サ責とは、「サービス提供責任者」の略称で、訪問介護事業所において主にマネジメント業務を担う役職です。
では、サ責の給料はどのくらいなのでしょうか。
この記事では、サ責の給料や手当の相場、さらに給料アップの方法についても詳しく解説しています。
サ責を目指している方は、ぜひ参考にしてください。
サ責の給料相場
サ責の給料相場を、雇用形態や性別、年齢、地域などのカテゴリー別に紹介します。
サ責全体の平均給料・年収・手取り
公益財団法人介護労働安定センターが行った「令和5年度 介護労働実態調査結果」によると、サ責として働いている方が月にもらっている給料は、平均で約25万1,115円です。
年収として換算すると、約300万円になります。
毎月の給料から、所得税や住民税などの税金や社会保険料が差し引かれます。
手取りの金額は月給の70~80%になるので、平均月収が約25万円のサ責の手取りは、17万5,000円~20万円です。
出典:公益財団法人介護労働安定センター「令和5年度 介護労働実態調査結果」
<賞与の平均額>
賞与は一般的に年2回支給されるため、月給の2~3カ月分になります。
サ責がもらえる平均賞与は、50万~75万円くらいです。
ただし、ボーナスは必ず支給されるわけではありません。
経営状態や経営規模によって、金額が左右されます。
雇用形態別
介護系職種の雇用形態別の給料相場は、次のとおりです。
| 職種 | 平均月給 |
| サービス提供責任者 | 無期雇用:25万1,115円 有期雇用:23万6,575円 |
| 訪問介護員 | 無期雇用:22万6,841円 有期雇用:20万8,419円 |
| 介護職員 | 無期雇用:22万8,377円 有期雇用:21万1,865円 |
| 生活相談員 | 無期雇用:24万3,174円 有期雇用:23万5,994円 |
| 介護支援専門員 | 無期雇用:25万2,509円 有期雇用:24万2,646円 |
出典:公益財団法人介護労働安定センター「令和5年度 介護労働実態調査結果」
いずれの介護職種も、無期雇用が有期雇用の平均月収を上回っていることが分かります。
男女別・年齢別
性別による平均月給は、男性は26万1,855円なのに対し、女性は23万3,105円と約3万円近く低いです。
男女で給料に差が出るのは、男性は管理職になりやすいのに対し、女性は妊娠や出産、育児でキャリアを断念するケースがあるからと考えられます。
年齢層別の給料相場は、次のとおりです。
| 年齢 | 平均月給 |
| 20~24歳 | 19万9,845円 |
| 25~29歳 | 22万7,858円 |
| 30~34歳 | 23万9,659円 |
| 35~39歳 | 24万3,071円 |
| 40~44歳 | 24万4,499円 |
| 45~49歳 | 24万8,187円 |
| 50~54歳 | 24万7,713円 |
| 55~59歳 | 24万6,311円 |
| 60~64歳 | 23万6,057円 |
| 65~69歳 | 22万6,113円 |
| 70~74歳 | 20万9,229円 |
出典:公益財団法人介護労働安定センター「令和5年度 介護労働実態調査結果」
年齢では、45~49歳が月給のピークになります。
経験が浅い20代前半と、体力的に長時間働くことが難しい70代以降が、一番給料が低いです。
地域別
介護職員の地域別(一都三県、政令指定都市のある都道府県)の平均年収は、次のとおりです。
| 都道府県名 | 平均月給 |
| 北海道 | 21万1,810円 |
| 宮城県 | 20万4,866円 |
| 埼玉県 | 22万9,751円 |
| 千葉県 | 22万8,512円 |
| 神奈川県 | 23万4,099円 |
| 東京都 | 24万4,023円 |
| 新潟県 | 20万2,200円 |
| 静岡県 | 20万6,414円 |
| 愛知県 | 22万4,158円 |
| 京都府 | 22万3,945円 |
| 大阪府 | 22万9,249円 |
| 兵庫県 | 21万7,715円 |
| 岡山県 | 21万8,588円 |
| 広島県 | 20万9,561円 |
| 福岡県 | 20万806円 |
| 熊本県 | 19万8,109円 |
出典:公益財団法人介護労働安定センター「令和5年度 介護労働実態調査結果」
地方と比較すると、人口が集中している都市部や関東地方の給料が高いことが分かります。
人口が少ない地方では、平均月収が20万円以下になるところも多いです。
介護職の給料は、地域ごとの物価や人口数に左右されるといえるでしょう。
サ責とほかの介護系職種の給料を比較
サ責の給料は高いのでしょうか。
ほかの介護系職種の給料との違いを比較していきます。
| 職種 | 平均月給 |
| サービス提供責任者 | 25万1,115円 |
| 訪問介護員 | 22万3,122円 |
| 介護職員 | 22万5,914円 |
| 生活相談員 | 24万2,532円 |
| 看護職員 | 28万116円 |
| PT・OT・ST | 27万6,525円 |
| 介護支援専門員 | 25万1,056円 |
出典:公益財団法人介護労働安定センター「令和5年度 介護労働実態調査結果」
介護職種全体の平均月収は約24万円のため、サ責の給料は介護支援専門員と並んで高めであることが分かります。
介護職員や訪問介護員と比較すると、約2万円給料が多いです。
なお、看護職員やPT・OT・STは医療系の職種でもあるため、サ責の給料を上回っています。
サ責の給料が高い理由
ほかの介護職種と比較してサ責の給料が高めなのは、業務内容の専門性が高く、責任も重いからです。
サ責には、利用者に適切な訪問介護サービスを提供するために、ヘルパーとケアマネジャーの管理や調整を行う役割があります。
介護に関する基本的な知識やスキルはもちろん、介護福祉士やケアマネジャーなど専門性の高い資格を取得していることが多いです。
また、サ責には厚生労働省によって利用者数に応じた配置基準が定められています。
サ責の配置基準を満たしていない介護事業所は、利用者に介護サービスを提供することができません。
実務経験を満たしていないとサ責になることはできないため、事業所は高い給料を支払ってサ責の人員を確保する必要があります。
サ責の手当について
専門性の高い仕事を担うため、サ責の手当は手厚いです。
サ責の手当について詳しく解説します。
サ責がもらえる手当の種類
サ責として働いた場合、受け取れる可能性がある手当の種類は、次のとおりです。
- ・残業手当
- ・資格手当
- ・役職手当
- ・通勤手当
- ・住宅手当
- ・扶養手当
給料に加算される手当の種類は、介護事業所によって異なります。
手当のほかに、退職金制度や特別休暇制度など、福利厚生が充実している職場だと安定した働き方ができるでしょう。
<処遇改善加算とは>
処遇改善加算とは、介護施設で業務を担う介護職員の処遇を改善するための金銭的な支援制度です。
対象となるのは介護職員として介護サービスに従事する方なので、もちろんサ責も含まれます。
パートやアルバイトなどの雇用形態は問われませんが、介護サービスに従事しない事務は対象外です。
支給ルールとしてベースアップが必須のため、基本給が上がります。
時間外手当や交通費に含めることも禁止されているため、賞与の引き上げや新設が期待できるでしょう。
サ責の手当相場
サ責の手当額は、事業所の規模や地域、処遇改善加算の有無、経験年数などによって大きく異なります。
厚生労働省の調査によると、サ責の平均手当額は月額約9万円で、そのうち毎月固定で支給される手当は約6万円とされています。
ただし、手当の種類や金額は事業所ごとに異なるため、求人時には手当の内容を事前に確認しておくことが大切です。
出典:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果」
サ責の給料をアップさせる方法
サ責の給料をアップさせる方法について、詳しく解説します。
勤続年数を増やす
同じ介護事業所で長く働き続けると、勤続年数に応じた昇給が期待できるでしょう。
実務経験が長くなればなるほど、周りの評価も高くなります。
勤続年数ごとの介護従事者の平均月給は、次のとおりです。
| 勤続年数 | 平均月収 |
| 1年未満 | 19万3,296円 |
| 1年以上2年未満 | 18万3,006円 |
| 2年以上3年未満 | 19万5,143円 |
| 3年以上4年未満 | 18万8,439円 |
| 4年以上5年未満 | 20万1,512円 |
| 5年以上7年未満 | 20万2,015円 |
| 7年以上10年未満 | 20万9,077円 |
| 10年以上15年未満 | 21万5,749円 |
| 15年以上20年未満 | 22万2,408円 |
| 20年以上 | 23万2,650円 |
出典:公益財団法人介護労働安定センター「令和5年度 介護労働実態調査結果」
4年未満だとほぼ給料が変わりませんが、4年以上になると給料が上がっていることが分かります。
長く働き続けることのメリットは、昇給だけではありません。
勤続年数が長いと、周囲から信頼されます。
変わらない環境で働き続けることで、安定した働き方ができるでしょう。
仕事を兼務する
サ責として働きながら、ヘルパーやケアマネジャーとして働くこともできます。
兼務を行うことで、職務手当や資格手当が給料に加算される可能性が高いです。
ただし、ヘルパーとケアマネジャー、サ責の3つを兼務することはできません。
介護事業所の兼務に関する要件は、住んでいる自治体によって異なるので確認しておきましょう。
また、人手不足が深刻な事業所では、兼務を依頼されることもあります。
ほかの仕事を兼務することで、介護のスキルや知識を深めることもできるでしょう。
事業所に交渉する
事業所で働く上司や人事責任者に、昇給の交渉を申し出るのも一つの手段です。
待遇に不満があることや、生活が苦しいことなど、給料を上げてほしい理由を隠さずに伝えることで、状況が変わるかもしれません。
理由も伝えずに、給料を上げてほしいと伝えるのはぶしつけなのでやめましょう。
交渉を成功させるためのポイントは、長期間働きたいという気持ちを伝えることです。
サ責は貴重な人員なので、誠意が伝われば昇給を検討してくれる可能性があります。
役職に就く
サ責として経験を積み、十分な能力があることが認められると、主任や管理者、施設長などの役職に就ける可能性があります。
キャリアアップに成功すれば、給料の大幅アップも夢ではありません。
基本給や賞与だけでなく、役職手当も支給されます。
キャリアアップするためには、経験を重ねることが大切です。
常にスキルを磨いたり、知識を身に付けたりすることを継続して、より上位の介護職を目指しましょう。
資格を取得する
介護の仕事に役立つ資格を持っていると資格手当が支給されます。
介護職員の保有資格別の給与相場は、次のとおりです。
| 資格名 | 平均給与額 |
| 介護福祉士 | 35万50円 |
| 社会福祉士 | 39万7,620円 |
| 介護支援専門員 | 38万8,080円 |
| 実務者研修 | 32万7,260円 |
出典:厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」
資格なしの平均給与額は33万9,960円で、資格ありの場合と比較すると2万~5万円も給料に違いがあります。
資格は転職や就職の際にも有利なので、取得しておいて損をすることはないでしょう。
給料の高い事業所に転職する
昇給制度がなかったり、賞与をカットしていたりする事業所の場合は、待遇のよい事業所への転職を検討しましょう。
転職先探しの際に給料以外でチェックしておきたいポイントは、次のとおりです。
- ・福利厚生
- ・仕事内容
- ・有給の取りやすさ
- ・キャリアアップの条件
- ・経営方針
すべての条件を満たす事業所を見つけることは難しいので、どの条件が大事なのか、優先順位をつけることが大切になります。
サ責として、できるだけ長く活躍できる職場を探しましょう。
サ責になるメリット
ここでは、サ責になるメリットを解説します。
やりがいがある
サ責は利用者に必要な介護サービスを提供する仕事なので、やりがいのある仕事です。
適切なサービスを提供するために介護サービスの計画や調整が必要なため、責任が重い仕事ですが、利用者や家族が喜ぶ姿を見ることができます。
人と関わることができる
サ責はケアマネジャーやヘルパー、訪問介護サービスの利用者やその家族など、多くの人とコミュニケーションをとる必要がある仕事です。
人と関わることが好きな場合は、楽しみながら仕事に打ち込めるでしょう。
人とのつながりが増えれば、人間的にも成長することができます。
正社員の求人が多い
サ責は高度な介護のスキルや知識が要求される仕事のため、パートやアルバイトではなく正社員の方が圧倒的に多いです。
就職や転職の際にも、正社員の求人数が多くなっています。
正社員として働きたいと考えている方には、ぴったりの職業といえるでしょう。
夜勤をしなくて済む
訪問介護サービスは昼間にサービスを提供することが多く、基本的に夜勤がありません。
夜勤をしなくて済むので、身体的な負担も少なく済みます。
また、プライベートや家族と過ごす時間が確保しやすいです。
自分のライフスタイルに合わせた働き方ができるでしょう。
サ責になるには
実際にサ責になるためには、どのような資格が必要なのでしょうか。
「サービス提供責任者」という資格は存在しないため、定められた資格要件を満たす必要があります。
ここでは、サ責になる方法について解説します。
介護福祉士の資格を取得
介護福祉士は、日常生活に支障がある人に対し、専門的なスキルと知識を持って介護を行ったり、介助者に対して指導を行ったりできる国家資格です。
介護福祉士を取得するための国家試験を受ける方法は、次の3とおりです。
- ・介護福祉士養成施設を卒業する
- ・3年以上介護の実務経験を積む
- ・福祉系の高校で必要な科目を履修する
いずれかの条件をクリアすると、受験資格が得られます。
介護福祉士実務者研修を修了
介護福祉士実務者研修は、介護のスキルや知識を習得するための研修です。
無資格や介護が未経験の方でも受講できます。
修了するためには、国から認定を受けた養成施設で、450時間のカリキュラムを履修することが必要です。
同行援護・行動援護の場合は研修や経験が必要
介護事業所が同行援護や行動援護のサービスを提供している場合、受講が必要な講習が異なります。
同行援護の場合は同行援護従事者養成研修、行動援護の場合は行動援護従事者養成研修の受講が必要です。
サ責の給料推移と今後の見通し
最後に、サ責の給料推移と今後について解説します。
給料は上がっている
サ責の給料は、年々上昇しています。
2019~2023年の介護職の平均月給の推移は、次のとおりです。
| 年度 | 平均月給 |
| 2019年 | 21万9,842円 |
| 2020年 | 22万6,732円 |
| 2021年 | 22万8,623円 |
| 2022年 | 23万7,557円 |
| 2023年 | 24万1,296円 |
出典:厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」
5年間と比較すると、平均月収が約2万円もアップしていることが分かります。
勤続年数による昇給と合わせて、毎年のようにベースアップが実施されているため、介護職の給料が低いという印象は変わりつつあるといえるでしょう。
今後も増加していくことが期待できる
介護サービスを提供している事業者の数も、上昇傾向にあります。
高齢化社会の影響により、介護の需要が増えていくことは間違いありません。
人手不足の影響もあるので、サ責の給料は今後も上がっていくことが予想されます。
まとめ
今回は、サ責の給料相場をカテゴリー別に紹介しました。
ほかの介護系の職種と比較しても、サ責の給料はやや高めになります。
専門的な知識とスキルが必要になる責任の重い仕事ですが、大変さに見合った給料の高さといえるでしょう。
サ責だけでなく、介護職員の給料は、年々上昇しているのが現状です。
勤続年数を増やしたり資格を取得したりすれば、今よりも多く給料をもらうことが期待できます。

