近年は「ユニット型」を採用している特別養護老人ホームが増加傾向です。
厚生労働省も、地域密着型介護老人福祉施設及び指定介護老人福祉施設の定員数のうち、ユニット型の定員数が占める割合を70%まで引き上げる目標を掲げています。
ユニットケアは「個別ケア」「プライバシーの保護」「入所者同士の交流」などを重視し、入所者の日々の楽しみを引き出すことを目的としています。
しかし、良いことばかりではなく、入所費用が高くなりやすいことや人間関係が限定される点、職員の配置コストなどには注意が必要です。
この記事では、ユニット型特別養護老人ホームの特徴や従来型との違い、入所後の費用、人員配置基準、入所や就職を考える際に確認すべきポイントについて詳しく解説します。
出典:厚生労働省 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の報酬・基準について(検討の方向性)
ユニット型特別養護老人ホームとは
特別養護老人ホームには、大きく分けて「ユニット型」と「従来型」があります。
一般的な従来型は、2〜4人ずつの多床室と大きな食堂で成り立っています。
一方、ユニット型では入所者を少人数ごとのグループ(ユニット)に分け、共有スペースを囲むように個室を配置しているのが特徴です。


ユニット型特別養護老人ホームの詳しい解説を始める前に、まずは特別養護老人ホームの概要やユニットケアの考え方から確認していきましょう。
画像引用:厚生労働省 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
特別養護老人ホームとはどういう施設?
特別養護老人ホームは、常時介護が必要な高齢者で、自宅での暮らしを続けることが難しい人が生活する介護保険施設です。
原則として要介護3以上の高齢者が入所し、食事や排泄、入浴などの生活上の支援、健康管理、機能訓練などを受けながら暮らしています。
入所者は、介護保険制度における施設サービス費のほか、居住費、食費などを負担しています。
ユニットケアとは
ユニットケアとは、施設内をいくつかの区画(ユニット)で区切り、ユニット単位でケアを行う方式です。
従来型では、施設のルールやスケジュールに沿って食事や排泄、入浴などが行われることが多いため、個人単位での希望には対応しづらい側面があります。
一方ユニット型は、少人数単位でケアを行うため、個別へのサービスを重視しやすいことが特長です。
職員もユニットごとに振り分けられており、毎日同じ入所者のケアを行うことから、入所者の状態が把握しやすい、顔なじみの関係になりやすいといった利点があります。
従来型では、長い廊下の先に共有の食堂があるため、移動の負担が大きい入所者は居室で過ごすことが多くなりやすい点が課題でした。
ユニット型では、共有スペースを囲むようにそれぞれの居室が配置されているため、居室を出るとすぐに職員やほかの入所者との交流が図れるようになります。
1ユニットは何人?
1ユニットの入所定員は原則としておおむね10人以下とされており、15人を超えないものとされています。
少人数で運営することにより、各入所者の性格や生活リズムの把握がしやすく、個別の希望にも柔軟な対応が可能です。
また、同じ入所者のケアを繰り返していると、普段と異なるわずかな変化にも気づきやすくなります。
出典:厚生労働省 指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準 第四十条 一
ユニット型特別養護老人ホームの入所条件
ユニット型でも従来型でも、入所者の条件に違いはなく、原則65歳以上で要介護3以上の方が対象です。
しかし、特定の理由がある場合は、40〜64歳や要介護1〜2でも入所が可能です。
例えば40〜64歳の場合は、介護保険の第2号被保険者で特定疾病によって要介護3以上の認定を受けている必要があります。
要介護1〜2の場合でも、認知症や精神障害によって日常生活に支障をきたしている、虐待が疑われているなど、個別の事情によっては特例的に入所が認められます。
ユニット型特別養護老人ホーム|従来型との違い
ユニット型と従来型の違いを表にまとめると以下のようになります。
| 項目 | ユニット型 | 従来型 |
| 居室 | 原則個室 | 2〜4人部屋(多床室)が多い |
| 生活単位 | ・おおむね10人以下 ・最大でも15人 | 施設単位など大きな括りになりやすい |
| 生活時間 | 個人の生活習慣に合わせやすい | 施設全体の予定に合わせる部分が多い |
| プライバシー | 確保されやすい | 多床室では周囲への配慮が必要 |
| 職員との関係 | 担当職員がある程度固定されるため、顔なじみになりやすい | 多くの職員と関わる機会がある |
| 費用 | 居住費や施設サービス費が高くなりやすい | 多床室の場合、費用負担を比較的抑えやすい |
なお、従来型の中には必ずしも2~4人部屋ではなく、個室対応を行っている施設もあります。
また、新設は原則認められていませんが、多床室をパーテーションなどで区切った「ユニット型個室的多床室」なども存在します。
ユニット型特別養護老人ホームのメリット・デメリット
ユニット型であってもメリットやデメリットがあるため、必ずしもすべての人に向いているわけではありません。
入所を検討している場合は、本人の性格や好みに応じて考えることも大切です。
ここでは、ユニット型特別養護老人ホームのメリット・デメリットを紹介します。
ユニット型特別養護老人ホームのメリット
まずは、ユニット型特別養護老人ホームのメリットを紹介します。
個別ケアがしやすい
従来型では、多数の職員がすべての入所者に関わることから、一人ひとりの個別の要望を把握することは困難でしょう。
しかしユニット型では、1ユニットが少人数であるため、個別の希望にも対応しやすいのが利点です。
朝起きる時間や寝る時間、日中の過ごし方など、その人らしい生活リズムに合わせやすいといえます。
原則個室のためプライバシーが守られやすい
従来型の多床室では、2〜4人部屋をパーテーションやカーテンのみで区切っているため、話し声やテレビの音、プライベートな会話などが漏れやすくなっています。
ユニット型は原則個室のため、プライバシーを確保しやすいのがメリットです。
周囲に気を遣う場面も減り、好きなことに集中しやすくなるうえ、家族との面会時も個室でゆっくりと過ごせます。
少人数なので顔なじみの関係を築きやすい
ユニット型では、ユニットごとの共有スペースが入所者同士の交流の場となるため、ご近所付き合いのような関係性が自然に築きやすくなります。
財団法人医療経済研究機構が行った調査によると、従来型からユニット型に建て替えた特別養護老人ホームでは、入所者と職員に以下のような変化があったと報告されています。
| 入所者の生活上の変化 ベッド上の滞在率 : 67.7% → 40.2% リビングの滞在率 : 16.7% → 42.8% 日中に占める睡眠時間 : 42.3% → 22.5% 日中に占める食事時間 : 7.6% → 11.3% 一人あたりの食事量 : 1,463kcal → 1,580kcal ポータブルトイレの設置台数 : 29台 → 14台 職員の行動の変化 居室の滞在率 : 39.2% → 18.0% 廊下の滞在率 : 9.2% → 4.9% リビングの滞在率 : 9.4% → 37.5% 直接介助の時間 : 46.2% → 33.1% 余暇・交流の時間 : 20.3% → 24.1% |
この調査結果は、個室と共有スペースの設置が、入所者と職員の双方に変化をもたらす可能性があることを示唆しています。
ユニット型特別養護老人ホームのデメリット
次に、ユニット型特別養護老人ホームのデメリットを紹介します。
ユニット型のほうが料金が高くなりやすい
ユニット型は個室であるため、多床室より区画壁が多くなり、構造上敷地面積あたりの入所定員が少なくなります。
また、空調の設置費用や共有スペースの面積なども影響し、居住費や光熱水費が高くなる傾向があります。
そのため、従来型に比べて費用負担が大きくなりやすいことが難点です。
人間関係のトラブルがあると影響が大きい
1ユニットがおおむね10人のため、入所者同士の人間関係にトラブルが生じた場合の影響が大きくなりやすいことが考えられます。
ユニット型では毎日のように顔を合わせる機会があり、相性が悪い人がいると負担になることも多くなるでしょう。
入所者同士だけでなく職員との関係も同様であり、一度関係が悪化すると修復が難しくなることもあります。
人気が高く待機期間が長くなりやすい
入所の順番は申し込み順ではなく、必要性を点数化した優先順位によって決まります。
例えば、要介護度が急に上がり自宅で過ごせなくなった、身寄りがいない、虐待の可能性があるといった事情が、優先順位を判断する際に考慮されます。
ユニット型の施設は建物が比較的新しいこともあり、入所希望者が集中することも考えられるでしょう。
そのため、入所待ちの待機期間も、数カ月から数年に及ぶ場合があるため注意が必要です。
ユニット型特別養護老人ホームのサービス内容
ユニット型でも従来型と同様に、入浴や食事、排泄などの介護サービスを受けられます。
従来型と異なるのは、個室と共有スペースの存在、個別のスケジュールに対応しやすい点です。
ここでは、ユニット型特別養護老人ホームの1日の流れや各サービス内容について解説します。
ユニット型特別養護老人ホームの1日の流れ
1日のスケジュールは施設によって異なり、ユニットケアが目指す個別ケアの観点からも、一人ひとりの過ごし方も変わるでしょう。
あくまで一例として、1日の流れを紹介します。
| 時間 | 予定の内容 |
| 7:00 | 起床介助 |
| 8:00 | 朝食・口腔ケア |
| 9:00 | 入浴・体操など |
| 12:00 | 昼食・口腔ケア |
| 14:00 | レクリエーション・趣味活動など |
| 15:00 | おやつ |
| 17:30 | 夕食 |
| 19:00 | 就寝介助 |
| 夜間 | 巡回・排泄介助など |
実際は「朝食は遅い時間に食べたい」「レクリエーションよりも趣味の活動を優先したい」といった個別の希望によって、時間に変動があります。
そのため、スケジュールは一人ひとり異なる場合も多くなるでしょう。
生活支援
食事や入浴、更衣のお手伝い、おむつ交換やトイレなどの介助、シーツ交換や掃除、洗濯などが施設サービスとして提供されます。
特別養護老人ホームの入所者はほとんどが要介護3以上であるため、入浴や排泄などの身体介護が必要です。
食事についても、入所者のかむ力や飲み込む能力に合わせたものが提供されます。
居室の掃除やシーツ交換、洗濯などは介護保険の施設サービス費に含まれているため別途費用はかかりません。
ただし、本人の希望により業者にクリーニングを依頼した場合などは実費が必要になる場合があります。
健康管理
ユニット型では、看護師による健康チェックや協力医療機関による定期的な往診によって健康管理が行われます。
特別養護老人ホームの設置にあたっては協力医療機関を定めることが義務付けられており、急変時には協力医療機関の指示や連携によって対応します。
経管栄養や24時間体制の喀痰吸引、看取りの対応については、施設の体制にもよりますが、実施している施設もみられるでしょう。
レクリエーションや機能訓練
ユニット型特別養護老人ホームでは、体操やカラオケ、ゲーム、季節ごとの行事など、さまざまな活動を通して、身体機能の維持や余暇活動の支援が行われます。
理学療法士や作業療法士のリハビリを実施している場合もあり、そのような施設では専門的な機能訓練が受けられるでしょう。
レクリエーションは、施設全体で行われるものもあれば、ユニット単位で入所者の好みに応じて実施されるものもあり、内容もユニットごとの特色が出やすい部分です。
ユニット型特別養護老人ホームの費用内訳
ユニット型の特別養護老人ホームで毎月支払う費用は、主に「介護サービス費」「居住費」「食費」「そのほかの日常生活費」です。
特別養護老人ホームは公的な施設になるため、有料老人ホームでみられる入所一時金は必要ありません。
しかし、ユニット型は従来型より居住費が高くなりやすいため、入所前に実際の月額費用を確認しておきましょう。
介護サービス費
介護サービス費とは、介護保険の施設サービスに対する利用料のことで、要介護度によって費用が異なります。
また、入所者の所得に応じて1~3割の自己負担割合が適用されるほか、施設が取得している加算や地域区分によっても実際に支払う金額は変わります。
要介護度は入所後に変わるかもしれないため、現在の利用料だけでなく要介護度が上がった場合の費用負担も確認しておきましょう。
居住費
居住費は、施設内の部屋代や光熱水費などが含まれます。
ユニット型は原則個室となるため、従来型と比べて差が出やすい部分です。
光熱水費は基本的に一定額が請求されますが、施設によってはテレビや冷蔵庫などを持ち込んだ場合、電気代を別途設定していることもあります。
食費やそのほかの費用
食費は、1日3食分の金額に利用日数を掛けて計算されます。
外食や入院などで食事をとらなかった日の場合は、施設ごとに異なりますが、数日前に連絡しておけば、その日分の食費が請求されないこともあります。
また、そのほかの月額費用として、理美容代や歯ブラシなどの日用品の購入費用、医療機関での診察代や薬代などが必要です。
費用負担を抑えられる制度
ユニット型特別養護老人ホームの費用は、負担を軽減できる制度を利用することで抑えられます。
制度には以下のようなものがあります。
| 制度名 | 内容 |
| 介護保険負担限度額認定 | 所得や預貯金が一定の条件を満たす場合、食費や居住費を軽減できる |
| 高額介護サービス費制度 | 介護保険の自己負担額(1カ月分)が所得に応じた上限額を超えた場合、超過した分が払い戻される |
| 高額医療介護合算サービス費制度 | 医療保険と介護保険の自己負担額(1カ月分)が所得に応じた上限額を超えた場合、超過した分が払い戻される |
各制度の利用にはそれぞれ一定の要件があるため、市区町村の介護保険窓口やケアマネジャーに利用条件や申請方法を確認してください。
ユニット型特別養護老人ホームの待機期間が長いときの対処法
厚生労働省の調査によると、従来型やユニット型も含む特別養護老人ホームにおける入所待ちは、全体で20.6万人・在宅での待機者は8.6万人との報告があります。
人気のある特別養護老人ホームでは、入所待ちの状況が数カ月から数年にも及ぶことがあるため、その間の生活について困っている方もいるでしょう。
ここでは、ユニット型特別養護老人ホームでの入所待ちの間にできる対策を紹介します。
地域包括支援センターに相談する
地域の施設情報を把握している地域包括支援センターでは、同じような条件の施設を探してもらえる場合があります。
また、地域包括支援センターには、社会福祉士やケアマネジャー、保健師など各分野の専門家が常駐しているため、入所者に合った介護施設が見つけられるでしょう。
ショートステイを検討する
在宅介護を続ける場合は家族の負担も大きくなりやすいため、ショートステイを検討するのも一つの選択でしょう。
ショートステイは、施設に短期間宿泊しながら食事や介護サービスを受けられるため、家族が一時的な休息としても利用することも多いです。
ショートステイは最長で30日連続して利用できるため、在宅介護を続けている方にとっては大きな支援となります。
ほかの施設を検討する
待機中の状況によっては、有料老人ホームや介護老人保健施設、介護医療院などへの入所も候補にあがります。
それぞれ特徴や費用、医療体制などが異なるため、その人に必要なケアや費用面など、今後の生活を踏まえて検討することが大切です。
ユニット型特別養護老人ホームの人員配置基準
ユニット型でも、基本的には従来型の人員基準が踏襲されます。
特別養護老人ホームの人員基準は以下のとおりです。
| 職種 | 主な配置基準 |
| 施設長(管理者) | 常勤1人 |
| 医師 | 必要な人数 |
| 生活相談員 | 入所者100人、またはその端数を増すごとに1人以上 |
| 介護職員または看護職員 | ・入所者の数が3人またはその端数を増すごとに1人以上 ・看護職員は常勤換算で1人以上(入所者の数によって異なる) |
| 栄養士または管理栄養士 | 1人以上 |
| 機能訓練指導員 | 1人以上(ほかの職種との兼務可能) |
| 介護支援専門員 | 入所者100人、またはその端数を増すごとに1人を標準 |
ユニット型の場合は、さらにユニットごとの職員配置基準が加わります。
ここでは、ユニット型特別養護老人ホームの人員配置基準を紹介します。
出典:厚生労働省 介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
昼間はユニットごとに常時1人以上の配置
日中の時間帯は、ユニットごとに介護職員または看護職員を常時1人以上配置することが必要です。
これはあくまでも最低基準のため、実際にはより多くの職員が勤務しています。
常時1人とは、職員が休憩に入っている間も別の職員が対応している状態を指します。
夜間は2ユニットごとに1人以上の配置
夜間帯については、2ユニットにつき1人以上の介護職員または看護職員の配置が必要です。
1ユニットは約10人のため、職員1人が2ユニットで約20人の対応をすることもあります。
基準よりも夜勤者を多く配置している施設もあるため、求人を見る場合や入所先を選ぶ場合には確認しておきましょう。
ユニットごとに常勤のユニットリーダーを配置
各ユニットには常勤のユニットリーダーを配置することが定められています。
ユニットリーダーとは、個別ケアの方針を考えたり、職員間の情報共有を支えたりするなど、ユニット運営の中心となる存在です。
出典:厚生労働省 介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
ユニット型特別養護老人ホームで働くのが大変と感じられる理由
ユニット型特別養護老人ホームの仕事は「大変」「きつい」といわれることがあります。
10人ほどの入所者の対応を少人数で行うことから、イレギュラーが発生したときの一人ひとりにかかる負担が、大きくなることも少なくありません。
ここでは、ユニット型特別養護老人ホームの業務で大変に感じられる理由を解説します。
ワンオペ対応の時間が多くなる可能性がある
ユニットごとに職員を配置していることから、時間帯によっては1人でユニット全体の対応をすることもあります。
施設全体で業務を行う場合は、複数の職員と連携して業務を行えるため、緊急時の対応であってもお互いにフォローしながら対応できます。
しかし、ユニット単位で業務を行うようになると、一つのユニットに配置される職員の数は施設全体に比べて少なくなります。
ほかの職員が休憩に行っている間はワンオペになることもあり、ナースコールなど予定外の対応が重なると、業務負担が大きくなるでしょう。
シフトが組みにくく欠勤時のフォローが困難
ユニット型では、ユニットごとの配置人数が施設全体より少なくなるため、誰かが欠勤したときのフォローはかなり困難です。
また、希望休が重なると、通常の人数を確保しづらくなったり、無理な勤務が続いたりする可能性も高くなります。
施設の体制によっては、欠勤時のフォローや希望休の重複があると、ユニット型での勤務が厳しく感じるかもしれません。
ユニットリーダーに負担が集中する場合がある
ユニットの運営は、ユニットリーダーが担っています。
そのため、ユニットごとのルールの設定や個別ケアの内容、シフト作成、新人教育など運営に必要な業務を行うため、負担が集中することがあります。
施設によってリーダーへ任される範囲は異なりますが、あまりに役割が多すぎると負担を感じやすくなるでしょう。
反対に、管理者やほかのユニットリーダーなどに相談しやすい職場であれば、一人で抱え込むことが少なくなります。
職員の力量によって仕事量やサービスの質にばらつきが出やすい
少人数の職員で一つのユニットを支えることから、それぞれの経験量や介助技術、情報共有の差がケアに反映されやすい側面があります。
結果として、仕事量やサービスの質にばらつきが出やすいでしょう。
経験が乏しい職員がいる場合は、新人をフォローしやすい仕組みや職場の雰囲気、研修の機会が充実しているかなどが大切です。
ユニット型への入職を検討しているのであれば、実際の職員数とあわせて教育体制についても確認しておきましょう。
ユニット型特別養護老人ホームを見学する際に確認するべきポイント
人員配置基準だけでなく、必要なサービスを適切な人員で対応しているか、どこまで施設が対応しているのかを確認することで、実際の様子を知ることができます。
パンフレットや求人内容だけでは分からない部分も多いため、見学時には実際の様子を確認することが大切です。
ここでは、ユニット型特別養護老人ホームを見学する際に確認するべきポイントを紹介します。
昼間・夜間における実際の職員配置人数を確認する
人員配置基準で規定されている人数は、あくまで最低限の配置人数のため、実際にどれくらいの職員が配置されているかが重要です。
特別養護老人ホームの入所者はほとんどが要介護3以上であるため、排泄や誘導介助が必要となり、日中に職員一人で対応するのは困難です。
1日にどれくらいの職員が勤務しているか具体的に確認することで、おおよその人員体制が分かります。
個別ケアの具体例を聞いてみる
個別ケアとして、実際にどのような対応をしているのか具体例を聞いてみましょう。
施設の形態としてはユニット型であっても、人員不足などの理由から個別対応ができていない場合もあります。
例えば、朝はゆっくり寝てから朝食をとりたい方はどう対応しているか、食事を自室でとりたい場合は対応が可能かなど、具体的な場面について質問するのも良いでしょう。
職員が明るく働いているか確認する
職員同士が笑顔で明るくあいさつしているかによって、施設の雰囲気を感じ取れる場合があります。
入所者に対して、どのような声かけを行っているかもあわせて観察してみましょう。
反対に、職員の顔が暗く笑顔がない施設は、職員が疲弊している可能性も考えられます。
トラブルがあったときに居室を変更できるか確認する
多くの特別養護老人ホームでは、入所後に居室やユニットを変更することは例外的なケースとされています。
しかし、ユニット型という小さなコミュニティでは、ささいなトラブルでも居心地の悪さにつながることもあります。
関係性の修復ができない場合、居室やユニットの変更を希望したときに対応が可能か、どのような状況であれば認められるかなど、事前に聞いておくと安心です。
医療体制について確認する
医療的なケアが日常的に必要な場合は、入所後にどこまで対応してもらえるか確認が必要です。
例えば、経管栄養や喀痰吸引、看取り対応の有無などは施設によって異なります。
特別養護老人ホームには協力医療機関が指定されていますが、必ずしも24時間医師が対応しているとは限りません。
夜間に急変があった場合の連絡先や、受診体制まで事前に確認しておきましょう。
ユニット型特別養護老人ホームに関してよくある質問
ここでは、ユニット型の特別養護老人ホームでよくある質問を紹介します。
Q1.ユニット型特別養護老人ホームの入所にはどのような人が向いていますか?
ユニット型特別養護老人ホームでの生活は、プライベートな空間である個室と、他者との交流が望める共有スペースとで成り立っています。
一人で落ち着いた時間を保ちながら、ほかの入所者や職員との関わりも楽しみたい方に向いているでしょう。
また、個別ケアの観点から、これまでの生活習慣や趣味活動の時間を維持したい人にとっても、個室が確保されているユニット型は適しているといえます。
ただ、他者との距離感を過剰に気にする人の場合は、ユニットごとの雰囲気を見て判断することが大切です。
Q2.ユニット型特別養護老人ホームは認知症があっても入所できますか?
認知症の有無だけで、特別養護老人ホームに入所できなくなることはありません。
むしろ、顔なじみの職員や入所者に囲まれた環境は、認知症の高齢者にとって安心につながる場合もあります。
ただし、認知症の症状や必要なケアは一人ひとり異なるため、入所を考えている施設で対応可能か事前の確認が必要です。
Q3.ユニット型特別養護老人ホームは40代・50代や未経験でも働けますか?
40代・50代や介護未経験者を募集している施設もあります。
介護の仕事は身体介護以上に、入所者とのコミュニケーションや職員同士の連携が重要です。
前職で接客やチームワークの経験があると、介護の現場でもスキルを十分に活かせるでしょう。
Q4.ユニット型特別養護老人ホームで働くのはきつい?向いている人は?
人員の余裕がなく、フォロー体制も十分でない施設の場合は、職員一人あたりの負担が大きくなる可能性があります。
また、個別ケアを重視した結果、効率的な業務遂行にならない場合も考えられます。
しかし、少人数だからこそ、入所者一人ひとりに深く関わることが可能です。
最初に覚えなければならない入所者の人数が少ない、普段の様子との違いに気づきやすいなどは、ユニット型の利点です。
ユニット型は、一人ひとりの生活に合わせたケアを行いたい人にとっては向いているといえます。
Q5.ユニット型特別養護老人ホームの夜勤は1人で何人をみる?
ユニット型における夜間の配置人数は、2ユニットごとに1人以上です。
そのため、一般的な10人のユニットを2つ担当する場合、1人で20人を受け持つ場合もあります。
また、施設の構造によっては1ユニット15人まで認められているため、20人を超える場合もまれに存在します。
まとめ
ユニット型特別養護老人ホームでは、少人数のグループで生活をしながら、一人ひとりの生活リズムや希望に合わせたケアを受けやすいとされています。
原則として個室で過ごせるためプライバシーを保ちやすいと同時に、共有スペースではほかの入所者との交流も望めます。
一方で、従来型と比較して月額料金が高くなりやすい点には注意が必要です。
また、人員の都合などにより、個別ケアが不十分であったり、職員の負担が大きくなったりしている施設もあります。
見学の際は、実際の生活をつかめるように具体的な質問をしてみましょう。
また、1か所だけでなく複数の施設を見学することで、それぞれの良し悪しが比較できます。
費用負担やサービス内容だけでなく入所後の生活をイメージし、本人が落ち着いて過ごせる環境かどうかを判断することが大切です。
