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107特養(特別養護老人ホーム)とは?入所条件や費用、申し込み方法と老健との違いを徹底解説

特養とは、正式には「特別養護老人ホーム」と呼ばれる施設で、要介護状態にある高齢者が日常生活を安全かつ快適に送るための介護サービスを受けられる場所です。

食事や入浴、排泄などの介助だけでなく、健康管理やレクリエーションなども提供され、在宅での介護が難しい場合の生活の場として重要な役割を担っています。

本記事では、特養の特徴や利用条件、費用の仕組みについて詳しく解説します。

Contents
  1. 特養(特別養護老人ホーム)とはどんな施設?
  2. 特養に入所できる条件と対象者
  3. 特養の費用相場と内訳
  4. 特養で受けられるサービス
  5. 特養と他の介護施設との違い
  6. 特養のメリット・デメリット
  7. まとめ

特養(特別養護老人ホーム)とはどんな施設?

高齢者の介護施設を探す際には、特別養護老人ホームも選択肢の一つとなります。

ここでは、特別養護老人ホームが持つ公的な位置付けや、長期的な生活を支えるための基本的な役割、民間施設とは異なる運営の仕組みについて詳しく解説します。

特養の法的な定義と公的な位置付け

特別養護老人ホームは、老人福祉法に基づく「老人福祉施設」ならびに介護保険法に基づく「介護老人福祉施設」という2つの側面を持つ公的な介護施設です。

原則として、在宅での生活が極めて困難になった高齢者に対して、日常生活全般の包括的な介護を提供することを目的として設立されています。

国や自治体の厳格な基準を満たした上で認可を受けて運営されているため、民間企業の介護施設と比べて、公共性が高いという特徴を持っています。

地域の福祉を根底から支える中核的な存在として、社会において欠かせない生活の拠点となっています。

「終の棲家」としての役割

多くの介護施設がリハビリテーションによる在宅復帰を最終目標としているのに対し、特別養護老人ホームは、入所者が人生の最期まで安心して暮らし続けることができる終の棲家としての役割を持っています。

一度入所が決定すれば、原則として退居を求められることはなく、生涯にわたって継続的な手厚い介護を受けることが可能です。

加齢に伴って介護度がさらに重度化した場合でも、施設内で十分に対応できる体制が整えられているため、家族にとっても将来にわたる介護の不安を大きく軽減できる安心感があります。

運営主体は主に社会福祉法人や自治体

特別養護老人ホームを運営している主体は、主に社会福祉法人や地方自治体などの非営利団体に限定されています。

民間企業は単独で開設することは基本的にできないため、営利を第一の目的としない、公共性を重視した安定した運営が行われている点が特徴です。

社会福祉法人は、国や自治体からの公的な補助制度や税制優遇を受けているため、充実した設備や人員を配置しながらも、利用者の費用負担を低く抑えることが可能になっています。

公的な支援を背景とした盤石な経営基盤は、数十年に及ぶ長期的な入所を考える上で信頼できる要素の一つとなります。

特養に入所できる条件と対象者

特別養護老人ホームは公的施設で費用負担が比較的低いため、入所を希望する方が非常に多く、希望すれば誰でもすぐに入れるわけではありません。

ここでは、基本となる要介護度の基準や、特例として入所が認められるケースなどについて詳しく解説します。

原則として「要介護3以上」の高齢者が対象

特別養護老人ホームに入所するための基本となる条件は、介護保険の要介護認定において「要介護3・要介護4・要介護5」のいずれかの判定を受けている、原則65歳以上の高齢者(または特定疾病を持つ40〜64歳の方)であることです。

かつては要介護1や2の方でも入所が可能でしたが、待機者の増加を解消し、より重度の方を優先的に受け入れるために、2015年の制度改正によって基準が厳格化されました。

要介護3とは、食事・排泄・入浴など日常生活の多くの場面で介助を必要とする状態を指しており、在宅での介護が極めて困難な層が対象となります。

特例で「要介護1・2」でも入所できるケースも

原則は要介護3以上と定められていますが、特別な事情がある場合に限り、要介護1や要介護2の方でも「特例入所」として受け入れが認められるケースが存在します。

例えば、認知症の症状が著しく重く、日常生活に大きな支障をきたしている場合や、同居している家族から深刻な虐待を受けていて、利用者の心身の安全を早急に守る必要がある場合などです。

また、言葉による行動制限(いわゆるスピーチロック)などの心理的虐待が疑われる場合も、利用者の安全を守るために特例入所が検討されることがあります。

認知症や医療的ケアが必要な方の受け入れ

認知症の診断を受けていて、徘徊や妄想といった症状がある場合でも、認知症を理由に一律で入所を断られるわけではありません。

特別養護老人ホームには認知症ケアに関する専門的な研修を受けたスタッフが多数在籍しているため、本人の不安を軽減するための適切なサポートを提供する体制が整っています。

また、インスリン注射や胃ろう、痰の吸引といった一定の医療的ケアが必要な方についても、施設に配置されている看護職員の配置状況や施設の体制によって対応可能な範囲であれば、受け入れが行われます。

ただし、施設ごとに安全に対応できる医療行為の限度があるため、事前の確認と相談が必要になるでしょう。

入所を断られる可能性があるケース

特別養護老人ホームでは、病院のように医師が24時間常駐しているわけではありません。

そのため、人工呼吸器の常時装着が必要な方や、24時間体制での厳密な点滴管理が欠かせない方などは、安全管理の観点から入所が難しくなる可能性が高くなります。

また、ほかの入所者に対して著しい暴力行為を振るう恐れがある場合や、感染力が強く個室での厳重な隔離が必要な感染症に罹患している場合も、一時的に受け入れが見送られる場合があります。

特養の費用相場と内訳

特別養護老人ホームが多くの人々から選ばれる理由の一つが、民間施設と比較して経済的な負担が非常に軽いという点にあります。

ここでは、特別養護老人ホームへの入所時に必要な初期費用、毎月の支払い項目の内訳、負担を減らす公的な軽減制度について詳しく解説します。

入所一時金などの初期費用は「0円」

民間の介護付き有料老人ホームなどに入所する際、数百万円から数千万円にも上る高額な入所一時金を前払いとして求められることが珍しくありません。

しかし、公的な施設である特別養護老人ホームの場合、入所一時金は基本的に不要で、初期費用はほとんどかかりません。

手元に大きな貯蓄がない家庭でも、毎月の年金の範囲内で入所の準備を進められるため、経済的なハードルが低く設定されています。

月額費用の相場と4つの内訳

毎月支払うことになる月額費用の相場は、およそ8万円から15万円程度が一般的となっています。

この費用は大きく分けて4つの項目から構成されています。

1つ目は、介護保険サービスの自己負担分である施設サービス費です。

2つ目は、家賃や光熱費に相当する居住費、3つ目は1日3食の食費となります。

そして4つ目が、個人の嗜好品などに充てられる日常生活費です。

これらが合算されて月々の請求額となりますが、紙おむつ代が介護保険サービスの費用に含まれているため、別途実費として請求されない点は大きなメリットといえるでしょう。

部屋のタイプ(多床室・個室)で変わる居住費

月額費用の中でも、金額に大きな差が出やすいのが、利用する部屋のタイプによる居住費の違いです。

かつて主流であった4人部屋などの多床室は、プライバシーの確保がやや難しい分、居住費が非常に安く抑えられています。

一方、近年新設される施設で主流となっているユニット型個室は、10人程度のグループで共有のリビングを持ちながら、完全な個室でプライベートな空間を確保できるため、居住費が高く設定されています。

本人の性格や集団生活への適応力、家計の状況などを踏まえて、どのタイプの部屋を希望するのかを慎重に検討しましょう。

費用負担を軽減する「負担限度額認定制度」

所得や預貯金が一定の基準を下回る方を対象に、毎月の居住費と食費の自己負担の上限額を引き下げる「特定入所者介護サービス費(いわゆる負担限度額認定制度)」という公的な軽減措置があります。

この制度を利用するためには、お住まいの市区町村の窓口へ申請を行い、認定証の交付を受ける必要があります。

認定されれば、所得段階に応じて費用が大幅に減免されるため、国民年金のみで生活されている方であっても、無理なく特別養護老人ホームでの生活を続けることが可能です。

高額介護サービス費などの軽減制度の活用

もう一つの重要な支援策として、「高額介護サービス費制度」があります。

これは1ヶ月間に支払った介護保険の自己負担額が、所得に応じて定められた上限額を超えた場合、その超過分が後から払い戻される制度です。

さらに、医療費と介護費の両方が高額になってしまった世帯に対しては、「高額医療・高額介護合算療養費制度」を活用することで、年間の負担総額を一定の範囲内に収めることができます。

これらの制度をしっかりと活用することで、長期的な入所であっても家計への負担を抑えることができます。

特養で受けられるサービス

特別養護老人ホームでは、穏やかな生活を送るためのさまざまなサービスが提供されています。

ここでは、身体的な介護支援から日々の楽しみとなるレクリエーション、健康を守る医療との連携など、施設内で提供される具体的なサービス内容について詳しく紹介します。

食事・入浴・排泄などの身体介護サービス

特別養護老人ホームでは、24時間体制で提供される食事・入浴・排泄の介助といった身体介護サービスが受けられます。

介護の専門資格を持ったスタッフが、利用者の身体状況に合わせて安全かつ丁寧なサポートを行います。

特別養護老人ホームの職員は定期的な研修などを通じて、介護に必要な知識や技術を十分身に付けている点が特徴です。

介護のプロフェッショナルに生活を任せられるため、入所者の家族も安心できるでしょう。

機能訓練指導員による日常生活リハビリ

特別養護老人ホームには、理学療法士や作業療法士、柔道整復師などの資格を持つ機能訓練指導員の配置が法律で義務付けられています。

病院で行うようなハードなリハビリテーションとは異なり、「今の生活機能をいかに長く維持するか」を主眼としたケアが行われています。

ベッドから車椅子への乗り移りや、食堂までの歩行訓練、関節が固まらないようにするための体操など、日々の暮らしそのものをリハビリと捉えてケアを行っています。

無理のない範囲で筋力の低下を防ぐためのプログラムが提供されるため、一人ひとりの状態に合わせた適切なサポートを受けられるでしょう。

看護師による健康管理と提携医の訪問診療

日中の時間帯には看護職員が常駐しているため、利用者の血圧や体温の測定、服薬の管理、インスリン注射や胃ろうの管理などの健康管理が受けられます。

また、施設は近隣の医療機関の医師と連携を結び、週に数回の訪問診療が行われています。

そのため、定期的な診察を施設内にいながら受けられるのも魅力でしょう。

万が一、夜間や休日に急な体調不良が発生した場合でも、提携医やオンコール体制の看護師とすぐに連絡が取れる仕組みが構築されています。

迅速に救急搬送などの適切な対応が取れるため、安心して生活できる体制が整っています。

レクリエーションや季節のイベントの実施

特別養護老人ホームでは、単調な日常に彩りや楽しみを添えるため、さまざまなレクリエーションや季節ごとのイベントが定期的に企画されています。

書道や手芸などの趣味活動、音楽療法、全身を動かす体操教室のほか、お花見や夏祭り、敬老会、クリスマス会といった季節感あふれる行事が、スタッフの工夫によって開催されています。

これらの活動は単なる娯楽にとどまらず、手先を動かしたりほかの入所者と笑い合ったりすることで、脳に適度な刺激を与えて認知症の進行を遅らせる効果も期待されています。

心の豊かさを保つための大切な生活サービスの一つとなっているのです。

最期まで寄り添う「看取り(ターミナルケア)」

近年、多くの特別養護老人ホームが積極的に取り組んでいるのが、人生の最終段階を施設で迎えるための看取り(ターミナルケア)の提供です。

かつては状態が悪化すると病院へ搬送されるのが一般的でしたが、現在は長く住み慣れた施設のベッドで、顔なじみのスタッフに見守られながら穏やかな最期を迎えたいと希望される方が増えています。

医師、看護師、介護スタッフ、そして家族が密に連携し、過度な延命治療は行わずに苦痛を最小限に和らげ、本人の尊厳を最後まで守るためのケアが提供されています。

特養と他の介護施設との違い

高齢者のための施設には、特別養護老人ホーム以外にもさまざまな種類が存在します。

それぞれに入所の目的や提供されるサービスの内容が異なるため、「どこに入所させればよいのか分からない」と迷うこともあるでしょう。

ここでは、代表的な3つの施設をピックアップし、それぞれの特徴や違いについて解説します。

「老健(介護老人保健施設)」との違い

「老健」と呼ばれる介護老人保健施設は、特別養護老人ホームと同じ公的な介護保険施設ですが、その目的は根本的に異なります。

特別養護老人ホームが終の棲家であるのに対し、介護老人保健施設は退院後などの高齢者が集中的にリハビリテーションを行い、在宅への復帰を目指すための施設です。

そのため、介護老人保健施設には医師や理学療法士などの専門職が多く配置されており、医療ケアやリハビリが充実しています。

ただし、一般的に介護老人保健施設は3ヶ月〜半年程度を目安に退所し、自宅へ戻ることが前提となっているため、長期間の居住を前提とした施設ではありません。

「介護付き有料老人ホーム」との違い

介護付き有料老人ホームは、主に民間企業が運営している居住系の介護施設です。

終身利用が可能である点は共通していますが、初期費用として数百万円の入所一時金が必要になることが多く、月額費用も20万円から30万円以上と、特別養護老人ホームに比べて金銭的な負担が大きくなる傾向があります。

その分、豪華な設備や高級ホテルのような食事、コンシェルジュサービス、手厚い人員配置など、各企業が独自の付加価値を提供し、サービスの質を競い合っています。

経済的に余裕があり、より充実した生活環境や個別サービスを求める方に選ばれています。

「グループホーム」との違い

グループホームは、認知症の診断を受けた高齢者のみを対象とした地域密着型の施設です。

1ユニットにつき最大9人という非常に少人数の家庭的な環境の中で、専門スタッフのサポートを受けながら食事の準備や掃除などを利用者同士が役割分担しながら共同生活を送るのが特徴です。

特別養護老人ホームのように重度の身体介護を必要とする方よりも、身体的には比較的自立していても、認知症のために在宅生活が困難になった方が、認知症の進行を和らげながら穏やかに暮らすための施設として機能しています。

特養のメリット・デメリット

どのような介護施設にも、それぞれにメリットとデメリットがあります。

特別養護老人ホームへの入所を決断する前に、その両面を比較検討しておくことが、後悔のない選択に繋がります。

ここでは、特別養護老人ホームに入所するメリットと、事前に対策を考えておきたいデメリットについて解説します。

【メリット】費用が安く終身利用ができる安心感

特別養護老人ホームの最大のメリットは、経済的な負担の軽さと生涯にわたる安心感を両立できる点です。

民間施設では躊躇してしまうような高額な初期費用が不要で、月々の支払いも年金の範囲内で賄えるケースが多いため、長期的な資金計画が立てやすくなります。

また、一度入所すれば要介護度がさらに重くなったり、認知症が進行したりしても退所を求められるケースが比較的少なく、人生の最期まで手厚い介護を受け続けられます。

利用者だけでなく、介護を担う家族の精神的な重圧も取り除いてくれるでしょう。

【メリット】倒産リスクが低く経営が安定している

社会福祉法人や地方自治体といった非営利の公的機関が運営しているため、民間企業のように突然施設が閉鎖されるリスクが比較的低いのが、特別養護老人ホームのメリットです。

国や自治体の厳しい基準をクリアし、定期的な監査を受けながら介護報酬や公的な支援制度を基盤に運営されているため、経営基盤が非常に安定しています。

家族を預ける場所として、変わらない品質で介護サービスを提供し続けてくれるという社会的な信用度の高さも、特別養護老人ホームならではの魅力となるでしょう。

【デメリット】待機者が多くすぐに入所できない

特別養護老人ホームは、そのメリットの多さゆえに、待機者が多い傾向にあります。

そのため、入所までのハードルが高い点は、デメリットになると言えるでしょう。

全国的に多くの施設で、数十人から数百人規模の待機者がいる施設も少なくありません。

申し込みをしてから実際に入所できるまでに、数ヶ月から数年という期間を要することも珍しくありません。

入所の順番は申し込み順ではなく、介護度の重さや家族の状況などから判断される必要度の高さによって決まるため、すぐに入所先を確保しなければならない緊急入所が必要な場合には適さない場合があるでしょう。

【デメリット】相部屋(多床室)によるプライバシーの問題

費用を安く抑えるために従来型の多床室を選択した場合、カーテン一枚で仕切られただけの空間となるため、他人の生活音やいびき、排泄時のにおいなどが気になり、プライバシーが十分に確保できないという問題があります。

共同生活のストレスから不眠に陥ってしまったり、面会に来た家族が周囲に気を使ってゆっくりと会話ができなかったりすることもあります。

プライバシーを重視するのであればユニット型個室を選ぶ必要がありますが、月額の居住費が高くなる点はデメリットといえるでしょう。

まとめ

特別養護老人ホームは、重度の介護が必要となった高齢者とその家族にとって、経済的な不安を取り除いて長期的な安心を提供してくれる公的施設です。

ほかの介護施設との違いや、メリット・デメリットを正しく理解し、負担限度額認定制度などの公的な支援を賢く活用することで、無理のない安心の介護生活を実現することが可能です。

将来の選択肢の一つとして、この機会に特別養護老人ホームの情報収集や施設見学をしてみてはいかがでしょうか。