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106胃ろうは延命?後悔しない判断のために知っておきたい知識や注意点

医師から胃ろうを勧められたとき、本人に意思決定能力がない場合は、家族が判断を行うことになります。

医療の知識が十分にないまま、延命するかどうかを迫られた場合、多大な責任を感じるでしょう。

胃ろうの是非は、それぞれの状況や本人の望む生活に応じて異なるため、一概には判断できません。

本記事では、胃ろうについての基礎知識やメリット・デメリット、胃ろう造設後の生活やケアのイメージを、初めての人でも分かりやすく解説します。

Contents
  1. 胃ろうとは
  2. 胃ろうにかかる費用は医療保険の対象
  3. 胃ろうカテーテルの種類
  4. 胃ろうのメリット
  5. 胃ろうのデメリット
  6. 胃ろうになったら老人ホームに入りにくい?
  7. 在宅で介護する際の注意点
  8. 医師から胃ろうを提案されたときに考えること
  9. 胃ろうを望むかどうか事前に意思表示しておくことも大切
  10. まとめ

胃ろうとは

胃ろうは、病気や加齢で口から十分な栄養が摂れない人に対し、腹部に小さな穴を開けてチューブを通し、胃に直接栄養を注入する方法です。

口から食べる「経口摂取」に対し、チューブを通して栄養を摂る方法は「経管栄養」と呼ばれ、胃ろうはその代表的な手法です。

胃ろうの歴史は古く、1875年に最初の手術が成功し、現在主流の経皮内視鏡的胃ろう造設術(PEG)は1979年に開発され、改良を重ねて安全性の高い医療技術として確立されています。

胃ろうの目的

胃ろうは口から食べられなくなった人に対する生命の維持と栄養状態の改善を目的としています。

十分な栄養が摂れなければ、次第に衰弱し、生命活動を維持できません。

食べ物を飲み込む動作(嚥下)に問題がある場合、無理に食べると誤嚥を起こし、肺炎につながる可能性があります。

肺炎を繰り返すと状態が悪化し、寿命を縮めるおそれもあるため、口からの摂取が困難な患者に対して医師は胃ろうを提案します。

胃ろうの対象

胃や腸には問題がないものの、嚥下機能の低下や重度の認知症、頭頸部がんや食道がんなどの物理的な要因によって、口から食事を摂ることが難しい人が胃ろうの対象になります。

高齢者だけでなく、脳性麻痺や神経筋疾患によって摂食・嚥下機能に障害がある子どもなどにも施される場合があります。

ただし、全く食べられない人だけに限られるわけではありません。

生命維持のために十分な栄養を確保できない人に対して、胃ろうなどの経管栄養が検討されます。

胃ろうは延命治療?余命は?

胃ろうは回復のための手段として用いられることもあります。

しかし、人生の最終段階における胃ろうは、延命治療と受け取られることも少なくありません。

本人との意思疎通ができない場合、胃ろうによって延命するかどうかの判断が家族に委ねられることもあり、本人の気持ちへの配慮が大切です。

胃ろう造設後の余命は、本人の状態によって大きく異なるため、一概には判断できません。

あくまで目安ですが、日本では平均で約3年程度とされています。

その他の人工栄養との比較

胃ろう以外の人工栄養には、中心静脈栄養法、経鼻胃管、腸ろうなどがあります。

中心静脈栄養法生命維持に必要な栄養の投与が可能ですが、感染リスクがあります。
経鼻胃管鼻から胃までチューブを通して栄養を注入する方法で、手術不要・身体的負担は少ないものの、常に異物感があり不快に感じることがあります。
腸ろう腹部に穴を開けて小腸にチューブを挿入する方法で、胃ろうが適さない場合に選択されます。 注入時間が長く、下痢や血糖コントロールが難しい点に注意しましょう。

口からの摂取が4週間以上難しい場合は、胃ろうや腸ろうなどの消化管ろうが検討されます。

一般的には、胃が使える場合は胃ろう、胃ろうが適さない場合は腸ろうが選ばれ、本人の状態に応じて方法が決まります。

胃ろうにかかる費用は医療保険の対象

胃ろうの手術やカテーテル交換、栄養剤は医療保険が適用されます。

手術費や入院費は自己負担割合や入院日数により異なりますが、一般的には10万〜20万円程度です。

さらに、ベッドや食事代を除く医療費は同月内で高額療養費制度の対象となるため、費用負担を抑えられます。

交換などのメンテナンス費用

手術後は、栄養剤の費用と定期的なメンテナンス費用の負担だけで済みます。

胃ろうは定期的に部品の交換が必要になります。

胃ろうのタイプや医療機関、負担割合によっても異なりますが、バルーン型は1〜2か月ごとの交換で費用が約8,000円、バンパー型は4〜6か月ごとの交換で約2万円です。

どちらも交換時に手数料として2,000円が必要です。

ただし「食品」に分類されるものは医療費の対象にならない

注意が必要なのは注入される栄養剤です。

栄養剤の種類には食品に分類されるものと医薬品に分類されるものがあります。

食品は医療保険が適用されず、医療費控除の対象外です。

食品を使用し続けると費用が高額になるため、状態にもよりますが医薬品に切り替える人も多く、月々2万〜3万5,000円程度の支出になります。

胃ろうカテーテルの種類

胃ろうは、外から見えるチューブ部分と、胃の中で固定され外から見えない部分の2つに分けられます。

ここでは、それぞれの種類について解説します。

ボタン型・チューブ型

身体の外から見えている部分で、チューブがついていない「ボタン型」とチューブが伸びている「チューブ型」に分けられます。

チューブ型のほうが栄養剤の注入がしやすいですが、動作の邪魔になることや、認知症の人がチューブを引っ張りやすいというデメリットがあります。

バルーン型・バンパー型

バルーン型は、挿入後に胃の中で風船のように膨らませて固定します。

痛みが少なく、交換時はバルーンをしぼませて抜くため、比較的容易に交換できます。

ただし、バルーンが破裂する可能性や、1〜2か月ごとに交換が必要になる点もあります。

一方、バンパー型は抜けにくく、交換頻度も4〜6か月と長めですが、出血や痛みが生じることもあります。

バルーン型は在宅診療でも交換できる場合がありますが、バンパー型は交換時の負担がやや大きく、医療機関で対応されることもあります。

胃ろうのメリット

胃ろうは、ほかの栄養補給法と比べても管理しやすい面があり、在宅介護でも選択されることの多い方法です。

ここでは、胃ろうの主なメリットを一つずつ解説します。

違和感が少ない

長期にわたって経管栄養を続ける場合は、十分な栄養を安定して注入できることや、違和感が少ないことが望ましいとされています。

経鼻胃管も長期的な栄養注入が可能ですが、4週間以内の交換が推奨されていることや、鼻腔の異物感や不快感が出る場合があることが挙げられます。

それに比べて胃ろうは違和感が少なく、十分な栄養注入が可能で、交換頻度も長いことから長期利用に向いているといえるでしょう。

状態によっては口からの食事も可能

胃ろうなどの経管栄養は、口からの摂取が完全にできない人だけに行われるのではありません。

状態によっては、少量であれば口からの摂取を医師が認める場合もあります。

必要な栄養やカロリーは胃ろうから注入し、好きなものだけ口から摂取して味わうことも可能です。

経鼻胃管では、鼻から胃までカテーテルが通るため、喉の動きに影響し、口からの食事がしづらくなることがあります。

口からの摂取を続けることで、QOL(生活の質)が向上する場合や、状態が改善して胃ろうが不要になるケースもまれに見られます。

カテーテルが抜けにくい

認知症の場合、経管栄養のチューブを抜いてしまう可能性があります。

特に経鼻胃管は挿入後の違和感から引っ張ってしまうことも多く見られます。

胃ろうは形状の安定性や違和感の少なさから、引っ張って抜いてしまうリスクを下げることが可能です。

目立たないため、運動やリハビリ、趣味などに影響しにくい

胃ろうは腹部にあるため、服を着てしまえば周囲から気付かれることはありません。

運動やリハビリを行う際も、邪魔に感じられる場面はほとんどないでしょう。

移動などにも制限がなく、趣味活動を楽しむことができるのは胃ろうの大きなメリットです。

特別な処置を必要とせず入浴できる

腹部に穴があるため、入浴できないと思われるかもしれませんが、胃ろうの方の入浴では特別な対応はほとんど必要ありません。

防水テープなどで保護することなく、通常通り入浴できます。

胃ろう周りはあまりこすらず、ボディソープを泡立てて優しく洗いましょう。

入浴後もこすらないようにタオルなどで水分を取り、乾燥させれば問題ありません。

感染症のリスクが少ない

胃ろうでも感染のリスクがゼロになるわけではありません。

カテーテルの脱落や誤挿入の状態で注入をしてしまうと、汎発性腹膜炎を起こす場合があります。

しかし、感染症は胃ろうに限って起こるわけではありません。

中心静脈栄養のように血管内に長期間カテーテルを入れる方法と比べると、感染リスクを抑えやすいとされています。

胃や腸に大きな問題がなければ、胃ろうや腸ろうが最初に検討されるのは、感染リスクが少ないことも理由の一つです。

他の人工栄養に比べて管理がしやすく、在宅の利用者も多い

中心静脈栄養や経鼻胃管に比べて胃ろうは管理がしやすく、在宅で管理している人も多いことが特徴の一つです。

全日本病院協会が2010年に発表した資料によると、全国の胃ろう造設者の推計は約25.7万人で、そのうち介護施設の入所者が5.8万人、訪問看護の在宅利用者が約2.9万人となっています。

栄養剤の注入は、家族や研修を受けた介護職員も行えるため、在宅患者に選ばれやすい理由になっています。

出典:全日本病院協会「胃瘻造設高齢者の実態把握及び介護施設・住宅における管理等のあり方の調査研究」 P9

状態が良くなれば取り外すことも可能

嚥下機能が回復して口からの摂取ができるようになったら、胃ろうを取り外すことも可能です。

胃ろうを外したあとの穴は自然にふさがっていきます。

ただし、再び状態が悪化して嚥下が難しくなった場合でも、胃ろうの再造設は難しい場合があります。

その際は、腸ろうなど別の方法を選択することもあります。

高齢者においては、経口摂取が可能になっても、胃ろうを残しておくケースが多く見られるでしょう。

胃ろうのデメリット

胃ろうにはもちろんデメリットもあります。

しかし、医師が胃ろうなどの経管栄養を勧めるのは、口からの摂取が最もリスクが高いと判断される場合です。

大切なのは、必要以上に恐れるのではなく、注意点を現実的に理解した上で判断することです。

手術が必要

点滴や経鼻胃管の場合は手術は必要ありませんが、胃ろうの造設には手術が必要です。

一般的には10〜30分程度の手術で造設できるため、比較的負担は少ないといえます。

術後は状態の確認のため、1週間前後の入院が一般的です。

唾液で誤嚥性肺炎を起こすリスク

胃ろうにすると口からの摂取が減るため、誤嚥や誤嚥性肺炎のリスクがなくなると考えられることがあります。

しかし、口に食べ物を入れなくても唾液や痰を飲み込む必要があり、これが原因で誤嚥することがあります。

誤嚥性肺炎は、誤嚥した唾液や痰の中の細菌が肺に入ることで起こります。

口から食べられない人は唾液や痰の残留物が口腔内に溜まりやすく、清潔を保たないと細菌が増え、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。

肺炎のリスクについては、胃ろう造設前に医師から説明を受けることが一般的です。

逆流の可能性

胃に注入される栄養剤は液体のため、胃から食道へ逆流し、嘔吐がみられる場合があります。

吐き戻した栄養剤を誤嚥してしまい、誤嚥性肺炎につながるリスクもあるため、栄養剤の種類や注入量、注入スピード、体位などを考慮することが必要です。

胃自体の機能低下や栄養剤が合わないといったこともあるため、吐き戻しがあれば医師に相談するようにしましょう。

下痢の心配

栄養剤と本人の体質が合わないと、下痢をしやすくなることがあります。

頻繁な下痢は、臀部のただれを引き起こし、褥瘡の発生につながる可能性もあるため、可能であれば医師や管理栄養士と相談し、改善を検討しましょう。

特に日本人には乳糖不耐症の人が多く、乳糖に対する耐性が加齢とともに低下していることもあります。

その場合は乳糖を含まない栄養剤に変更することも効果的です。

定期的なメンテナンスが必要

他の人工栄養でも同様ですが、胃ろうには定期交換が必要です。

バルーン型は在宅診療でも交換が可能で、痛みや出血も少ない傾向があります。

バンパー型は交換頻度が少なく、長期的には費用を抑えられます。

一方で、交換の際に病院受診が必要になる場合もあり、寝たきりの方にとっては移動の負担が大きくなることがあります。

胃ろうになったら老人ホームに入りにくい?

将来的には老人ホームへの入所を考えている場合、胃ろうの造設には注意が必要です。

施設によっては胃ろうなどの対応ができないこともあります。

入所を考えている施設があれば、ホームページなどで胃ろうの対応について確認しておきましょう。

入所が難しい場合がある

胃ろうの注入は、本人や家族のほか、看護師などの医療職、一定の研修を受けた介護職員しかできません。

施設によっては看護師が常駐していない、研修を受けた介護職員がいないといったこともあります。

また、入所中に胃ろうになった場合、対応できないことからやむを得ず退去になるケースも少なくありません。

痰吸引の体制があるかどうか確認

胃ろうが必要な人の多くは、嚥下障害のため自力での喀痰が難しく、定期的なたん吸引が必要な場合があります。

胃ろうだけであれば、日勤の看護師でも対応できる場合がありますが、夜間のたん吸引も必要になると、対応している老人ホームはさらに少なくなります。

入所前に胃ろうやたんの吸引が必要になった場合の対応について確認しておくことが大切です。

認知症や精神疾患の有無も影響

中等度以上の認知症や精神疾患があると、胃ろう部分を引っ張ってしまったり、注入中にカテーテルを抜いてしまったりするリスクが考えられます。

そのような場合も、施設の状況や体制によっては、安全性の観点から入所が難しいことがあります。

認知症や精神症状がある場合は、その点も含めて受け入れの可否を確認しましょう。

在宅で介護する際の注意点

胃ろうは安全性の高いものですが、実際に在宅で介護を行う際にはいくつか注意点があります。

主な注意点を6つ紹介します。

注入時、注入後は一定時間上体を起こす

胃ろうには逆流の可能性があります。

寝たまま注入をしてしまうと、重力の関係から逆流のリスクが極めて高くなります。

注入中はもちろん、注入後も30分から1時間はベッドの背を上げるなどして、上体を起こしておくことが大切です。

口腔ケアはしっかり行う

嚥下障害によって唾液を誤嚥すると、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。

胃ろうの人は食事をしない分、唾液の分泌が少なく、口腔内が乾燥しやすい傾向にあります。

乾燥した唾液のカスなどは細菌の温床になるため、口腔ケアをしっかり行い、清潔を保つことが大切です。

必要に応じて、口腔用の保湿剤を使用するのも有効です。

胃ろう周りの皮膚トラブルに注意

胃ろう周囲の皮膚にカテーテルやボタンがあたっていることから、皮膚トラブルを起こす場合があります。

1日に1回は石鹸を泡立てて洗浄し、十分に乾燥させて清潔な状態を保つことが大切です。

胃ろう周囲に赤み、腫れ、出血、肉芽、ただれ、潰瘍などがあれば、早めに医師に相談しましょう。

物品の衛生管理

カテーテルや注入器具は常に清潔を保ちましょう。

使用後はしっかり洗浄し、乾燥させることが大切です。

胃ろうに使われる栄養剤は高カロリーなため、成分が残っていると細菌が繁殖しやすくなります。

保管場所にも注意し、認知症の人が手に取らないような安全な場所で管理しましょう。

栄養剤は適したものを

栄養剤にはさまざまな種類があり、消化機能や下痢・逆流の起こりにくさに応じて選ぶ必要があります。

天然濃厚流動食や人工の半消化態栄養剤は消化吸収を必要とするため、消化器が弱っている場合には不向きでしょう。

消化態栄養剤や成分栄養剤は消化の必要がなく、吸収もしやすい分、下痢になりやすい特徴があります。

逆流を防ぐには半固形タイプのものが適しているでしょう。

身体に合わないと感じたら、自己判断せず、医師や看護師、管理栄養士に相談することも大切です。

自己抜去してしまったときの対応を確認

認知症の場合、胃ろうやカテーテルを自ら抜き取ってしまうことがあります。

胃ろうのために開けた穴(瘻孔)は数時間でふさがってしまうため、早急な対応が必要です。

万が一のときのために、予備のカテーテルを用意しておくことや、緊急時の連絡や対応方法など、事前に医師に確認しておきましょう。

医師から胃ろうを提案されたときに考えること

胃ろうをどうするかは、単に「延命したいか、したくないか」だけでは決めきれないでしょう。

回復を目指すための胃ろうなのか、人生の最終段階における選択なのかで意味合いは大きく変わります。

まずは主治医に、目的、回復見込み、合併症のリスク、造設しない場合の経過を具体的に確認しましょう。

本人の希望はなにか

患者の状態によっては、回復を目指して胃ろうを造設する場合もあります。

一方で、延命に近い目的で行われる場合には、本人の意思が十分に尊重されることが大切です。

しかし、認知症や意識不明の状態では、家族が代理決定を行う必要があります。

そのような状況でも、第一に考えたいのは本人の希望です。

本人が元気なうちにどう考えていたか、過去にどのような発言をしていたかを丁寧に振り返ることが大切です。

家族だけでなく、医療・ケアチームとも共有しながら考えてもよいでしょう。

周囲の状況やQOLなどから総合的に判断する

胃ろうにするかどうかの一つの判断基準として、「臨床倫理の4分割法」があります。

医師や看護師、リハビリ職などの医療職が、本人や家族と治療方針について話し合う際などに使われる手法で、4つの視点から問題を考えます。

  • 医学的適応:医師による診断や予後、治療の弊害、利用できる医療サービスなど
  • 本人の意向:本人の意思、価値観、生活の中で大切にしているもの。本人の意思が確認できない場合は、本人をよく知っている家族の判断や意見
  • QOL(生活の質):客観的な生活の質。治療によってもとの生活に戻れる可能性・メリットなど
  • 周囲の状況:家族の事情、経済的な問題、医療や介護側のサポート体制

患者を取り巻く状況は複雑に絡み合っていることが多いため、問題点を整理し、検討しやすくすることが大切です。

判断に迷うときは4つの視点に分けて考えてみましょう。

希望がある場合、医師にしっかり説明する

本人や家族の意思を確認せず、医師が胃ろうを行うことはありませんが、希望があればはっきりと伝えることが大切です。

事前に本人の意思を記録した書類(事前指示書)があれば提示し、今後の治療方針について話し合うようにしましょう。

胃ろうを望むかどうか事前に意思表示しておくことも大切

元気なうちに万が一のことを考えておくことが大切です。

あらかじめ「事前指示書」を作成しておくと、意思決定を迫られる家族の心理的負担の軽減につながります。

事前指示書の書き方

事前指示書とは、意思表示ができなくなったときのために、自身の治療方針の希望をあらかじめまとめた書類です。

決まった書式はなく、「リビングウィル」や「私の診療に関する希望書」など、さまざまな名称で扱われます。

事前指示書は、延命を望まない場合だけでなく、延命を希望する意思を示すためにも作成できます。

点滴は希望するが胃ろうは希望しない、といった具体的な内容も記載可能です。

一度作成したら終わりではなく、意思に変化があれば定期的に更新することが大切です。

書式や例文はインターネットで入手できるので、まずは検討してみましょう。

代理意思決定者の明記

事前指示書の記載時には想定していない状況や、記載のない疾患や状態になった場合、自分以外の誰に意思決定を代理してほしいかを書き記しておくことも重要です。

子どもが複数人いることで、意見が割れてしまう可能性を減らせます。

代理意思決定者に誰を選んだかも事前に周囲に伝えておくと、トラブルの可能性を最小化できます。

緊急時でもすぐに見つけられる場所に保管

大切な書類だからと、誰にも分からない場所に保管してしまっては、実際の状況になったときに見つけられず、意思表示ができない可能性があります。

保険証とセットにしておけば、探す手間が減らせます。

家族やかかりつけ医にも事前指示書の存在を知らせておくことで、自分の意思が伝わりやすくなるでしょう。

まとめ

胃ろうは、口から食べられない人にとって延命の意味合いが大きいことは事実です。

時には、人生の最終段階において重大な判断を迫られることもあります。

しかし大切なのは、胃ろうが良いか悪いかではなく、「本人にとって何が大切か」を中心に考えることです。

胃ろう造設後の生活にはメリットもデメリットもあります。

在宅や施設入所、口腔ケアや定期的な交換など、実際の生活をイメージした上で決断することが後悔しない判断につながります。

本人の希望を事前に文書で残しておくことも、つらい決断を迫られる家族にとっての大きな助けになるでしょう。