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44高齢者のバイタルサインを測定する目的は?基準値や観察ポイントも紹介

高齢者は年齢や生活環境など、さまざまな理由から体調に変化が起きやすいものです。

介護に携わる方は、そうした変化の兆しをいち早く察知し、必要に応じて医療職へ報告することが求められます。

その際、重要な役割を果たすのが「バイタルサインの確認」です。

バイタルサインの確認は、高齢者の健康を見守る上でとても大切なプロセスです。

そこで本記事では、バイタルサインの意味や測定の目的、基準値、測定時の注意点など、わかりやすく解説します。

高齢者のバイタルサインとは

バイタルサインとは、日本語に訳すと「生命兆候」となります。

血圧・体温・脈拍などは、人間の生命活動を維持する上で必須です。

バイタルサインはいわば「生命活動の証拠」といえるでしょう。

健康状態を示すバロメーター

バイタルサインは、利用者様の健康状態を知る上で必要不可欠です。

身体に何らかの異常が起こっているときは、バイタルサインの数値にもその兆候が現れることが多いため、体調不良の早期発見につながります。

介護士には、バイタルサインの基準値や利用者さま一人一人の普段の状態(ベースライン)の把握が求められ、状況に応じて医療職への報告や指示を仰ぐことが必要です。

主な観察項目

バイタルサインの主な観察項目は「体温」「脈拍」「呼吸数」「血圧」の4種類です。

これらは介護士でも測定しやすく、異常の兆候を見つけやすいため、医療や介護の現場で広く用いられています。

例えば、高熱はさまざまな感染症の疑いを示し、血圧や脈拍の変動は循環器系の不調を示唆していることが多いため、バイタルサインの確認が不可欠です。

基本となる4項目により、利用者さまの健康状態を迅速に把握し、適切な判断や治療につなげられるでしょう。

意識レベルや尿量も含まれることも

利用者さまの健康状態を示すものとしては、バイタルサインに加え、意識レベルや尿量も観察のポイントとなる場合があります。

「反応が鈍い」「ぐったりしている」といった意識レベルの低下は、脳神経の異常や心疾患など命に関わる重大な兆候であり、すぐに対処が必要です。

尿量の減少は、脱水や腎機能の低下といった高齢者に多い疾患の兆候であることが多く、バイタルサインとともに診断に有用な情報となります。

「普段の様子と違う」「何なにかおかしい」と思ったときは、これらの違和感に関する観察や記録の確認が大切です。

若年者との違いや個人差が大きい

高齢者のバイタルサインの基準値は、若い人の値と異なる点にも注意が必要です。

例えば、高齢者は若年者に比べて体温は低めで、収縮期血圧は高めとなる傾向にあります。

また、服用している薬によっては脈拍が少なくなることもあり、一概に基準値から外れていると判断することはできません。

高齢者は持病による個人差が大きく、特に血圧や脈拍は測定環境の影響や日内変動によっても差が生じます。

そのため、落ち着いた環境でなるべく同じ時間に測定すること、利用者さまの普段の測定値を把握しておくことが、異常を発見する上で大切なポイントでしょう。

バイタル測定を行う3つの目的

バイタルの測定は、健康上の問題を発見するためだけではありません。

利用者さまの普段の状態を知る上でも、非常に重要です。

以下で、バイタル測定の3つの目的を押さえておきましょう。

身体の異常を早期に発見するため

バイタルサインの測定は、身体の異常を察知するために必要不可欠です。

基準値から大きく外れている、またはいつもの数値と異なる場合は、何らかの異常を疑う必要があります。

状態の観察とバイタルサインの測定は、認知症高齢者においても、異常を早期発見するための重要な指標となります。

普段の状態を把握するため

多くの病院や介護施設では、1日1回以上のバイタル測定を行っています。

決まった時間に測定することにより、利用者さまの普段の状態を把握することができます。

基準値内であっても、普段の数値から大きく逸脱していれば、異常の可能性を疑う必要があります。

そのため、バイタルサインの測定は体調不良時のみならず、平常時から継続して行うことが重要でしょう。

医師に状態を正確に伝えるため

バイタル測定の数値は、正確な診断のための客観的な指標となります。

利用者さまの様子が普段と異なり「なんとなくしんどそう」「熱っぽい気がする」と感じるだけでは、状態を正確に伝えることはできません。

「体温が38.0℃」といった測定値を伝えることで、正確な診断が可能になり、適切な処置につながります。

利用者さまの体調や様子に変化が見られたときは、速やかにバイタルサインを測定し、医師へ正確に伝えられるようにしましょう。

高齢者のバイタルサインにおける基準値の目安

バイタルサインの基準値は、年齢によって異なります。

小児や成人と比べて、高齢者においては、心拍数や血圧などの目安も変わることがあります。

ここでは、高齢者のバイタルサインの基準値について解説していきます。

体温

高齢者の体温の基準値は36℃台とされていますが、若年者よりも低い傾向にあり、35℃台でも異常とは断定できません。

一方、高齢者は風邪などによる発熱のサインが出にくいことがあり、もともとの平熱が低い方では、36℃台後半でも油断せずに風邪症状がないかなどの確認が必要です。

普段の平熱を知っておくことと、高齢者によっては36℃台でも注意を怠らないことが大切です。

脈拍

成人の脈拍の基準値は、1分間に60〜100回とされています。

前述のとおり、高齢者の場合は「内服薬による影響」で少ない値になることもあります。

脈拍は精神状態によって大きく左右されます。

慌ただしい環境や緊張した状態では、よって高めに出やすいため、落ち着いた場所でリラックスして測定しましょう。

呼吸数

高齢者の呼吸数の基準値は、1分間に14〜20回とされ、成人の12〜20回よりもやや多い数値です。

高齢になると、心肺機能の低下によって呼吸が浅くなり、それに伴って呼吸数も増加する傾向にあります。

呼吸数は、血圧や体温の測定と併せて、息づかいや胸や肩の上がり下がりを観察して測定します。

呼吸数を測定していることを利用者さまに伝えてしまうと、呼吸のリズムを意識してしまい、正しい数値を測定できなくなるため、意識させないように測定しましょう。

血圧

「高血圧治療ガイドライン2019」では、成人の収縮期血圧が120mmHg未満かつ拡張期血圧が80mmHg未満であることを「正常血圧」と定義しています。

高齢者の場合、収縮期血圧が高く、拡張期血圧は低くなる傾向にあり、個人差も出やすいのが特徴です。

また、診断や治療の目標値は、年齢や持病によって異なることも覚えておきましょう。

血圧は測定時の精神状態のみならず、測定時間によっても大きく変動するため、定期測定は毎日同じ時間帯で行う必要があります。

※2025年10月現在
参照:特定非営利活動法人日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019解説冊子6頁」

高齢者のバイタルサインの測定方法と注意点

血圧や脈拍などは、周囲の環境やそのときの精神状態などによって変動するため、バイタルサインの測定は落ち着いた環境で行うことが大切です。

特に、歩行や運動の直後は変化が起きやすく、正確な数値が測れないため、少し休憩を挟んでから測定を行いましょう。

体温計

体温は腋窩(えきか)や舌下、耳、直腸などで測定しますが、腋窩における検温の手順については以下のとおりです。

1. 体温計のスイッチを入れる
2. 身体に対して直角に入れるのではなく、30〜45°の角度で斜め下から入れる
3. 腋窩動脈に当たるように調整する
4. 体温計を挟んでいる側の肘を軽く曲げ、反対の手で軽く押さえてもらう

注意点としては「麻痺がある場合は健側で測定する」「発熱があって脇を冷やしている場合は、冷やしていないほうの脇で測定する」ことが挙げられます。

脈拍

血圧計や後述するパルスオキシメーターがあると、血圧などの項目と同時に測ることができますが、橈骨動脈での触診の方法も覚えておきましょう。

不整脈の確認や、測定値が基準値から大きく外れている場合の再検査にも必要です。

1. 利用者様にリラックスしてもらう
2. 手首の付け根の親指側にある橈骨動脈に、人差し指・中指・薬指の3本をそろえてあてる
3. 1分間の脈拍数を測定する

不整脈があれば、両腕を同時に測り、左右差がないか確認しましょう。

血圧計

介護士による測定が認められているものは、自動または半自動血圧測定器による測定のみです。

上腕にマンシェットを巻いてスイッチを押すだけのものであれば問題ありません。

手首式の自動血圧計も認められていますが、姿勢や手首の位置によって誤差が出やすいため、上腕式が推奨されています。

1. 利用者様に、手の平を上にして腕を前に出してもらう
2. マンシェットを上腕に巻き、面ファスナー(マジックテープ)で留める
3. 指2本が入るくらいに締まっていることを確認し、血圧計のスタートボタンを押す

注意点は以下のとおりです。

● 麻痺がある方の場合、健側で測定する
● 測定中は腕に力をいれたりせず、脱力してもらう
● 腕が心臓の高さと同じになるように台の上に置いたり支えたりする
● 測定中は会話をしない

パルスオキシメーター

パルスオキシメーターは、血中の酸素飽和度を測定する機器です。

呼吸器系の異常を簡単に測定できるため、医療や介護の現場で広く用いられています。

95%以上を基準値とし、90%を下回ると重篤な疾患の可能性があるため、すぐに報告しましょう。

ただし、COPDなどの基礎疾患の有無によっては、治療の目標数値が低い場合もあるため、個人差に留意が必要です。

1. パルスオキシメーターのプローブが利用者さまの爪の根元にあたるように挟む
2. 電源ボタンを押してしばらく待つ

マニキュアを塗っている爪だと、数値が正確に測れないことがあるため、何も塗っていない爪で測定を行うよう注意しましょう。

バイタル測定だけじゃない!高齢者の異常を示す観察ポイント

高齢者のバイタルサインは、測定機器の数値だけではありません。

認知症によって自身の不調を訴えられない方もいらっしゃるため、介護士による観察で普段と異なる様子を発見することも大切です。

以下に、観察のポイントをまとめました。

これらの症状が見られた際は、バイタル測定も行い、普段と違う様子を医師や看護職員に報告しましょう。

顔色が悪い

普段よりも顔が青白い、土色っぽい、どす黒いなどといった変化は、重大な疾患の兆候である可能性があります。

顔が青白く、ふらつきや立ちくらみも伴う場合は、貧血や脱水、血流不良が考えられます。

また、肝臓・腎臓・胃腸に何らかの疾患が潜んでいると、顔が土色や黒っぽくなることもあるため、注意が必要です。

顔色の変化とともに、発熱や腹痛、頻尿、血尿、吐き気や嘔吐、下痢などの症状を確認したら、速やかに報告しましょう。

活気や食欲がない

普段と比べて、なんとなく元気がない、食欲がないといった場合は、高齢者の身体には何らかの異常が起こっているのかもしれません。

例えば、ウイルス性の感染症や脱水なども疑われます。

バイタル測定を行い、発熱や血圧異常の有無を確認し、咳や鼻水といった風邪症状がないか確認の上、医療職に報告しましょう。

また、薬の副作用やうつ病などが原因の場合もあるため、さまざまなバイタルサインから総合的に判断する必要があります。

冷や汗をかいている

暑くもないにもかかわらず、大量の汗をかいているときは、低血糖・心筋梗塞・ショックなどが疑われます。

特に、糖尿病患者にこの症状が見られた場合は要注意です。

低血糖は放置すると、意識消失や死に至る可能性があります。

すぐに血糖値を測定し、状況によってはブドウ糖の摂取など、適切な対処が必要です。

なお、冷や汗とともに、胸痛や圧迫感、息切れを起こしている場合は心疾患を疑い、救急要請も検討しなければなりません。

大量の冷や汗をかいているときは、バイタルの測定とともに、医療職への報告も行いましょう。

意識レベルが低い

意識レベルも、バイタルサインの一つです。

眠っているわけではないのに、名前を呼んでも反応が鈍かったり、まったく反応がなかったりする場合は、意識障害の可能性があります。

意識障害は、重度の脱水やてんかん、低血糖、脳梗塞などが原因で起こることがあり、放置すると命に関わる危険な状態につながります。

異変に気づいたら、すぐに看護職員などの医療スタッフへ報告しましょう。

尿量が少ない

尿量の減少は、腎機能の異常や高齢者に多い脱水を示唆していることが多く、発熱などのバイタルサインと合わせて報告の必要があります。

尿量の基準値は、1回の排泄につき約200〜400ml、1日トータルの尿量が約1000〜2000mlです。

水分量が不足し、尿量が少ない場合は、脱水が引き起こされている可能性が考えられます。

また、飲水量と比較して尿量があまりに少ないときは、腎機能の異常などを疑います。

尿量の報告時には、飲水量のトータルも合わせて報告すると良いでしょう。

まとめ

高齢者の体調変化は、体温・脈拍・呼吸・血圧などのバイタルサインや、意識レベル、尿量、顔色、食欲の変化として表れます。

若年者とは基準値が異なり、個人差も大きいため、普段の状態を把握し定期的に測定することが大切です。

数値のみならず、日頃の様子も観察し、異常があれば速やかに医療職へ報告しましょう。

こうした対応が、高齢者の安全で安心な生活につながるでしょう。