在宅介護を継続するコツになります。

それでも気持ちに余裕がなくなってきたら、施設入所や在宅との併用も前向きな選択の一つです。

介護生活は何年続くかわかりません。無理を減らし、在宅介護を継続できるように自身の負担軽減にも努めましょう。