介護保険制度は介護保険法に基づき、高齢者に対する介護サービスの確保と費用負担に関する制度です。
いつかは誰もが直面しうる高齢期の介護負担を社会全体で補うため、2000年4月に施行されました。
多くの方が介護保険料の納付などで関わっているものの、聞き慣れない言葉も多いため、制度の理解が難しいと感じられるかもしれません。
本記事では、介護保険制度の全容について、分かりやすく解説します。
介護保険制度とは
介護保険制度は、利用者の自立支援と本人本位の介護サービスの実現を目指して制度化されました。
必要な介護は受けながらも、できることは自ら行うことで自立を支えます。
介護保険に必要な財源は、国が25%、都道府県が12.5%、市町村が12.5%をそれぞれ負担し、被保険者からの保険料によって残りの50%が賄われています。
公費と40歳以上の保険料により、日本の介護を支える仕組みです。
出典:厚生労働省「介護保険制度について」
介護保険制度がつくられた背景
1970年代以降、日本の高齢化は急速に進み、人口に占める65歳以上の高齢者の割合が1985年に10%を超え、1994年には14%を超えました。
それに伴って医療費負担が増大し、国の財政を圧迫することになりました。
加えて、社会的には核家族化や介護する側の高齢化が進み、財政的にも肉体的にも介護負担は増加する一方でした。
このような状況の中で、介護ニーズの増大に対する人的資源と介護保険料による財源を組み合わせた介護保険制度が創設されました。
出典:厚生労働省「介護保険制度について」
介護保険制度の目的はニーズの最適化
介護保険の大きな特徴は、介護サービスに単位を設定した点です。
利用者個々の異なる状況や介護度に応じて、単位の上限内でサービスを組み合わせられます。
これによって、必要なサービスを重点的に取り入れられるともに、自分でできることは介護保険を使わず行うことで、自立支援にもつながります。
全国に配置された介護支援専門員が、一人ひとりに合ったケアプランを作成することで、サービス資源の有効活用が可能です。
介護保険の対象者
介護保険を利用できるのは、65歳以上の第1号被保険者と、40歳以上64歳以下で16の特定疾患により介護サービスを必要とする第2号被保険者です。
16の特定疾患に含まれるのは以下のものです。
| がん(末期)関節リウマチ筋萎縮性側索硬化症後縦靭帯骨化症骨折を伴う骨粗鬆症初老期における認知症進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病脊髄小脳変性症脊柱管狭窄症早老症多系統萎縮症糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症脳血管疾患閉塞性動脈硬化症慢性閉塞性肺疾患両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症 |
出典:厚生労働省「介護保険制度について」
介護保険制度は3年ごとに見直される
介護サービスを提供する事業者は、利用者から1〜3割の利用料を受け取り、残りの7〜9割を介護報酬として介護保険の財源から受け取ります。
介護報酬は国庫と保険料で賄われていますが、介護報酬として支払われる金額と保険料として徴収できる金額は毎年一定ではありません。
また、介護を必要とする利用者のニーズや国の方針も少しずつ変化していきます。
そのため、介護報酬の改定が原則として3年に一度行われることとされており、サービスごとの介護報酬や利用料にも変化が生じる可能性があります。
公的介護保険と民間介護保険の違い
介護保険には、公的な制度と民間の制度があります。
公的介護保険は、日本に住民票がある40歳以上の人が加入し、介護サービスの費用の一部を負担する仕組みです。
一方、民間の介護保険は任意で加入するもので、医療保険のように一定の状態になったときに保険金が支払われます。
将来、介護が必要になった場合の費用に備えるための保険ですが、要介護状態になっただけでは必ずしも保険金が受け取れるわけではありません。
保険金の支払い条件は各社で異なるため、契約内容をよく確認し、メリットとデメリットを理解した上で加入することが大切でしょう。
介護保険料は何歳から払う?
介護保険料は、いくつかの方法で徴収されています。
人によっては、気付かないうちに給料の手取りが減っていたということもあるかもしれません。
ここでは、保険料の支払い方法や金額について解説します。
介護保険料の納付は40歳から
介護保険料の納付が40歳からとされている理由について、厚生労働省は、老親の介護が必要になる年代にあたるためと説明しています。
しかし、40歳の時点では、介護なんてまだまだ先の話だと思う方も多いのではないでしょうか。
介護保険制度は社会全体で支える仕組みのため、40歳以上の国民には加入と保険料の納付が義務付けられています。
保険料の支払いを滞納するとペナルティも課せられるため、必ず納付するようにしましょう。
介護保険料の計算方法
介護保険料は40歳の誕生日の前日が属する月から納付義務が発生します。
しかし、中には40歳を過ぎても納付書が届かないため、未払いになっていないかと心配される方もいるでしょう。
多くの方が給与から天引きされており、いくら支払っているのか、将来いくら支払うのか把握していない場合もあるでしょう。
ここでは、介護保険料の計算方法について解説します。
第1号被保険者の介護保険料
第1号被保険者の介護保険料は、原則年金から天引きされます。
保険者である市区町村の実情に応じて、定められた介護保険料基準額に、所得区分ごとに設定された倍率を乗じた金額です。
基準額は3年に一度、介護報酬改定とともに変更が加わる可能性があります。
第2号被保険者の介護保険料
第2号被保険者の介護保険料は、加入している健康保険の種類によって計算方法が異なります。
国民健康保険に加入している場合、保険料はお住まいの自治体が算定し、世帯人数や所得などを基に決まります。
健康保険料と合算して納付しますが、自治体ごとに保険料率が異なるため、詳細は市町村に確認すると安心です。
一方、職場の健康保険組合などに加入している場合、保険料は健康保険料とともに給与から天引きされ、事業者と折半されます。
計算には標準報酬月額を基に保険料率を乗じ、折半後の金額が介護保険料となります。賞与にかかる保険料も同様の計算方法です。
保険料率は加入する健康保険組合ごとに異なるため、正確な金額は組合に確認しましょう。
保険料を払わないとどうなる?
保険料の納付を滞納すると、延滞料が請求されます。
払わない期間が長くなると、延滞料が雪だるま式に増えていき、支払いがより困難になるでしょう。
それでも支払わないでいると、本来1〜3割負担となる介護保険サービスの利用料が、いったん10割を支払うことになり、後日、償還払いの申請を行うことで払い戻される方式となります。
さらに滞納を続けていると、償還払いされるはずの金額が滞納分の介護保険料に充当され、残った額しか戻ってこなくなる場合もあります。
もし災害や犯罪の被害などで一時的に生活が困窮している場合は、自治体によっては保険料の減免や免除が受けられるので、詳しくはお住まいの自治体に確認するとよいでしょう。
特定被保険者とは
介護保険料を納めるのは40歳以上の国民です。
そのため、健康保険組合に加入している40歳未満の方は介護保険料を納める必要はありません。
ただし、40歳未満の方に40歳以上の被扶養者がいる場合、健康保険組合の規約によって40歳未満の被保険者に40歳以上の被扶養者の保険料分の納付を求める場合があります。
この場合の40歳以上の被扶養者は特定被保険者と呼ばれます。
介護保険サービスを受けるには
介護保険を利用して介護サービスを受けるには、要介護認定が必要です。
介護保険制度では、要介護度ごとに利用できるサービス量が異なります。
そのため、要介護認定を受けることで、自身が受けられるサービス量が決まります。
ここでは、要介護度や要介護認定の目安について解説します。
要介護度とは
要介護度とは、介護サービスを必要とする利用者にどの程度の支援が必要かを7段階で区分したものです。
介護度は、要支援1・2、要介護1〜5に分けられ、それぞれ区分支給限度基準額(単位数)が異なります。
要支援より要介護のほうが重く、数字が小さいものより大きいもののほうが重いとされています。
また、要介護認定が下りなかった人は「非該当(自立)」と判定されます。
要介護認定の目安
要介護認定にはコンピューターによる一次判定と、介護認定審査会による二次判定があります。
また、認定調査員の聞き取り方や、判定を受ける本人の体調なども影響するため、常に同じ結果になるとは断定できません。
しかし、判定の目安が存在するのも事実です。
以下に、厚生労働省による各判定結果における状態像の目安を抜粋したものを紹介します。
| 認定区分 | 状態の目安 | 1日あたりの基準時間 |
| 要支援1 | 日常生活上の基本的動作については、ほぼ自分で行うことが可能であるが、要介護状態となることの予防に資するよう手段的日常生活動作について何らかの支援を要する状態 | 25分以上32分未満 |
| 要支援2 | 要支援1より身体能力や認知機能の低下がみられ、部分的な支援が必要な状態 | 25分以上32分未満 |
| 要介護1 | 要支援状態から、手段的日常生活動作を行う能力がさらに低下し、入浴や着替え等に部分的な介護が必要となる状態 | 32分以上50分未満 |
| 要介護2 | 要介護1の状態に加え、日常生活動作についても部分的な介護が必要となる状態 | 50分以上70分未満 |
| 要介護3 | 日常生活動作及び手段的日常生活動作の両方の観点からも著しく低下し、ほぼ全面的な介護が必要となる状態 | 70分以上90分未満 |
| 要介護4 | さらに動作能力が低下し、排せつや食事、歩行など、介護なしには日常生活を営むことが困難な状態 | 90分以上110分未満 |
| 要介護5 | 意思疎通が困難、寝たきり状態など、介護なしには日常生活を営むことがほぼ不可能な状態 | 110分以上 |
出典:厚生労働省「介護保険制度における要介護認定の仕組み」
要介護・要支援の認定申請を行う流れ
要介護認定は、本人または家族からの申請によって行われます。
介護認定の手順は以下の通りです。
- 主治医に意見書を書いてもらう
- 要介護認定の申請
- 認定調査の実施
- 審査判定
- ケアプランの作成
- サービスの利用開始
ここでは、各手順について解説します。
主治医に意見書を書いてもらう
介護認定を受けるには、主治医による意見書が必要です。
これは、介護サービスが必要であることを医学的に判断するためのものです。
第2号被保険者の場合は、要介護認定の対象となるのは特定疾患に限られるため、意見書でその疾患が原因であることを証明する必要があります。
要介護認定の申請
「要介護認定・要支援認定申請書」に必要事項を記載して、主治医の意見書とともに市区町村の窓口に提出します。
自筆が困難な場合は家族による代筆も可能です。
申請書は市区町村や地域包括支援センターで手に入るほか、各自治体のウェブサイトでダウンロードできる場合もあります。
認定調査の実施
申請が受理されると、市区町村または委託事業者から認定調査員が派遣され、認定を受ける当人の心身の状態やADL、認知機能などを調査します。
本人からの聞き取りだけでなく、必要に応じて家族や普段介護をしている人にも本人に関する質問が行われます。
聞き取った内容からコンピューターによる一次判定が行われ、審査判定に用いられます。
審査判定
介護認定審査会が、一次判定の結果と主治医の意見書を総合的に判断(二次判定)し、最終的な要介護度が決定します。
原則として申請後30日以内に結果が通知されます。
認定結果には有効期限があり、更新が必要です。
新規認定の有効期間は原則6か月(状態により12か月)、更新認定では原則12か月で、状態が安定している場合は最大4年まで延長されることがあります。
ケアプランの作成
要介護認定がおりたら、ケアプランの作成に移ります。
ケアプランは通常、居宅介護支援事業所のケアマネジャーに依頼します。
要介護度ごとに設定された上限を超えない範囲内で必要な介護サービスを組み合わせ、生活上の課題を解決します。
ケアプランが完成したら、ケアマネジャーとともに内容の確認と同意を行います。
ケアプランはサービスを提供する事業所にも交付されます。
サービスの利用開始
ケアプランへの同意をしたら、実際にサービスを提供する事業所と契約し、サービスの利用が開始されます。
その後も、本人の状態や周囲の環境などによってニーズが変化することもあるでしょう。
ケアプランやサービス内容は定期的に見直されるものであるため、現在の介護サービスが十分でないと感じたら、担当ケアマネジャーに相談してみてください。
認定結果に不服がある場合の審査請求
もしも、要介護判定に納得がいかないと感じたら、不服申立てを行い、審査請求ができます。
この時、不服申立てを行うのは、認定を行った市町村の「介護認定審査会」ではなく、都道府県が設置している「介護保険審査会」です。
不服申立ては認定の通知を受け取った翌日から3か月以内に行わなければなりません。
また、不服申立てによる審査には通常の認定よりも時間がかかり、数か月にも及ぶことがあると覚えておきましょう。
介護保険で利用できる主な介護サービス
介護保険で利用できる介護サービスはたくさんありますが、代表的なものを5つ紹介します。
また、介護度ごとの単位数の上限である支給限度額についても解説します。
居宅サービス
自宅で生活しながら受ける介護サービスは居宅サービスと呼ばれます。
居宅サービスの代表的なものは訪問介護です。
ヘルパーが自宅を訪問し、おむつ交換や入浴介助などの身体介護、掃除や洗濯などの家事援助を受けられます。
また、自宅での生活を続けながら、週に数回デイサービスで入浴や食事などの支援を受けるものは通所介護と呼ばれ、居宅サービスに含まれます。
1日から数日間利用できるショートステイ(短期入所生活介護)も居宅サービスの一つです。
家族の介護負担を一時的に軽くするためや、施設入所の準備として利用されることもあります。
施設サービス
自宅を離れ、施設に入所する場合は、介護保険の施設サービスが適用されます。
施設サービスには特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院があります。
施設サービスも単位で算定されますが、居宅サービスのように単位の上限内でサービスごとに組み合わせるわけではありません。
施設入所の際の利用料は、1〜3割負担の施設サービス費、食費や居住費、加算、その他生活費の合計になります。
もし施設サービスを利用しながら居宅サービスを利用する場合は、同月内の日割りであれば可能なケースもありますが、原則として併用はできず、超過した分が全額自己負担(10割)になることもあるでしょう。
居宅介護支援
居宅介護支援は、在宅の利用者を対象にケアプランの作成を行う事業所です。
利用者の状況やニーズに応じた居宅サービスを組み合わせ、その生活を支えます。
必要に応じて居宅サービス事業所との情報共有や連絡調整も行い、ケアプランに則った介護サービスが継続的に受けられるように支援します。
利用料は介護保険の介護報酬で全額が賄われ、利用者の自己負担はありません。
地域密着型サービス
地域密着型サービスは、介護が必要になっても住み慣れた地域で暮らせるように、地域全体で利用者を支えることを目的としたものです。
サービスの内容は地域の実情に合わせて、夜間対応型や定期巡回・随時対応型の訪問介護看護、小規模多機能型居宅介護、グループホーム、地域密着型通所介護などが設置されています。
利用料は、利用した回数や時間、日数などがサービス種別ごとに計算され、利用限度額内であれば1〜3割の自己負担と食費や加算などの合計になります。
地域で暮らす高齢者を対象としているため、他の市町村からの利用の申し込みはできません。
介護予防サービス
要支援1・2と認定された要支援者が利用できる介護保険サービスは介護予防サービスです。
要介護状態への移行を予防する目的のサービスです。
「介護予防・日常生活支援総合事業」の枠組みに含まれ、訪問型サービスや通所型サービスなどの利用が可能ですが、特別養護老人ホームや介護老人保健施設への入所はできません。
利用料は他の介護サービスと同様で、所得などに応じて1〜3割負担です。
支給限度額について
介護保険は介護度に応じて支給の限度額が決まっています。
これによって、介護度の重さがサービスを受けられる量に反映され、それぞれの状況に見合った介護サービスの供給につながります。
介護度ごとの1か月あたりの支給限度額は下記の通りです。
| 要介護度 | 1か月あたりの支給限度額 |
| 要支援1 | 50,320 |
| 要支援2 | 105,310 |
| 要介護1 | 167,650 |
| 要介護2 | 197,050 |
| 要介護3 | 270,480 |
| 要介護4 | 309,380 |
| 要介護5 | 362,170 |
出典:厚生労働省「介護報酬の算定構造」
介護保険サービスの利用料の本人負担は?
介護保険サービスを利用した際の自己負担割合は、一定以上の所得がある場合は2〜3割になります。
ここでは負担割合の詳しい条件について解説します。
条件によっては、介護費用をさらに軽減することも可能です。
負担軽減の制度についても併せて紹介します。
自己負担割合
65歳以上の第1号被保険者が介護サービスを利用する際の自己負担割合は、所得に応じて1〜3割に区分されます。
所得と負担割合の区分は以下のようになります。
| 本人の合計所得金額 | 年金収入+その他の合計所得金額 | 自己負担割合 |
| 220万円以上 | 単身世帯で340万円以上、 または2人以上世帯で463万円以上 | 3割負担 |
| 単身世帯で280万円以上340万円未満、 または2人以上世帯で346万円以上463万円未満 | 2割負担 | |
| 単身世帯で280万円未満、 または2人以上世帯で346万円未満 | 1割負担 | |
| 160万円以上 220万円未満 | 単身世帯で280万円以上、 または2人以上世帯で346万円以上 | 2割負担 |
| 単身世帯で280万円未満、 または2人以上世帯で346万円未満 | 1割負担 | |
| 160万円未満 | ― | 1割負担 |
第2号被保険者の負担割合は、所得に関係なく1割です。
利用負担の軽減制度
個々の事情によっては、介護サービスの利用料が生活を圧迫することもあります。
しかし、介護サービスは利用者にとってのライフラインであるため、金銭面を理由に利用を差し控えることは現実的ではありません。
そのため、利用料にはいくつかの軽減制度があります。
高額介護サービス費支給制度
介護サービスにおける1か月の自己負担額には上限が設けられています。
いったん利用料を支払ったあと、上限を超えた分が払い戻される制度です。
上限は課税所得に応じて4段階の区分に分けられ、第2段階と第4段階では単身か世帯かなどによってさらに細かい区分に分けられています。
| 区分 | 対象 | 負担上限額(月額) |
| 第1段階 | 生活保護受給者等 | (個人)1万5000円 |
| 第2段階 | 市区町村民税が非課税で前年の公的年金等収入額とその他の合計所得金額の合計が年間80万円以下 | (個人)1万5000円 (世帯)2万4600円 |
| 第3段階 | 世帯の全員が市区町村民税非課税 | (世帯)2万4600円 |
| 第4段階 | 市区町村民税課税世帯で課税所得が380万円未満 | (世帯)4万4400円 |
| 課税所得が380万円以上690万円未満 | (世帯)9万3000円 | |
| 課税所得が690万円以上 | (世帯)14万100円 |
ただし、福祉用具購入費や施設サービス利用時の食費・居住費は対象外となります。
出典:厚生労働省「サービスにかかる利用料」
高額医療・高額介護合算療養費制度
介護サービス費と医療費の1年間の合計自己負担額が一定を超えると、高額医療・高額介護合算療養費制度の対象になります。
介護保険の利用者がいる世帯ごとに年間の費用負担を集計し、所得区分ごとに設定された上限を上回った場合、申請により差額が払い戻される制度です。
自治体によっては、対象となる世帯に通知が届くことがあるので確認しておきましょう。
特定入所者介護サービス費の上限措置
高額介護サービス費支給制度によって、介護サービスの利用料には上限が設けられています。
しかし、特別養護老人ホームなどの施設に入所している場合、制度の対象外である食費や居住費の支払いが困難になることがあります。
「特定入所者介護サービス費制度」は住民税非課税世帯で、預貯金の額が一定以下の場合、一日あたりの負担限度額が定められ、上限を超えた金額は介護保険によって賄われる制度です。
制度を利用するには市区町村に申請を行い、負担限度額認定を受ける必要があります。
負担限度額認定証
特定入所者介護サービス費制度の申請を行い、承認されると、「負担限度額認定証」が交付されます。
介護サービス事業者に認定証を提示することで、食費・居住費の軽減措置を受けられるようになります。
介護保険負担限度額認定申請書に必要事項を記入した後、印鑑、同意書、介護保険被保険者証、預貯金・有価証券等の通帳などの写し、申請者の本人確認書類、被保険者のマイナンバーが確認できるものなどを持って市区町村の窓口で申請します。
承認された場合、申請後1〜2週間程度で負担限度額認定証が自宅に郵送されますが、適用は申請日の属する月の1日に遡って行われます。
負担限度額認定証は自動更新されません。
前年度の所得によって承認されるかどうかが決まるため、毎年有効期限となる7月31日までに更新手続きを行いましょう。
おむつ費の支給
各自治体が独自に紙おむつの支給制度を設けていることがあります。
支給の方法も、おむつ券、費用の支給、現物支給などさまざまです。
一部の自治体ではおむつ以外の介護用品も支給対象になっていることがあるため、お住まいの市区町村に確認してみましょう。
リフォームの補助
介護保険の支給は介護サービスだけではありません。
自宅で生活する要介護者(または要支援者)に対し、「住宅改修費」としてリフォーム費用の一部が払い戻される場合もあります。
対象となるのは、手すりの取り付けやスロープなどによる段差の解消、引き戸への変更、滑りにくい床材への変更、和式便器から洋式便器への取り換えなどです。
これらのリフォームを行ったあとに申請をして承認されれば、リフォーム代のうち20万円を上限に所得に応じて7〜9割が償還払いされます。
この制度は介護サービスとは別枠の扱いになるため、介護保険の単位を使用することはありません。
一人につき上限の20万円までが利用限度となりますが、引っ越しや要介護度が3段階以上重くなったときは再度利用が可能になる場合もあります。
介護保険に関する主な問い合わせ先
自身や家族が介護を必要とする状態になったとき、どこに相談すればよいか分からない方も多いのではないでしょうか。
ここでは、代表的な2つの相談窓口について解説します。
地域包括支援センター
地域包括支援センターは、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせるようにさまざまな支援を行っている公的機関です。
初めて介護が必要になったときや、今後の生活に不安を感じているときは、まず相談してみましょう。
介護保険制度の仕組みや申請の手続きなどについて詳しい説明が受けられます。
希望に応じて、介護認定申請の手続きを無料で代行してもらうことも可能です。
また、介護保険に限らず、自立した生活を維持していくための地域のさまざまな社会資源を活用した総合的な支援を受けることもできるでしょう。
認知機能の将来的な低下に備えて成年後見制度の相談も可能です。
市区町村の窓口
介護認定や各種負担軽減制度の申請は、市区町村が窓口となります。
介護に関する各種相談や、独居高齢者のための見守りサービス、地域の老人クラブなどの情報を得ることも可能です。
市区町村では、高齢者にとって住みよい地域社会を実現するための支援活動を行っています。
まとめ
介護保険制度は、介護度に応じて受けられるサービスの支給限度額が決められ、支給限度額の範囲内で、個々の状況に応じたサービスを組み合わせて利用できる制度です。
公費と保険料によって社会全体で支える仕組みのため、所得に応じて1〜3割の自己負担で利用できます。
経済的な余裕がなく、利用料の全額が払えない場合でも、さまざまな負担軽減制度により費用が抑えられます。
40歳から支払う介護保険料は、高齢者に必要なサービスを届けるために大切な財源です。
将来、自身や家族が介護を必要とするようになったら、地域包括支援センターや市区町村の窓口に相談し、安心できる生活のために介護保険を利用しましょう。

