介護の資格試験の中でも「介護支援専門員実務研修受講試験(以下:ケアマネ試験)」の難易度はひときわ高く、合格率は毎年20%程度といわれています。
介護保険制度や仕組みなど、深く幅広い知識が求められるため、一部の受験者には「受かる気がしない」とも評されるほどです。
そこで本記事では、令和7年度(第28回)ケアマネ試験の合格率から、合格点のボーダーライン、難易度が高い理由、一発合格につながる勉強方法など、ケアマネ試験について網羅的に解説します。
ケアマネ試験を目指している方、介護資格を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
令和7年度(第28回)ケアマネ試験の合格率は?
2025年11月25日、令和7年度(第28回)ケアマネ試験(正式名称:介護支援専門員実務研修受講試験)の合格発表が行われました。
今回の受験者数は、前年より3,098人少ない5万601人です。
前年は「比較的易しかった」と言われていましたが、今年は何人の合格者がいたのか、合格ラインや受験者の属性を含めて解説していきます。
*2026年1月現在
出典:厚生労働省「第28回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について」
令和7年度(第28回)の合格率は25.6%
前年の合格率は32.1%でしたが、今回は受験者数の25.6%に当たる1万2,961人が合格を勝ち取りました。
合格率は6.5ポイント下がったものの、例年よりも高く、過去20年の中では上から2番目の数字です。
介護支援分野にはやや難問とされる問題もありましたが、保健医療福祉サービス分野では基礎的・基本的な内容の問題も多く、例年ほど難しくは感じなかったものと思われます。
*2026年1月現在
出典:厚生労働省「第28回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について」
ボーダーラインは何点?
ボーダーライン(合格ライン)は前年と同じく、介護支援分野で18点以上、保健医療福祉サービス分野で25点以上、この両方を満たすと合格となります。
合格率は例年より高かったですが、合格ラインは昨年と変わらず、基準を満たした人は全員合格となりました。
合格ラインはどうやって決まる?
基本的には「介護支援分野」「保健医療福祉分野」のそれぞれにおいて、70%以上の正答率が合格ラインとなります。
ただし、合格ラインはその年ごとの試験難易度によって調整され、難易度の高かった年は合格ラインの引き下げが行われます。
そのため、試験によっては70%に満たなくても合格になることもあります。
近年の合格率は?
過去10年間の合格ライン・合格率をまとめると、以下のとおりになります。
| 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
| 第28回(2025年度) | 50,601人 | 12,961人 | 25.6% |
| 第27回(2024年度) | 53,699人 | 17,228人 | 32.1% |
| 第26回(2023年度) | 56,494人 | 11,844人 | 21.0% |
| 第25回(2022年度) | 54,406 人 | 10,328 人 | 19.0% |
| 第24回(2021年度) | 54,290 人 | 12,662 人 | 23.3% |
| 第23回(2020年度) | 46,415 人 | 8,200 人 | 17.7% |
| 第22回(2019年度) | 41,049 人 | 8,018 人 | 19.5% |
| 第21回(2018年度) | 49,332 人 | 4,990 人 | 10.1% |
| 第20回(2017年度) | 131,560 人 | 28,233 人 | 21.5% |
| 第19回(2016年度) | 124,585 人 | 16,281 人 | 13.1% |
合格率が20%を下回る年も多く、特に2018年度は合格ラインを大きく下げました。
それでも、合格率は過去最低となる10.1%でした。
このように、同じケアマネ試験でも、その年によって難易度が大きく異なることが分かります。
そのため、今回落ちたからといってもあきらめずに挑戦し続けることが大切です。
*2026年1月現在
出典:厚生労働省「第28回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について」
ケアマネ試験に合格した人の職種
第1回から第28回までのケアマネ試験合格者の職種は、以下の表のとおりです。
| 職種 | 人数 | 構成比率 |
| 介護福祉士 | 357,241人 | 45.7% |
| 看護師、准看護師 | 181,620人 | 23.2% |
| 相談援助等従事者 | 80,098人 | 10.3% |
| 社会福祉士 | 50,413人 | 6.5% |
| 保健師 | 29,189人 | 3.7% |
| 薬剤師 | 21,029人 | 2.7% |
| 理学療法士 | 20,035人 | 2.6% |
| 医師 | 15,493人 | 2.0% |
| 栄養士、管理栄養士含む | 14,454人 | 1.9% |
| 歯科衛生士 | 12,423人 | 1.6% |
| 作業療法士 | 11,492人 | 1.5% |
| あんまマッサージ指圧師、はり師、きゅう師 | 10,185人 | 1.3% |
| 精神保健福祉士 | 6,620人 | 0.8% |
| 柔道整復師 | 5,481人 | 0.7% |
| 歯科医師 | 4,031人 | 0.5% |
| 助産師 | 2,092人 | 0.3% |
| 言語聴覚士 | 1,681人 | 0.2% |
| 視能訓練士 | 271人 | 0.0% |
| 義肢装具士 | 165人 | 0.0% |
介護福祉士からの受験者が群を抜いて多く、全体の半分近くを占めています。
介護福祉士とケアマネジャーの親和性が高いこと、介護福祉士の総数が多いことも要因の一つですが、それだけではありません。
介護福祉士とケアマネジャー
ジャーでは収入に差があるため、ケアマネジャー
ジャーとして就職することで収入アップが見込めることが、受験のモチベーションになっていると思われます。
*2026年1月現在
出典:厚生労働省「第28回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について」
ケアマネ試験の合格率が変動する理由
ケアマネジャーも人手不足が叫ばれており、2040年には8.3万人もの人手不足が見込まれるとされています。
専門性の高さを担保する意味では、問題の難易度を下げることは安易にできません。
しかし、供給量とのバランスを保ちつつも、揺れ動いていると考えられます。
今回が例年より易しかったのであれば、来年は少し難しくなるかもしれません。
ケアマネ試験の合格率が低い理由
ケアマネ試験には独自の特徴があり、ほかの介護関連資格よりも難易度が高くなる要因となっています。
初めて受ける場合はもちろん、何度受験しても難しいといわれる理由は、以下のとおりです。
五肢複択方式のため、正確な知識が問われる
介護関連のほかの資格試験は、選択肢の中から正答を一つ選ぶ問題が多いですが、ケアマネ試験は五肢複択方式であり、これが難易度を上げています。
五肢複択方式とは、1つの問題に対して5つの選択肢があり、その中から複数の正答を選ぶ形式です。
そのため、複数の正答を選ぶことができなければ得点になりません。
また、設問が長文であるため、解答に時間がかかることも難易度を上げる要因の一つです。
正答を一つ選ぶ問題よりも正確な知識が求められることで、介護関連の資格の中でもケアマネ試験はトップクラスの難易度となっているのです。
似たような用語が多く、違いが覚えにくい
「都道府県介護保険事業支援計画」「市町村介護保険事業計画」など、似たような用語が多いため、ケアマネ試験は難易度が高いとされています。
また、管轄や特徴の違いなどを正確に覚えていないと得点できません。
普段の介護業務の中ではほとんど関わらない用語が多く、経験だけでは正答できないため、難易度が高くなっています。
頻繁に法改正があり、知識や参考書のアップデートが必要
介護保険制度では、3年に一度の見直しが義務付けられています。
さらには、細かな法改正が頻繁にあるため、その都度覚え直しが必要です。
しかし、テキストや問題集は発行時の法律を基に作られており、試験日までに行われた法改正については記載がありません。
そのため、勉強する際はできるだけ発行日の新しいテキストや問題集を使用しましょう。
ケアマネ試験を一発合格するための勉強法
合格率が低いとされているケアマネ試験ですが、実は一発合格できる人も少なくありません。
そもそも、ケアマネ試験は一発合格を狙うほうが有利です。
毎年のように法改正が行われるため、その都度覚え直すよりは、一回目で合格するほうが現実的ともいえます。
一発合格を果たした方の声を参考に、勉強のコツについて詳しくまとめましたので、ぜひご活用ください。
合格までの勉強時間の目安は100〜200時間
一般的に、ケアマネ試験の勉強時間の目安は100〜200時間と言われていますが、個人差が大きいため、あくまで目安とお考えください。
ただし、社会人として働きながら勉強時間を確保するのは想像以上に困難です。
ケアマネ試験を受ける方の中には、家庭との両立など、仕事以外にも時間を割かなければいけない方も多いと思います。
そのため、社会人にとって試験合格のカギは、勉強時間の確保と言ってもよいでしょう。
勉強のスケジュールをしっかり計画し、余裕を持って試験に臨む
毎日1時間の勉強でも、100時間となると3カ月以上はかかります。
さらに、200時間の場合7カ月近くにもなるため、前もって十分に計画しなければなりません。
試験日は毎年10月と決まっているため、そこから逆算して勉強スケジュールを組み立てることが大切です。
ケアマネ試験は範囲が広く、難しい単語も多いため、想定以上に時間を必要とすることも考えられます。
そのため、スケジューリングの際は、予備日などを設けて十分に余裕を持たせるようにしましょう。
法改正や時事問題は必ず確認する
近年中に行われた法改正や時事問題は、出題頻度が高い傾向にあることから、確実に得点できるようにしておきましょう。
テキストだけでは最新の情報を得られないため、新聞やニュースなどにも普段から目を通しておき、知識を吸収しておくことが大切です。
また、前述したように古いテキストは使わず、できる限り最新のものを使用するようにしましょう。
基本的な用語はしっかりと理解する
介護・医療の分野や法律関連など、専門用語が多い問題もあるため、これらの意味をしっかりと理解しておくことが大切です。
特に、似たような言い回しの言葉や、漢字ばかりの長い語句も多く、用語につまずいていると理解が深まらないだけでなく、試験問題を読み解くスピードにも影響します。
専門用語の理解がスムーズにできると、それに付随した知識も吸収しやすくなるため、
専門用語の学習から始めると勉強が捗るでしょう。
過去問で苦手分野を把握する
過去問は、現在の自分の実力を測るためのものだけではなく、苦手分野を特定することにも有用です。
ケアマネ試験では「介護支援分野」「保健医療福祉サービス分野」の両方で70%以上の正答率が必要となります。
苦手分野が偏っていると、どちらかの分野で落ちてしまうことにもなりかねません。
そのため、過去問を解くことで苦手分野を割り出し、その分野については重点的に取り組むようにしましょう。
模試を受ける際は、時間配分や取捨選択にも気をつける
過去問や模試を受ける際は、実際の試験時間である120分で解くようにしましょう。
出題数60問を120分で解く必要があるため、1問にかけられる時間は2分しかありません。
前述したように、ケアマネ試験は五肢複択方式であり、問題文も長いため、読み解くだけでもかなりの時間を要します。
確認の時間も含めるとさらに短くなるため、時間配分に慣れておく必要があります。
ときには難しい問題を捨て、確実に得点できる問題に集中することも選択肢の一つです。
隙間時間を有効に使う
ケアマネ試験に合格する重要なポイントは、隙間時間を有効に使って勉強を進めることです。
社会人は忙しいため、勉強時間の確保が非常に困難です。
日々の生活の中で、隙間時間を見つけて上手に活用しましょう。
例えば、電車での通勤時間や、出勤前のわずかな時間などを活用すると良いでしょう。
自分に合った時間帯を見つけて、少しずつ勉強に取り組むように心掛けることが大切です。
独学では続かないと思ったら講座を検討する
テキストや問題集で勉強してみて、独学では難しいと感じたら、試験対策講座の受講を検討してみましょう。
自分一人ではモチベーションの維持が難しいこともありますが、講座に申し込めば、計画的な学習管理で進められるため効果的です。
中には、分からないところはメールなどで質問できるものもあります。
また、独学では気づきにくい最新の法改正についての情報も知ることができるため、確実に合格したい人は検討してみるのも良いでしょう。
合格後にケアマネになるまでのステップ
難関のケアマネ試験に合格したからといって、次の日からケアマネジャーとして働くことができるわけではありません。
合格後は、定められた研修の受講や登録などにより、数カ月から1年ほどを要することもあります。
そのため、ケアマネジャーへの転職を考えている方は、今の職場を退職するタイミングについても考えておきましょう。
介護支援専門員実務者研修を受講する
試験に合格したら、介護支援専門員実務者研修の受講が必要です。
なお、受講の申し込みはご自身で行わなければなりません。
講義は複数の実施機関で行われており、受講の期間もご自身で選ぶことができます。
ただし、すぐに定員に達してしまうことが多いため、早めに申し込むようにしましょう。
各都道府県の介護支援専門員資格登録簿に登録申請をする
研修の受講後、3カ月以内に介護支援専門員資格の登録申請を都道府県に行います。
基本的に、研修を受けた都道府県で登録を行いますが、就職先として考えている都道府県が異なる場合は「登録移転」を行わなければなりません。
もし引っ越しなどにより、ほかの都道府県で勤務する場合も、登録移転が必要になるため注意してください。
介護支援専門員証の交付申請をする
都道府県への申請後、介護支援専門員証の交付申請をします。
申請をしてから専門員証が届くまで、1カ月程度はかかるため、早めの申請を心掛けましょう。
就職先を探す際も、専門員証が届く時期を見計らって求職活動を始める必要があります。
就職先を探す
介護支援専門員証が届いたら、晴れてケアマネジャーとして働くことができます。
就職先を探す際、新人の間は複数のケアマネジャーが勤務している居宅介護支援事業所や、規模の大きい施設にすると良いでしょう。
小さな施設でケアマネジャーが一人しか勤務しないところでは、分からないことがあってもほかのベテランケアマネジャーに聞くことができず、苦労を強いられることにもなりかねません。
新人ケアマネジャーが就職先を探す際には、ベテランのケアマネジャーがいるか、引き継ぎがしっかりしているか、この2点に注意して求職活動を行うことが大切です。
ケアマネ試験を受験するには?
勉強のスケジュールを正確に立てるためにも、自分がいつ受験できるのか、試験の日程や申込みの流れについても知っておく必要があります。
「勉強は始めたけど、職場からの実務経験証明書が届かず、願書を出せなかった」「そもそも受験資格がなかった」といったことのないよう、事前に確認や準備をしっかり行い、受験資格や書類不備で困らないようにしましょう。
受験資格
ケアマネジャーの受験資格を得る方法は、2種類あります。
一つは専門資格を取得後、その業務に5年以上かつ900日以上従事していることです。
専門資格とは、以下のとおりです。
| 医師 歯科医師 薬剤師 保健師 助産師 看護師、准看護師 理学療法士 作業療法士 言語聴覚士 社会福祉士 介護福祉士 精神保健福祉士 視能訓練士 義肢装具士 歯科衛生士 あん摩マッサージ指圧師、 はり師、きゅう師 柔道整復師 栄養士(管理栄養士を含む) |
もう一つのルートは、相談援助業務の実務経験を5年積むという方法です。
ただし、無資格でも相談援助業務は行えますが、資格や経験がなければ採用されることはかなり難しいでしょう。
現実的には、上記の資格を取得するルートが一般的です。
相談援助の経験は、法令によって定義された特定の施設や事業所での経験しか認められないため、一度ご自身で確認しておきましょう。
試験日程と申込みの流れ
ケアマネ試験は、毎年10月中旬頃の日曜日に行われます。
受験の申し込みは都道府県によって異なりますが、おおむね5月下旬から7月中旬までが一般的です。
願書は社会福祉協議会や市役所、福祉センターなどに置いてあります。
また、勤務先に記入してもらう実務経験証明書も、願書とともに提出する必要があります。
早めに準備を始め、手続きが遅れないようにしましょう。
合格発表
合格発表は、毎年11月の下旬頃になります。
また、合格ラインや都道府県ごとの合格率の公表も同じ時期です。
落ちた方は来年に向けての対策をしっかり考え、合格した方は実務者研修の受講を検討します。
どのような結果でも、次のステップを見据えて前向きに取り組んでいきましょう。
受験料
ケアマネ試験の受験料は、都道府県によって異なりますが、おおむね1万円前後となります。
2025年度では、手数料込みで東京都は約1万2,548円、大阪は約1万3,570円でした。
なお、受験料の払込受領証は願書提出時に必要となるため、なくさないように注意しましょう。
まとめ
ケアマネ試験の合格率は、年度ごとに変動しますが、難関であることに変わりはありません。
五肢複択方式や頻繁な法改正により、試験の難易度が押し上げられています。
しかし、1回目の受験で合格する人も少なくありません。
一発合格するためには、勉強時間の確保や正しい勉強方法を学ぶことなど、しっかりと対策することが大切です。
また、合格後も研修の受講や登録、申請などで忙しくなります。
最後まで気を抜くことなく、手続きを済ませましょう。

