認知症の家族が安心できて、かつ穏やかに暮らせる場所を探しているならば、選択肢の一つとして「グループホームへの入所」があります。
しかし、グループホームが具体的にどのような施設で、どんな特徴があるのかを正確に理解することは、簡単ではありません。
そこで本記事では、グループホームの基本から入所条件、サービス内容、かかる費用、ほかの施設との違いまで、わかりやすく解説します。
グループホームを検討しているご家族、詳しく知りたい方は、施設を有効に活用できるよう参考にしてください。
グループホームとは?
認知症の家族のための入所先として「グループホーム」を検討する際、まずはその本質を理解することが重要です。
家庭的な雰囲気というイメージだけでなく、制度上の役割や特徴を知ることにより、ほかの施設との違いが明確になります。
まずは、グループホームの特徴である3つのポイントについて、基本から分かりやすく解説していきます。
正式名称は「認知症対応型共同生活介護」
グループホームの介護保険制度における正式名称は「認知症対応型共同生活介護」です。
その名のとおり、認知症の高齢者を専門的に受け入れ、少人数で共同生活を送りながら支援を行う介護サービスです。
費用は1〜3割が利用者の自己負担となり、専門的な認知症ケアや日常生活の支援を受けることができます。
そのため、単なる住まいではなく「認知症の方が安心して暮らせる公的な介護施設」として、理解しておくとよいでしょう。
特徴1:5~9人の少人数ユニットによる共同生活
グループホーム最大の特徴は、5〜9人を1つの「ユニット」として、少人数で共同生活を送る点にあります。
入所者は、なじみのスタッフや他の入所者と家族のように関わりながら、穏やかな日常を過ごします。
大規模施設とは異なり、一人ひとりの個性や生活リズムに合わせ、きめ細やかなケアを提供しやすいのも利点です。
また、いつも見知った顔に囲まれている安心感が、認知症を患う方の不安をやわらげ、安定した生活につながるでしょう。
特徴2:家庭的な雰囲気と役割分担による自立支援
グループホームでは、食事の準備や掃除などの家事を分担し、入所者とスタッフができる範囲で一緒に行います。
これは、入所者が持つ能力を生かし「役割を持って生活すること」を通して、自立を支援するためです。
すべてをスタッフに任せるのではなく「できることは自分で行う」という考え方が、認知症の進行を穏やかにし、生活への意欲を保つことにつながります。
特徴3:地域に根差した「地域密着型サービス」
グループホームは介護保険制度において「地域密着型サービス」に分類されます。
これは高齢者が要介護状態になっても、住み慣れた地域での生活を続けられるよう支援するためのサービスです。
そのため、入所条件として「施設の所在地と同じ市区町村に住民票があること」が原則として定められています。
グループホームの入所条件や対象となるのはどんな人?
家庭的な雰囲気で専門的な認知症ケアを受けられるグループホームですが、誰もが入所できるわけではありません。
「地域密着型サービス」としての役割から、入所対象者には明確な条件が定められています。
ご家族の入所を検討する際には、まず以下の条件を満たしているのか、確認することがポイントとなります。
年齢(原則65歳以上)
グループホームの入所対象者は、原則として65歳以上の高齢者と定められています。
ただし、65歳未満であっても、若年性認知症などの特定疾病により、要介護認定を受けている方(第2号被保険者)であれば、入所が認められる場合があります。
介護度(要支援2・要介護1以上)
グループホームに入所するためには、要介護認定で「要支援2」または「要介護1」以上の判定を受けている必要があります。
自立して生活できる方や、支援の必要性が低い「要支援1」の方は、原則として対象外となります。
まずは、市区町村の窓口に相談し、要介護認定の申請を行いましょう。
医師による認知症の診断
グループホームは「認知症対応型」のサービスであるため、医師から「認知症である」という正式な診断を受けていることも、入所の必須条件です。
多くの場合、入所契約時に医師が作成した診断書の提出を求められます。
そのため、家族による「物忘れがひどい」といった客観的な判断だけでは、入所の許可は下りないでしょう。
施設と同一市区町村の住民であること
先述のとおり、グループホームは「地域密着型サービス」であるため、入所を希望する施設がある市区町村に住民票があることが原則です。
これは、住み慣れた地域での生活を続けながら、家族や友人との関係を保ちやすくすることも目的としています。
また、家族が同じ地域にいることで、入所者が安心感を得やすくなるでしょう。
グループホームのサービス内容と1日の流れ
グループホームでは、認知症の方が穏やかに、そして自分らしく生活を送るため、さまざまなサービスが提供されています。
基本的には、専門知識を持ったスタッフが、24時間体制で入所者の暮らしをサポートします。
ここでは、提供される主なサービスと、1日の生活スケジュール例をご紹介します。
専門スタッフによる認知症ケア
グループホームでもっとも重要なサービスは、認知症に特化した専門的なケアです。
スタッフは認知症に関する研修を受けており、一人ひとりの症状や個性に合わせて、きめ細やかな対応を行います。
例えば、徘徊や不安といった症状に対しては、会話やレクリエーションを通して精神的な安定を図るなど、非薬物療法を重視する場合もあります。
日常生活の支援(食事・入浴・排泄)
専門的な認知症ケアと並行して、食事・入浴・排泄など、日常生活を全般的にサポートします。
ただし、施設側がすべてサポートするのではなく、入所者の状態に合わせて「できることは自分でやる」ことを基本とし、一人では難しい部分をスタッフが支援する形を取っています。
この自立支援を徹底するスタイルが、結果的に入所者の生活能力の維持につながります。
入所してからできないことが増えないよう、積極的に自立を促す点は、グループホームの魅力の一つでしょう。
グループホームでの1日の生活スケジュール例
グループホームでは、規則正しい生活リズムを大切にしており、一般的な1日のスケジュールは以下のとおりです。
| 7:00 | 起床 |
| 8:00 | 朝食 |
| 10:00 | 体操・レクリエーション |
| 12:00 | 昼食 |
| 14:00 | 入浴・おやつ |
| 18:00 | 夕食 |
| 21:00 | 就寝 |
このスケジュールは一例であり、本人の体調や気分に合わせて柔軟に対応し、無理なく過ごせるよう配慮されています。
グループホームの気になる費用は?
グループホームへの入所を検討する上で、気になるのが費用面です。
費用は大きく「初期費用」と「月額費用」に分かれます。
公的な介護保険サービスですが、居住費や食費などの費用は自己負担となるため、事前に資金計画を立てておくことが重要でしょう。
ここでは、実際に入所するに当たり、どのくらいの費用がかかるのか解説していきます。
入所時に必要な「初期費用(入居一時金)」
多くの施設では、入所時に「初期費用」が必要です。
「入居一時金」や「保証金」とも呼ばれ、主に家賃の前払いや、退居時の原状回復費用などに充てられます。
金額は、数万円から数十万円以上と、幅広く設定されています。
最近では、初期費用のかからない施設も増えているため、初期費用を抑えたい場合には選択肢に入れておくと良いでしょう。
毎月かかる「月額費用」の主な内訳
費用の一つである月額費用は、主に介護サービス費や家賃、食費、水道光熱費などで構成されています。
介護サービス費は、所得に応じて自己負担額が異なり、1〜3割を支払います。
ほかにも、美容代やおむつ代、医療費、個人的な買い物代などの費用は、別途自己負担となるため注意が必要です。
月額費用の目安
月額費用は、施設の所在地や設備によって異なりますが、おおよその目安は15〜20万円程度です。
都市部は家賃が高いため、グループホームの月額費用も高くなる傾向にあります。
先述のとおり、おむつ代や医療費などが別途かかることを念頭に置き、余裕を持った資金計画が重要でしょう。
グループホームのメリット・デメリットと他の介護施設との違い
グループホームは、認知症ケアに特化した小規模施設であり、入所者一人ひとりの生活リズムや能力に合わせた支援が受けられる点が大きな魅力です。
しかし、メリットがある一方で、デメリットも存在します。
また「特別養護老人ホーム」や「有料老人ホーム」とは目的やサービス内容が異なるため、施設選びの際には正しい知識が必要です。
以下のメリット・デメリットを参考に、各施設の特徴を把握した上で、比較検討してみましょう。
グループホームを選ぶ4つのメリット
グループホームに入所すると、具体的に以下のメリットを得られる可能性があります。
1. 専門的な認知症ケア
認知症に特化したスタッフにより、一人ひとりの状態に合わせたケアを受けられます。
2. 家庭的な環境
少人数ユニット制のため、人間関係が築きやすく、家庭的な雰囲気で生活できます。
3. 自立した生活の継続
家事などの役割を持つことで、日常生活動作能力を維持し、目的意識を持って生活できます。
4. 地域とのつながりの維持
住み慣れた地域で、社会との関わりを保ちながら暮らしを継続できます。
知っておきたい3つのデメリット
上記のメリットがある一方で、以下のデメリットにも注意が必要です。
1. 限定的な医療ケア
看護師の配置義務がないため、日常的な医療行為が必要な方の受け入れは難しい場合があります。
2. 入所待ちの可能性
定員が少ないことから、人気の施設の場合、すぐに入所できないことがあります。
3. 共同生活との相性
少人数での生活が基本となるため、ほかの入所者との相性次第で生活の快適さが左右される可能性があります。
特別養護老人ホーム(特養)との違い
特別養護老人ホームは、原則として要介護3以上の方を対象としており、身体的な介護の必要性が高い方を広く受け入れます。
グループホームが「認知症ケア」に特化しているのに対し、特別養護老人ホームは「より重度の要介護状態」に対応しています。
費用は比較的安いですが、入所待機者となる方が多いのが、特別養護老人ホームの現状であり課題です。
有料老人ホームとの違い
有料老人ホームは、民間企業が運営しており、設備やサービスの充実度が大きく異なります。
自立した生活が可能な方から、要介護の方まで、幅広い層を受け入れているのが特徴です。
グループホームと比較すると、入所条件が緩やかで設備も豊富ですが、その分費用は高額な傾向にあります。
入所後の生活と家族の関わり方に関するよくある質問
グループホームへの入所が決まった後も、ご家族はさまざまな疑問や不安が浮かぶことでしょう。
疑問点や不安を抱えたままでは、入所してからも悩むことが多い可能性があります。
ここからは、入所後の生活や関わり方について、よくある質問にQ&A形式で簡潔に解説していきます。
Q1. 面会や外出・外泊は自由にできますか?
多くの施設では、比較的自由に訪問できます。
しかし、感染症対策などの措置により、事前の連絡が必要な場合があります。
訪問のほかに外出や外泊も、本人の体調や安全が確保できる範囲で可能です。
施設側と事前に計画を相談し、連携を取りながら進めることが大切でしょう。
Q2. 家族が手伝うべきことはありますか?
日常生活の基本支援は施設が行いますが、入所者本人の衣類や日用品の補充、定期的な通院の付き添いなどは、ご家族にお願いすることが一般的です。
何よりも定期的に面会に訪れ、本人とコミュニケーションを取ることは、大きな精神的な支えとなります。
Q3. スタッフや他の入所者と合わない場合はどうすれば良いですか?
まずは、施設の管理者やケアマネジャーに遠慮せず、相談することが第一です。
スタッフは人間関係にも配慮しており、解決策を一緒に考えてくれます。
また、入所前の体験入所で、施設の雰囲気やほかの入所者との相性を確認しておくことも、ミスマッチを防ぐ上で非常に重要でしょう。
まとめ
グループホームは「認知症対応型共同生活介護」という名称のとおり、認知症の方が5〜9人の少人数ユニットとなり、家庭的な雰囲気の中で自立した生活を送ることを支援する「地域密着型施設」です。
入所には条件があり、費用やほかの施設との違いを理解した上で、入所者本人に合った場所を選ぶことが大切でしょう。
入所を検討する場合は、まず施設を見学して雰囲気をつかみ、具体的な入所計画を立てることがポイントです。
ぜひ本記事を参考に、グループホームとほかの介護施設の違いを確認し、最適な入所先を選びましょう。

